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近代化改装されたロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは黒海で最初の洋上試験を終えてセヴァストーポリへ帰投した


『タス通信』より
2022年7月8日15時53分配信
【黒海艦隊最古の潜水艦「アルローサ」は近代化の後の試験の第1段階を成功裏に終えた】
セヴァストーポリ、7月8日/タス通信

黒海艦隊潜水艦「アルローサ」は、その修理及び近代化の後の航行試験の第1段階を成功裏に実施した後にセヴァストーポリへ戻ってきた。
金曜日に『タス通信』黒海艦隊第13艦船修理工場の広報秘書官セルゲイ・ゴルバチョフより伝えられた。

「潜水艦アルローサは、航行試験の第1段階の実施後に工場の水域へ戻りました」
彼は話し、試験は成功裏に終わったことを確認した。

ゴルバチョフは、現在、洗い出された問題点が取り除かれ、潜水艦は試験の次の段階の準備を控えている事を明らかにした。

「アルローサ」は、ソヴィエト社会主義共和国連邦の崩壊直前にゴーリキー市(現ニジニ・ノヴゴロド)の『クラースノエ・ソルモヴォ』工場で建造され、プロジェクト877実験プロジェクトに属している。
その特徴は、スクリューに代わり、最大限の隠密裏の移動を保障する噴水推進装置が設置された事に在る。
噴水推進装置を持つ潜水艦は、海外からは「ブラックホール」と呼ばれている。

5月初頭に潜水艦の修理は完了すると伝えられ、「アルローサ」は新たな戦闘能力及び技術能力を獲得し、近年に黒海艦隊へ到着した6隻の潜水艦と同等の潜水艦となった。
以前、セヴァストーポリの軍機関の情報提供者は、潜水艦は近代化の後に複合体「カリブル-PL」搭載艦になると『タス通信』へ伝えた。



プロジェクト877V潜水艦B-871は、ロシア内陸部のゴーリキー(現ニジニー・ノヴゴロド)のクラースノエ・ソルモヴォ造船所で1988年5月17日に起工され、1989年9月10日に進水し、1990年12月30日に就役し、黒海艦隊へ配備されました。

プロジェクト877Vは、試験的に艦尾にポンプジェットを装備した実験艦です。
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1991年12月から1992年3月まで戦闘勤務を行ないましたが、1992年3月13日に乗組員の一部がウクライナへ忠誠を誓い、機関室を占拠して潜水艦の乗っ取りを試みました。
乗っ取りの試みは阻止されたものの、ソ連邦解体後のロシア・ウクライナ間の黒海艦隊分割・帰属問題も有り、更にはバッテリーの不調も有って1992年から1996年までは殆ど動きませんでした。

ただし、1996年2月10日公開のジャッキー・チェン主演の映画「First Strike」(ファイナル・プロジェクト)には、B-871が「出演」しています。

0:45から登場する潜水艦がB-871です。

1996年5月22日にバッテリーの交換を完了し、ようやく動けるようになりました。
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2004年1月5日に「アルローサ」と命名されました。
「アルローサ」は、ロシア宝石会社です。
【『アルローサ』公式サイト】

2011年6月にスペイン沖で実施された国際海軍演習『ボールド・モナーク-2011』に参加しました。


その後、2011年7月から2012年7月までバルト海沿岸のクロンシュタットで修理され、2012年9月にセヴァストーポリへ戻りました。
[ポンプジェット潜水艦アルローサは黒海へ戻る]
[ポンプジェット潜水艦アルローサはセヴァストーポリへ戻った]

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2014年6月にセヴァストーポリ第13艦船修理工場(黒海艦隊直営)で修理及び近代化が始まりました。
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[ロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは近代化改装を行なう]
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦アルローサは近代化改装を行なっている]

「アルローサ」の近代化改装作業の完了時期は何度も延期され、2017年末の完了予定も実現しませんでした。
[ロシア海軍黒海艦隊の潜水艦アルローサの近代化改装は2017年に完了する]

2014年から2016年に掛け、黒海艦隊向けのプロジェクト06363潜水艦6隻が就役した為、黒海艦隊にとっては、「アルローサ」の復帰を急ぐ必要性は無くなりました。
[プロジェクト06363潜水艦]

そんな「アルローサ」ですが、今度はバルト艦隊へ転属させるという話が出てきました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサはバルト艦隊へ転属する]
[ロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは近代化改装後にバルト艦隊へ転属するかもしれない]

『第13艦船修理工場』の岸壁に係留されていた「アルローサ」でしたが、2019年5月末に同社の浮きドックへ入りました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサはセヴァストーポリの浮きドックへ入った]
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「アルローサ」の近代化改装作業の完了は2019年に予定されていましたが、またも延期されました。
[ロシア海軍のポンプジェット潜水艦アルローサの近代化改装は2019年に完了する]

「アルローサ」は、2021年6月26日に浮きドックを出渠し、『第13艦船修理工場』の岸壁へ移動しました。
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「アルローサ」の近代化改装作業の完了は、2021年11月に予定されていました。
[ロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサの近代化改装は2021年に完了する]

しかし結局、「アルローサ」の近代化改装工事の完了は2022年6月になりました。
『タス通信』より
2022年5月6日20時4分配信
【セヴァストーポリで潜水艦「アルローサ」の修理が完了する】

近代化改装により、「アルローサ」には巡航ミサイル「カリブル」の運用能力が付与されました。
『タス通信』より
2022年5月6日9時5分配信
【情報筋:「カリブル」で武装する潜水艦「アルローサ」は黒海に留まる】

2022年6月28日、「アルローサ」は洋上試験を行なう為にセヴァストーポリから出航しました。

[近代化改装により巡航ミサイル「カリブル」を装備したロシア海軍黒海艦隊のポンプジェット潜水艦アルローサは黒海で洋上試験を開始した]

洋上試験の第1段階を終えた「アルローサ」は、7月8日に一旦セヴァストーポリへ帰投しました。
今後、洋上試験の第2段階が行なわれます。

以前にはバルト艦隊への転属が予定されていた「アルローサ」ですが、結局、黒海艦隊へ留まる事になるようです。
[近代化改装により巡航ミサイル「カリブル」を装備するポンプジェット潜水艦アルローサはロシア海軍黒海艦隊へ復帰する]
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