ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワ(スラヴァ)の生涯(1983年~2022年)
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プロジェクト1164「アトラント」ロケット巡洋艦の1番艦「スラヴァ」は、1976年11月5日にウクライナのニコラエフ市の『61コムーナ記念造船工場』で起工され、1979年7月27日に進水しました。

プロジェクト1164は、元々はプロジェクト1134B大型対潜艦(1971年~1979年に7隻就役)に長距離対艦ミサイル「バザーリト」を装備する1134Bの派生型として計画されました。
プロジェクト1134B・「バザーリト」単装発射機8基装備案
(対潜ミサイル発射機と76mm砲を撤去して「バザーリト」単装発射機8基を装備)

プロジェクト1134B・「バザーリト」連装発射機6基装備案
(「バザーリト」連装発射機6基を装備する代わりにヘリコプター格納庫と後部艦対空ミサイル発射機を撤去)

しかし、1134Bの船体のままでは、大型の「バザーリト」を十分に装備できない(無理に装備しようとすれば他の兵装が犠牲になる)為、新規設計される事になりました。

1972年4月には新規のプロジェクト1164ロケット巡洋艦の設計がスタートし、「バザーリト」以外にも新規開発の兵器(高射ミサイルS-300F「フォルト」やAK-130 130mm連装砲)を装備する事になりました。
1982年秋に洋上試験を行なう「スラヴァ」

1982年12月13日にソヴィエト連邦海軍へ納入され、1983年1月30日に海軍旗初掲揚式典を開催し、正式に海軍へ就役しました。
就役後は黒海艦隊へ編入され、何度も地中海へ派遣されました。
1986年11月18日~22日にはギリシャのピレウス港を訪問しました。
1983年9月に地中海で行動中の「スラヴァ」

1989年12月初頭にマルタ島で行なわれたソ連とアメリカの首脳のマルタ会談にも同行しました。
[ソ連海軍ロケット巡洋艦スラヴァが見た東西冷戦終結(1989年)]
1991年3月21日から建造元の『61コムーナ記念造船工場』で大規模なオーバーホールを開始しました。
しかし、オーバーホール中にソヴィエト連邦は解体され、ウクライナは独立した為、ニコラエフ市のドックに居た「スラヴァ」は宙に浮く事になりました。

ソ連邦解体後の財政難により「スラヴァ」のオーバーホールの資金は捻出できず、おまけにロシアとウクライナの黒海艦隊帰属・分割問題により、「スラヴァ」もロシアとウクライナの所有権争いに巻き込まれました。
(ウクライナは、自国のドックに居る「スラヴァ」の所有権を主張した)
1995年6月22日、「スラヴァ」は、除籍されるプロジェクト1123対潜巡洋艦の名前を受け継ぎ、「モスクワ」と改名されました。

1997年5月28日にロシア-ウクライナ間で締結された黒海艦隊分割協定により、「スラヴァ」改め「モスクワ」はロシア海軍所属となりました。
1998年5月13日、除籍される親衛警備艦「クラースヌイ・カフカース」の親衛旗を受け継ぎ、親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」となりました。

この間、「スラヴァ」改め「モスクワ」のオーバーホールが資金不足により進まない事に業を煮やしたモスクワ市は、2000万ドルを寄付しました。
「モスクワ」のオーバーホールは1999年7月に完了し、黒海艦隊旗艦として復帰しました。


オーバーホール期間中に「モスクワ」の対艦ミサイルは、「バザーリト」から「ヴルカーン」へ換装されました。
2001年8月~9月にはフランスのコート・ダジュールのロシア文化イベントへ参加し、フランスのカンヌ港とトゥーロン港、チュニジアのラ・グレット港、イタリアのブリンディジ港を訪問しました。
2002年10月~11月に地中海へ進出し、フランスのトゥーロン港とシリアのラタキア港を訪問しました。
2003年4月~6月にはインド洋への遠距離航海を行ない、インドのムンバイ港とヴィシャーカパトナム港、エジプトのポートサイド港を訪問しました。
[ロシア海軍、インド洋遠征(2003年4~5月):その2・黒海艦隊の親衛ロケット巡洋艦モスクワ]
2004年8月~9月に地中海へ進出し、イタリア海軍との合同演習『IONIEKS-2004』へ参加し、イタリアのタラント港とアウグスタ港、トルコのイズミル港、マルタのヴァレッタ港、ギリシャのテッサロニキ港とレムノス港を訪問しました。
2005年7月に地中海へ進出し、イタリアのナポリ港、フランスのメントン港を訪問しました。
2006年2月に地中海へ進出し、イタリアのメッシーナ港、シリアのラタキア港、トルコのイスタンブール港を訪問し、北大西洋条約機構(NATO)の地中海での合同演習『オペレーション・アクティブ・エンデバー』やトルコ主導の黒海諸国合同演習『ブラック・シー・ハーモニー』へ参加しました。
2007年12月初頭から2008年2月初頭まで行なわれた北方艦隊の重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の地中海遠征に参加し、ポルトガルのリスボン港を訪問しました。
[空母アドミラル・クズネツォフ第2次地中海遠征(2007年12月~2008年2月)]
[スラヴァ級ミサイル巡洋艦「モスクワ」、大西洋上で戦闘訓練(2008年1月21日)]
2008年8月上旬のロシア・グルジア戦争(南オセチア紛争)の際、黒海東部へ派遣されました。
[南オセチア紛争(2008年8月)]
2009年1月末にイタリアのメッシナ港を訪問しました。
[巡洋艦「モスクワ」は、シチリア島を訪問する]
2010年5月には北方艦隊の重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」と共に極東(沿海地方)へ派遣され、戦略演習『ヴォストーク-2010』へ参加しました。

『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
【セヴァストーポリから沿海地方まで】2010年4月9日~5月26日
4月9日にセヴァストーポリから出航し、4月24日にオマーンのマスカット港、5月14日~16日にフィリピンのマニラ港を訪問し、5月26日にウラジオストクへ入港しました。

【沿海地方からセヴァストーポリまで】2010年7月22日~9月7日
7月22日にウラジオストクを出航し、7月29日~31日にフィリピンのマニラ港、8月6日~8日にマレーシアのクラン港、8月16日にスリランカのコロンボ港を訪問し、9月7日にセヴァストーポリへ帰投しました。


『ロシア通信社ノーボスチ』より。
【実地戦略演習「ヴォストーク-2010」纏め】
2011年11月中旬に地中海でに実施されたロシア-イタリア海軍合同演習『イオネクス-2011』へ参加しました。
2012年2月23日、モスクワ市より100万ルーブルの寄付を受けました。
[親衛ロケット巡洋艦「モスクワ」は100万ルーブルを寄付された]
2012年9月には南方軍管区の戦略演習『カフカース-2012』へ参加しました。
2012年秋までに衛星通信複合体「ツェンタヴル-NM-1」が装備されました。
2012年10月下旬に地中海東部へ進出し、2013年1月下旬にキプロスのリマソール港を訪問した後、黒海と地中海で行なわれたロシア海軍3艦隊合同演習へ演習総旗艦として参加しました。
[ロシア海軍3艦隊合同演習(2013年1月下旬)]
2013年7月から9月まで大西洋とカリブ海への遠距離航海を行ないました。
[ロシア海軍大西洋・カリブ海遠征(2013年7月-9月)]
この間、キューバのハバナ港を訪問、パナマ運河を通過して太平洋へ入りニカラグアのコリント港を訪問し、その後、再びパナマ運河を通過してベネズエラのラグアイラ港を訪問しました。
カリブ海から戻った「モスクワ」は2013年9月から11月まで地中海で行動し、11月6日にセヴァストーポリへ帰投した後、浮きドックで修理されました。
[ロシア黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはドック入りした]
2014年2月7日から23日までロシアのソチ市で開催された第22回オリンピック冬季競技大会(ソチオリンピック)の警護に就きました。
[親衛ロケット巡洋艦モスクワと警備艦プイトリーヴイはソチ冬季オリンピックを護る]
2014年9月から2015年1月まで太平洋への遠距離航海を行ないました。
[ロケット巡洋艦モスクワ遠距離航海(2014年9月-2015年1月)]
この間、ギリシャのケルキラ港、エジプトのアレクサンドリア港、スリランカのコロンボ港(2回)、シンガポールのチャンギ港(2回)、オマーンのサラーラ港を訪問し、ニューギニア島沖まで進出しました。
2015年5月11日~21日に地中海東部で実施された中国海軍との合同演習『海洋協同-2015』へ参加しました。
[ロシア-中国海軍合同演習「海洋協同-2015」(2015年5月)]
2015年6月中旬に地中海東部で実施されたエジプト海軍との合同演習『友情の橋-2015』へ参加し、6月6日と13日にエジプトのアレクサンドリア港を訪問しました。
[合同演習『友情の橋-2015』を終えたロシア海軍とエジプト海軍の艦船はアレクサンドリアへ戻った]
2015年6月下旬から8月初頭まで大西洋へ進出し、アンゴラのルアンダ港と赤道ギニアのマラボ港を訪問しました。
[ロシア黒海艦隊大西洋遠征(2015年6月-)]
2015年9月24日にセヴァストーポリを出航して地中海東部へ向かい、シリア沖(ラタキア沖)で行動した後、2016年1月9日にセヴァストーポリへ帰港しました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはシリアからセヴァストーポリへ帰港した]
2016年5月21日から7月16日までセヴァストーポリの第13艦船修理工場の浮きドックへ入渠しました。
2016年7月22日、視察のためにセヴァストーポリを訪れたロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将によりナヒーモフ勲章が授与されました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはナヒーモフ勲章を授与された]
2016年7月31日、2017年7月30日、2018年7月29日の「ロシア海軍の日」には、セヴァストーポリの観艦式へ参加しました。
「モスクワ」は、2018年から近代化改装の開始が予定されていました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワは2018年からセヴァストーポリで近代化改装を行なう]
しかし、「モスクワ」の近代化改装についてはロシア海軍部内でも反対する者が少なからず存在しており、最終決定は先送りされ続けました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワの近代化改装は断念される?]
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワの近代化改装は断念されていない]
結局、セヴァストーポリの『第13艦船修理工場』で「モスクワ」の修理を行なう事になりました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦モスクワはセヴァストーポリで修理を行なう]
2019年6月5日、「モスクワ」はセヴァストーポリを出航し、黒海へ出ました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは3年ぶりに出航した]
2019年7月28日の「ロシア海軍の日」には、セヴァストーポリの観艦式へ参加しました。

その後、セヴァストーポリで機関の修理を行ないました。
2019年12月4日、他の黒海艦隊所属艦と共に、緊急出航などの訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは緊急出航訓練を行なった]
「モスクワ」は2020年4月22日からセヴァストーポリ北方乾ドックでの修理を開始しました。


7月3日に乾ドックを出ました。
その後は艦船係留埠頭へ戻り、最終的なメンテナンス作業が行なわれました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは2020年8月に最終メンテナンスを終える]
2020年7月26日の「ロシア海軍の日」には、セヴァストーポリの観艦式へ参加しました。

このオーバーホールにより「モスクワ」の寿命は20年延長されました

[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは2040年代初頭まで現役に留まる]
現役復帰した「モスクワ」は、9月2日に乗組員の慣熟訓練の為、黒海へ出航しました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは黒海で演習を行なう為に出航した]
9月8日には、現役復帰後の初めてのヘリコプター発着訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは現役復帰後の初のヘリコプター発着訓練を行なった]
その後、海上で各種戦闘訓練などを行ない、9月11日にセヴァストーポリへ帰投しました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは戦略指揮-参謀演習『カフカス-2020』への参加を準備する]
2020年9月21日から26日までロシア南部で実施されたロシア連邦軍南方軍管区の戦略指揮参謀演習『カフカス-2020』へ参加しました。
[ロシア海軍黒海艦隊は戦略指揮参謀演習『カフカス-2020』へ参加する]
12月5日にはセヴァストーポリ港内で消火訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは消火訓練を行なった]
2021年1月30日に就役(海軍旗初掲揚式典)38周年を迎えました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは就役38周年を迎えた]
2021年2月初頭には、駐留基地であるセヴァストーポリ港内へ停泊した状態での乗組員の各種訓練(錬成任務K-1)を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワはセヴァストーポリ基地で乗組員の錬成訓練を行なった]
その後、洋上へ出航する前の消磁作業を行ないました。
3月12日には洋上で乗組員の各種訓練(錬成任務K-2)を行なう為、セヴァストーポリから出航しました。

[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは洋上訓練の為に黒海へ出航した]
その後、一旦帰投し、3月19日に再び出航しました。

帰投後の3月30日、セヴァストーポリ港内で対空防衛訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワはセヴァストーポリ基地で対空防衛訓練を行なった]
4月22日にクリミア半島沿岸で行なわれた黒海艦隊と南方軍管区の上陸演習へ参加しました。
[クリミア半島沿岸でロシア海軍黒海艦隊とロシア南方軍管区の上陸演習が行なわれた]
翌4月23日にセヴァストーポリへ帰投しました。
4月27日、黒海で各種戦闘訓練を行なう為、セヴァストーポリから出航しました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは黒海で戦闘訓練を行なう]
4月30日には黒海で対艦ミサイル「ヴルカーン」を発射しました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは黒海で対艦ミサイル"ヴルカーン"を発射した]
5月18日からフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」(494、2016年3月11日就役)と共に黒海で各種戦闘訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワとフリゲート アドミラル・グリゴロヴィチは黒海で対潜戦闘訓練を実施した]
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワとフリゲート アドミラル・グリゴロヴィチは黒海で対空戦闘訓練を実施した]
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワとフリゲート アドミラル・グリゴロヴィチは黒海での演習を終えてセヴァストーポリへ帰投した]
長期オーバーホールを終えて復帰して以来、「モスクワ」は黒海でのみ行動していましたが、2021年6月中旬にセヴァストーポリを出航し、6月18日にはボスポラス海峡を南下、地中海へ向かいました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワは遠距離航海を準備する]
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワとフリゲート アドミラル・エッセンは地中海東部へ向かった]
2021年6月25日から地中海東部で始まったロシア海軍とロシア航空宇宙軍の合同演習へ参加しました。
[ロシア海軍とロシア航空宇宙軍は地中海東部で合同演習を開始した]
[ロシア海軍地中海作戦連合部隊は英空母クイーン・エリザベス機動部隊の近くでミサイル発射演習を行なう]
[ロシア海軍地中海作戦連合部隊は地中海東部で対空防衛演習を実施した]
[地中海東部でロシア海軍とロシア航空宇宙軍の合同防空演習が実施された]
演習終了後、7月5日に地中海を去りました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワとフリゲート アドミラル・エッセンは地中海を去った]
2021年10月11日にはフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」、警備艦「ラードヌイ」、海洋掃海艦「コヴロヴェツ」と共に黒海で海上戦闘訓練を行ないました。
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア南方軍管区(黒海艦隊)広報サービス発表
2021年10月11日12時0分配信
【黒海艦隊の艦は海上戦闘訓練射爆場で練習戦闘を実施した】
2021年11月中旬には、フリゲート「アドミラル・エッセン」、哨戒艦「パーヴェル・デルジャーヴィン」と共に、黒海へ入ったアメリカ海軍の指揮艦「マウント・ホイットニー」と駆逐艦「ポーター」を監視した後、11月16日にセヴァストーポリへ帰投しました。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
【黒海艦隊旗艦はセヴァストーポリへ戻った】

2022年1月末に始まったロシア海軍4艦隊(北方艦隊、太平洋艦隊、黒海艦隊、バルト艦隊)同時演習の一環としてクリミア半島周辺海域で実施された黒海艦隊演習へ参加する為、2月12日にセヴァストーポリを出航しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の30隻以上の艦船は黒海(クリミア半島周辺海域)で演習を行なう為に出航した]
2月18日には黒海で砲撃戦闘訓練を行ないました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦モスクワはクリミア半島周辺海域で砲撃戦闘訓練を実施した]
その後、2022年2月24日から始まった『ウクライナ特殊軍事作戦』に参加しました。
[『ウクライナ特殊軍事作戦』におけるロシア海軍黒海艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章親衛ロケット巡洋艦モスクワの動向]
2022年3月下旬には舷側番号(121)と艦名が消されました。
2022年3月9日

2022年3月23日

2022年4月10日、「モスクワ」はセヴァストーポリから出航しました。
これが最後の出航となりました。
4月13日夕方、オデッサ沖で行動中の「モスクワ」で火災が発生し、弾薬に引火して爆発しました。
[ロシア海軍黒海艦隊旗艦・ロケット巡洋艦モスクワで火災が発生し、弾薬が爆発した]

大破した「モスクワ」はセヴァストーポリへ曳航されましたが、翌4月14日、悪天候により北緯44度56分・東経31度44分の地点で沈没しました。
『赤旗黒海艦隊情報リソース』より
【ロケット巡洋艦「スラヴァ」(「モスクワ」)】
「モスクワ」乗組員1名が死亡、27名が行方不明となりました。
「モスクワ」乗組員はセヴァストーポリへ戻り、ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将と対面しました。
『MashNews』より
2022年4月16日19時56分配信
【海軍総司令官エフメノフ大将は沈没した「モスクワ」の乗組員と会合した】
「モスクワ」艦長アントン・クプリン1等海佐は死亡したと報じられましたが、4月16日にロシア海軍総司令官と「モスクワ」乗組員が対面した際、クプリン艦長らしき人物が見られ、4月21日付のイギリスの対ロシア制裁リストにはクプリン氏が加えられています。
なお、「モスクワ」という名の軍艦が戦時に沈没したのは、今回で2度目になります。
1度目は、プロジェクト1嚮導駆逐艦「モスクワ」(1938年8月10日就役)でした。

『赤旗黒海艦隊情報リソース』より
【嚮導駆逐艦「モスクワ」】

ナチスドイツの侵攻によりソヴィエト連邦が第2次世界大戦に参加してから4日後の1941年6月26日、ルーマニアのコンスタンツァ軍港攻撃へ向かった黒海艦隊の嚮導駆逐艦「モスクワ」はルーマニア軍の反撃により撃沈され、乗組員17名は同行していた嚮導駆逐艦「ハリコフ」に収容されましたが、69名はルーマニア軍の捕虜となりました。
艦長アレクサンドル・ボリソヴィチ・トゥホフ大尉も捕虜になりましたが、その後脱走してオデッサ付近のパルチザンへ参加し、1942年3月5日に戦死しました。

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