ロシア海軍最新鋭戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは2014年初頭から戦闘任務に就く

『イタル-タス』より
【原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」は2014年から戦闘任務を始められるように準備を整えておかなければならない-海軍総司令部】
サンクト-ペテルブルク、3月19日(アルムス-タス)
戦略用途ロケット水中巡洋艦のトップであるK-535「ユーリー・ドルゴルーキー」乗組員は、最初の試験任務に合格し、最新潜水艦は深海潜航の為に海洋への出港を準備する。
潜水艦は、2014年から北方艦隊の常時展開部隊に属し、戦闘任務を開始できるように準備を整えておかなければならない。
イタル-タスは、ロシア海軍総司令部より伝えられた。
「私共は、今年(2013年)末までにK-535に2組の乗組員を用意し、2014年初頭から北方艦隊の常時展開部隊に属し、戦闘任務の遂行を開始できるように準備を整えておかなければなりません」
情報提供者は話した。
「3月初め、第31師団司令部は、最初の試験任務L-1の為、潜水艦K-535を桟橋で組織の編制へ受け入れました。
現在までに、判明した問題点は全て除去されており、ロケット艦のチームは、海洋での任務を果たす第2の試験任務L-2の準備が出来ます」
彼は指摘した。
彼によると、5月後半、「ユーリー・ドルゴルーキー」 は、深度600メートルへの潜航及び魚雷発射実施の準備が出来ていなければならない。
「夏に巡洋艦は、同じプロジェクト955(整理名「ボレイ」)の最初の生産原子力潜水艦アレクサンドル・ネフスキーと合同で海洋射撃戦闘訓練の試験任務L-3を仕上げます」
海軍総司令部の情報提供者は、こう話したが、「ユーリー・ドルゴルーキー」 が「ブラヴァー」ミサイル或いは魚雷発射を実施するのか否かについては明言しなかった。
彼は付け加えた。
現在、「ボレイ」級戦略用途ロケット水中巡洋艦を駐留させる為、北方艦隊は積極的に新たなインフラストラクチュアを建設している。
今年、新たな桟橋を原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」が占める。
2013年1月10日、最高司令官ウラジーミル・プーチンは、セヴェロドヴィンスクで開催された潜水艦の海軍受け入れ式典に参加したロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグから、「ユーリー・ドルゴルーキー」 はムルマンスク地域のガジェーヴォに駐留する北方艦隊の第31潜水艦師団に編入されたとの報告を受けた。
第4世代ロケット艦プロジェクト955のトップ「ユーリー・ドルゴルーキー」は1996年に「セヴマシュ」で起工され、2007年4月に進水を終えた。
2004年と2006年には「セヴマシュ」で2隻の生産艦「アレクサンドル・ネフスキー」と「ウラジーミル・モノマーフ」が起工された。
2012年には、工場の造船台で、改善されたプロジェクト955A(整理名「ボレイ-A」)ロケット艦「クニャージ・ウラジーミル」が起工された。
「アレクサンドル・ネフスキー」は、現在、国家試験を経ている。
「ウラジーミル・モノマーフ」は2012年12月30日に造船台を去り、進水した。
第4世代潜水艦プロジェクト955/955Aは、サンクト-ペテルブルクの海洋工学中央設計局「ルビーン」で開発された。
これらの建造に当たり、艦載電子電波装置の作成と騒音削減には新たな成果が使用されている。
艦の主要兵装は、新たなミサイル複合体「ブラヴァー」である。
各々の潜水艦は、飛翔範囲約10000kmで個別誘導可能な複数弾頭を装備した固体ロケット推進大陸間弾道ミサイルR-30「ブラヴァー」16基を搭載できる。
(2013年3月19日10時48分配信)
[新世代戦略原潜ボレイ級(旧ブログ)]
[新世代戦略原潜ボレイ級]
戦略原子力潜水艦「ユーリー・ドルゴルーキー」は、セヴェロドヴィンスク市の「生産合同セヴマシュ」で1996年11月2日に起工されました。

2007年4月15日に進水しました。

2008年11月21日、原子炉が起動されました。
[新型戦略原潜「ユーリー・ドルゴルーキー」、原子炉始動]
2009年6月18日、初めて海洋へ出航しました。
[新型戦略原潜「ユーリー・ドルゴルーキー」、工廠航海試験開始]
2011年には4回の弾道ミサイル「ブラヴァー」発射試験を実施し、全て成功しました。
[「全力全開」ブラヴァー発射試験(2010~2011年)]
特に、8月27日の試験では9300kmの飛翔距離を記録しました。
2011年12月23日には「ブラヴァー」2発の一斉発射に成功しました。
[潜水艦発射弾道ミサイル「ブラヴァー」は一斉発射試験に成功した]
2012年には国家受領試験を終え、12月29日に受領証書への署名が行なわれ、ロシア海軍へ納入されました。
そして2013年1月10日、聖アンドレイ旗(ロシア海軍旗)を初掲揚し、名実ともにロシア連邦海軍へ就役しました。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーはロシア海軍へ就役した]
同日、ガジェーヴォに駐留する北方艦隊第31潜水艦師団に編入されました。
[新世代戦略原潜ユーリー・ドルゴルーキーは北方艦隊第31潜水艦師団へ編入された]

起工から約17年後にロシア海軍へ就役した「ユーリー・ドルゴルーキー」ですが、就役したからと言って、いきなり戦略パトロール任務に就く事は出来ず、まずは慣熟訓練を行う必要が有ります。
今回の記事で述べられているL-1からL-3までの「試験任務」が、これに該当します。
そして今回の記事によれば、「ユーリー・ドルゴルーキー」の為に2組(107名ずつ)の乗組員が用意されるとの事です。
アメリカ海軍の戦略原潜では、1隻につき2組の乗員チーム(ブルーとゴールド)が用意されていますが、これはロシア海軍も同様です。
「ユーリー・ドルゴルーキー」の場合、2003年7月にファーストチームとセカンドチームが編成され、ファーストチームをコンスタンチン・ミトキン1等海佐、セカンドチームをウラジーミル・シリン1等海佐が率いていました。
「ユーリー・ドルゴルーキー」の運航を担当したのはファーストチームであり、対外的にはファーストチームのリーダーであるミトキン氏が「ユーリー・ドルゴルーキー」艦長として紹介されていました。
[ボレイ型戦略原潜ユーリー・ドルゴルキィ初代艦長コンスタンチン・ミトキン]
セカンドチームは、ファーストチームへの人材供給源という位置付けでした。
「ユーリー・ドルゴルーキー」の航海試験が開始される2009年6月には、ファーストチームとセカンドチームのリーダーが交代し、同艦の航海試験はシリン艦長の下で実施されました。
その後、2010年にはセカンドチームのリーダーがA.パヴロフスキーに交代しました。
つまり、今年中にセカンドチームも定員を満たし、こちらも慣熟訓練を行う必要が有るという事です。
これらの準備が今年中に完了し、「ユーリー・ドルゴルーキー」は来年初頭から戦略パトロール任務に就くことになるようです。
なお、「ボレイ」級戦略原潜の最大潜航深度は450m程度とされていますが、今回の記事によると、600mまで潜航できるようです。
記事末文で触れられているように、「ボレイ」級の主要兵装は16基の弾道ミサイル「ブラヴァー」ですが、「ボレイ」級の計画当初は、R-39UTTkh「バルク」弾道ミサイル12基を搭載する事になっていました。

しかし、「バルク」が1998年に開発中止され、新たに「ブラヴァー」を開発する事になった為、「ボレイ」級も設計変更され、現在の形になりました。
[幻と消えたSLBM「バルク」]

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