ロシア海軍太平洋艦隊とロシア地理学協会はクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)の調査へ向かった


『インテルファクス-軍事ニュース出張所(AVN)』より
2022年6月29日14時33分配信
【太平洋艦隊はクリル(千島)探検へ向かった-ロシア国防省】
モスクワ、6月29日、インテルファクス
太平洋艦隊支援船支隊はクリル諸島(千島列島)へのロシア地理学会の探検に参加するとロシア連邦国防省は水曜日に発表した。
「前日(6月28日)、ロシア地理学会の水中研究センターの代表が乗る船支隊は太平洋艦隊の駐留所から出航し、現在、探検作業の実行場所であるマトゥア島(松輪島)への移動を行なっています」
声明では、こう述べられた。
当局によると、クリル諸島におけるロシア連邦海軍とロシア地理学会の水中研究センターの水中研究探検には、救助船「イーゴリ・べロウソフ」と小型水路調査船「アレクサンドル・ロゴツキー」が関わる。
「イーゴリ・べロウソフ」船上には有人水中装置「C-エクスプローラー3.11」が有り、「マトゥア近郊の海底の追加検査の為に使用される」と声明では述べられている。


「潜水夫は、実験潜水の枠組みにおいて深度100メートル以上へ潜ります。
太平洋艦隊とロシア地理学会研究センターの合同探検の結果は、研究者へ与えられた全ての複合課題を完全に実行した後で公表されます」
広報サービスは述べた。
近年、ロシアはクリル諸島の軍事グループを大幅に増やしている。
特にロシア軍は、マトゥアへ軽軍用輸送機を受け入れる飛行場を作成した事を通知した。
2016年には、マトゥアへロシア連邦海軍の艦船駐留所を作成する計画がある事が報じられた。
昨年12月2日、太平洋艦隊はロシアが沿岸ミサイル複合体「バスチオン」をマトゥアへ配備したと発表した。
複合体「バスチオン」(科学生産合同『機械製造』、コーポレーション『戦術ミサイル兵器』)は、海岸の防護と、集中砲火及び電波電子対抗策の条件下で揚陸艦連合部隊や船団、打撃艦グループや航空母艦グループを構成して行動する様々なクラス及びタイプの水上艦、更には単艦及び地上無線制御目標を撃破する為に意図されている。
複合体「バスチオン」はロシア海軍の全ての艦隊へ配備されている。
沿岸ミサイル複合体「バスチオン」のミサイル「オーニクス」の飛翔距離は500キロメートルに及ぶ。
2019年4月、ロシア国防省は、クリル諸島のクナシル島(国後島)ゾーンで対空防衛戦闘当直が活動へ入ったと発表した。
2020年12月1日、東方軍管区は、S-300V4システムがクリル諸島へ配備されたと発表した。
太平洋艦隊機関紙『戦闘当直』は2016年秋、ロシアがイトゥルプ島(択捉島)とクナシル島へ新たな沿岸ミサイル複合体「バル」と「バスチオン」を配備したと記した。
2018年8月、イトゥルプ島の「ヤスヌイ」空港への最新多目的戦闘機Su-35の展開が報じられた。
クリル列島には、機関銃-砲兵師団が配置されている。
2017年5月、東方軍管区広報サービスは、師団が、無人機を含む新たな風貌の兵器及び軍用車両を受け取ると発表した。
更に、クリル諸島グループは近代化された戦車T-72B3で増強されたと発表された。
日本は、1855年の貿易及び境界線の条約を引用し、クリル群島南方の4つの島~イトゥルプ、クナシル、シコタン、ハボマイの領有を主張している。
モスクワの立場は、南クリルは第二次世界大戦の結果としてソヴィエト社会主義共和国連邦の一部として加わったというものであり、国際法的枠組みを持つロシアの主権には疑問の余地は無い。

現在、クリル諸島(日本側呼称・千島列島)には、ロシア海軍の沿岸ミサイル部隊は駐留していますが、ロシア海軍の「軍港」は存在せず、艦船も駐留していません。
2016年3月下旬、ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将は、クリル諸島にロシア海軍の「基地」が造られる可能性に初めて言及し、クリル諸島へ太平洋艦隊の調査部隊を派遣すると述べました。
[クリル諸島にロシア海軍太平洋艦隊の基地が建設されるかもしれない]

2016年5月7日、大型揚陸艦「アドミラル・ネヴェリスコイ」とサルベージ船KIL-168など6隻で構成され、太平洋艦隊副司令官アレクサンドル・リャブヒン中将が指揮する調査部隊はウラジオストクを出航し、5月14日にクリル諸島中部のマトゥア島へ到着しました。
以後、マトゥア島へ太平洋艦隊の基地を建設する可能性についての調査が行なわれました。
[クリル諸島のマトゥア島にロシア海軍太平洋艦隊の基地が建設される?]
マトゥア島には太平洋戦争中に旧日本海軍が建設した飛行場跡(3本の滑走路)が残されており、その復旧の可能性についても調査が進められました。
[クリル諸島のマトゥア島でロシア海軍太平洋艦隊の基地建設の為の調査が進められている]
2016年5月末からはヘリコプター発着の為のマトゥア島飛行場の復旧作業が始まりました。
この他、大型揚陸艦が海岸へ貨物を荷揚する為の海岸の整備も行われました。
[ロシア海軍太平洋艦隊はクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)の旧日本軍飛行場を再建する]
これと並行して旧日本軍の地下施設(掩体壕など)の本格的な調査(重機による掘削)も行なわれました。
[ロシア海軍太平洋艦隊はクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)の旧日本軍地下施設を調査する]
[ロシア海軍太平洋艦隊はクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)の旧日本軍地下施設の調査を続ける]
2016年6月下旬には、ドヴォイナヤ湾で旧日本海軍の零式艦上戦闘機(ゼロ戦)が発見されました。
[クリル諸島(千島列島)のマトゥア島(松輪島)で旧日本海軍の零式艦上戦闘機(ゼロ戦)が発見された]
2016年6月末までにマトゥア島の調査は全て完了し、調査隊は一旦撤収しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊はクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)の調査を全て完了した]
2017年にはマトゥア島の第2次調査が実施される事になりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊は2017年6月~9月にクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)の調査を行なう]
2017年5月30日、第2次マトゥア島調査隊を乗せた太平洋艦隊艦船支隊はウラジオストクを出航しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊のクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)調査部隊はウラジオストクから出航した]
6月7日、太平洋艦隊艦船支隊はマトゥア島へ到着しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊のクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)調査部隊は現地に到着した]
更に、最新鋭の潜水艦救助船「イーゴリ・ベロウソフ」(2015年12月25日就役)が派遣され、マトゥア島沖の海底で発見された潜水艦(1944年6月1日に撃沈されたアメリカ海軍の潜水艦「へリング」)の調査が行なわれました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の最新鋭救助船イーゴリ・ベロウソフはクリル諸島(千島列島)のマトゥア島(松輪島)沖で沈没した潜水艦を調査する]
マトゥア島の第2次調査は9月初頭に完了し、2017年9月7日には現地の設備や人員を収容する為の艦船部隊がマトゥア島へ向かいました。
[ロシア海軍太平洋艦隊は2017年度のクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)の調査を完了した]
以後、マトゥア島には太平洋艦隊の将兵が常駐し、飛行場が運用されています。

[ロシア海軍太平洋艦隊はクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)の飛行場を運用する]
[ロシア海軍太平洋艦隊はクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)に常駐する]
2021年12月初頭にはマトゥア島へ超音速地対艦ミサイル「バスチオン」が配備されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊はクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)へ超音速地対艦ミサイル"バスチオン"を配備した]
クリル列島の中央部に位置するマトゥア島は、「バスチオン」に加え、今後も対空防衛兵器や電波電子戦闘機材などが配備されます。
[クリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)のロシア海軍太平洋艦隊駐留部隊は増強される]
そして2022年、数年ぶりにロシア太平洋艦隊とロシア地理学協会によるマトゥア島の調査が行なわれる事になり、調査チームを乗せた救助船「イーゴリ・ベロウソフ」と小型水路調査船「アレクサンドル・ロゴツキー」(プロジェクト19910、2019年9月7日就役)は6月28日にウラジオストクを出航しました。
今回は、主にマトゥア島周辺の海底を調査するようです。
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