fc2ブログ

ロシア海軍黒海艦隊のワシーリー・ブイコフ型哨戒艦は高射ミサイル「トール-M2KM」モジュールを搭載する

22-0627d.jpg
『タス通信』より
2022年6月13日9時4分配信
【情報筋:黒海艦隊の哨戒艦は戦闘経験を考慮に入れた対空防衛複合体「トール-M2KM」で強化される】
モスクワ、6月13日/タス通信

黒海艦隊の軍備として在籍しているプロジェクト22160哨戒艦は、艦の対空防衛を強化する為、特殊軍事作戦の経験を考慮し、年末までに高射ミサイル複合体「トール-M2KM」で武装する。
『タス通信』は月曜日に防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。

「今年末までに黒海艦隊のプロジェクト22160コルベットは、特殊作戦参加の経験を考慮し、高射ミサイル複合体トール-M2KMを設置する事により、艦の対空防衛システムを強化します」
対談者は話した。

彼によると、特殊軍事作戦へ参加した黒海艦隊哨戒艦のトップ「ワシーリー・ブイコフ」は、既に実地試験が行なわれた高射ミサイル複合体「トール-M2KM」モジュールが設置されている。

黒海艦隊の残り3隻のコルベット(「ドミトリー・ロガチェフ」、「パーヴェル・デルジャーヴィン」、「セルゲイ・コトフ」)への複合体の設置の過程においては、戦闘条件での高射ミサイル複合体の運用経験が考慮される。
『タス通信』は、この件に関する公式の情報を持っていない。
艦の対空防衛システムは、8基の携帯高射ミサイル複合体「イグラ-S」或いは「ヴェルバ」と、2基の口径14.5mmの海上機関銃座「ジャロ」で構成される。
艦はヘリコプターKa-29及び無人機の為の格納庫を有する。

[コルベット「ヴィクトール・ヴェリキー」]
ゴーリキー記念ゼレノドリスク工場
で建造されているプロジェクト22160哨戒艦「ヴィクトール・ヴェリキー」は、高射ミサイル複合体「トール-M2KM」が設置され、年末までに黒海艦隊へ受け入れられる。
『タス通信』は防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。

「ゼレノドリスク工場で建造されているコルベット ヴィクトール・ヴェリキーは、高射ミサイル複合体トール-M2KMモジュールが設置され、2022年12月に黒海艦隊へ加入します」
対談者は話した。

彼によると、ゼレノドリスク工場で建造されている哨戒艦「ニコライ・シピャーギン」プロジェクト22160艦シリーズの最後であり「艦上配置高射ミサイル複合体の新たなヴァージョンを持ち、2023年末までに黒海艦隊へ受け入れられる機会が有ります」
『タス通信』
は、この件に関する公式の情報を持っていない。

[高射ミサイル複合体「トール-M2KM」]
「トール-M2KM」
自動短距離高射ミサイル複合体である。
それは、機動する長距離及び中距離有翼ミサイル対レーダーミサイル、あらゆる距離及び発射型の有翼ミサイル、海面からの高度5メートルを飛翔する対艦ミサイル滑空爆弾及び誘導爆弾、海抜10メートルから10000メートル、距離1000から15000メートル、8000メートルの方位トレースの無人飛行装置、航空機及びヘリコプターへの信頼できる攻撃を保障する。

2016年には水上艦での高射ミサイル複合体「トール-M2KM」の使用試験が成功裏に実施された。
モジュールはプロジェクト11356Rフリゲートのトップ「アドミラル・グリゴロヴィチ」ヘリコプター発着場に固定され、模擬ミサイルの発射を実行した。




20-0812b.jpg
プロジェクト22160哨戒艦は、平時には領海警護、200海里の排他的経済水域の哨戒、海上密輸及び海賊行為の取り締まり、海難救助支援、海洋環境調査、 戦時には船舶の海上航行警護、海軍基地及び近海防衛を行なう多目的艦です。

現在建造中のプロジェクト20380コルベット及びプロジェクト20385コルベットよりも、やや小サイズの艦ですが、航続性能は20380/20385を上回っています。

設計はサンクトペテルブルク『北方計画設計局』が担当しました。

建造を担当するのは、ロシア内陸部タタールスタン共和国『ゼレノドリスク造船所』です。
19-0222a.jpg
【公開株式会社「A.M.ゴーリキー記念ゼレノドリスク工場」公式サイト】

基本的には軽武装の22160哨戒艦ですが、対艦ミサイル高射ミサイルなどの汎用戦闘モジュールコンテナを装備して武装を強化する事も出来ます。
[ロシア海軍の新世代水上艦の為の汎用戦闘モジュールコンテナの試験が始まる]
[ロシア海軍黒海艦隊の最新哨戒艦ワシーリー・ブイコフは白海で新型兵器の試験を行なう]


プロジェクト22160哨戒艦は、現在までに6隻が起工され、4隻が就役しています。

「ワシーリー・ブイコフ」Василий Быков(工場番号161)
2014年2月26日起工/2017年進水/2018年12月20日就役

「ドミトリー・ロガチョフ」Дмитрий Рогачёв(工場番号162)
2014年7月25日起工/2017年進水/2019年6月11日就役

「パーヴェル・デルジャーヴィン」Павел Державин(工場番号163)
2016年2月18日起工/2019年2月21日進水/2020年11月27日就役

「セルゲイ・コトフ」Сергей Котов(工場番号164)
2016年5月8日起工/2021年1月29日進水/2022年5月上旬就役

「ヴィクトール・ヴェリキー」Виктор Великий(工場番号165)
2016年11月25日起工/2022年就役予定

「ニコライ・シピャーギン」Николай Сипягин(工場番号166)
2018年1月13日起工/2023年就役予定



対空兵装は貧弱な22160哨戒艦ですが、2022年2月下旬以降のウクライナ特殊軍事作戦の戦訓に基づき、高射ミサイル複合体「トール-M2KM」のモジュールを搭載する事になりました。

「トール-M2KM」は、2016年にフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」で発射試験が行なわれています。
22-0627e.jpg
[ロシア海軍向けに高射ミサイル複合体トール-M2の艦載型の開発が進められている]
関連記事
スポンサーサイト