ロシア海軍の第4世代多目的原子力潜水艦ヤーセン-Mの建造は進められている
『イズベスチヤ』より
2022年7月10日0時1分配信
【潜水艦の全て:「ヤーセン-M」潜水艦は艦隊の能力をどのように変えるのか】

新たなプロジェクト艦の装備と、8隻が勤務へ就き始めるのは何時になるのか
7月末に「ヤーセン-M」型原子力潜水艦「ノヴォシビルスク」は有翼ミサイルの練習戦闘発射を実施し、太平洋の恒久駐留場所へ向かう。
同プロジェクトの第2の生産潜水艦である「クラスノヤルスク」は7月初頭に初めて航行試験へ出発した。
防衛産業企業体の情報提供者が『イズベスチヤ』へ話したように、双方の潜水艦の作業及び試験スケジュールは既に軍当局と合意しており、これらのユニットと機構は高度の準備状態に在る。
これがロシア海軍の戦闘準備状態と国家の安全保障にとって何を意味するのか、軍事専門家ドミトリー・コルネフは特に『イズベスチヤ』の為に調べた。

[秘密裏の勤務]
最新の多目的原子力潜水艦「ヤーセン-M」プロジェクトの建造と運用開始はリズミカルなテンポになりつつあり、計画通りに動き始めている。
これらの潜水艦は、1993年に起工されたプロジェクト885「ヤーセン」潜水艦から続くシリーズである。
それ(セヴェロドヴィンスク)は記録的な長期の建造~18年であった。
プロジェクト「ヤーセン」原子力潜水艦には、ソヴィエトの全ての水中造船の成果が組み込まれている:最大限の騒音の低減、革新的な船体設計、独自の水中音響複合体、艦内魚雷発射管、様々な用途のミサイルの為の汎用垂直発射装置。
実際に「セヴェロドヴィンスク」は、その後にプロジェクト885M「ヤーセン-M」シリーズで実現した最先端の解決策へ取り組んだ潜水艦となった。
これは、8隻から成る汎用打撃潜水艦シリーズである。
海軍では、シリーズの最初の艦はトップと呼ばれ、その後に生産モデルが続く~、1隻目、2隻目など。
プロジェクト「ヤーセン-M」のトップ潜水艦はK-561「カザン」であり、最初の生産潜水艦はK-573「ノヴォシビルスク」である。
「カザン」は3年に渡る試験と修正の後、2021年5月に北方艦隊の戦闘編制へ加わった。
「ノヴォシビルスク」は「カザン」に続いて昨年12月に海軍へ受け入れられた。
更新プロジェクトはロシアの協力企業のみで建造されており、近代化されたシステム及び機器を有する。
新たな潜水艦は最初の「ヤーセン」(セヴェロドヴィンスク)よりも数メートル短くなったが、全ての主要な機能は保持されている。
同プロジェクト潜水艦は汎用打撃艦であり、他の潜水艦との戦闘や、水上及び地上の目標の破壊の双方で任務を遂行できる。
水中で「ヤーセン-M」は、水中音響複合体「イルティシュ-アンフォラ」の助力により数十キロメートルの距離で全てを「聞き取る」
それには強力な艦首球形アンテナと幾つかの艦内アンテナが含まれる。
事実、「ヤーセン-M」は前半球のみならず、側面や後半球の周囲の空間も「聞き取る」
騒音の低減を考慮すれば、これは敵を最初に探知し、打撃を与えるという利点をもたらす。
[遠距離打撃]
潜水艦は、潜水艦や水上艦を攻撃できる現代的な誘導魚雷を装備する。
敵の座標を受け取った「ヤーセン-M」は、このような目標へミサイル複合体「カリブル-PL」を使用できる。
原子力艦「ヤーセン」は単に「カリブル」だけでは無く、プロジェクト06363通常動力潜水艦へ配置されている同様のミサイル複合体とは異なる。
「ヤーセン」の発射装置は有翼ミサイル「カリブル」と「オーニクス」に加え、今年に試験を完了する更に強力な汎用極超音速ミサイル「ツィルコン」を使用できる。
通常の「カリブル」は少なくとも距離250キロメートルの海上目標と、距離2500キロメートルの地上目標を攻撃できる。
このような兵装により、「ヤーセン」は実質的に戦略任務を遂行できる。
少なくとも1000キロメートルの距離で「ツィルコン」により、予想できない斬首及び不可避の打撃を与える事が出来る。
現代の対空防衛では、この極超音速ミサイルによる攻撃の撃退は事実上不可能である。
8隻の原子力打撃潜水艦シリーズは多くは無く、北方艦隊と太平洋艦隊の為に4隻ずつの潜水艦となる。
おそらくは「ヤーセン-M」シリーズに続き、汎用性は劣らず、より予算が掛かるプロジェクト「ハスキー」潜水艦の建造が始まるだろう。
その詳細は未だ無いし、幾つかの比較は、未だ純粋に仮説でしかない。
それはさて置き、太平洋の為の最初の潜水艦K-573「ノヴォシビルスク」は今度の冬までにはカムチャツカへの移動を行ない、最新のプロジェクト「ボレイ」戦略水中ロケット艦と共に勤務へ就く。
その後、準備が整えば更に数隻のプロジェクト885M潜水艦が合流する。
「ヤーセン-M」シリーズ原子力潜水艦の建造は、おおよそ2027年~2028年の完了が見込まれている。
同プロジェクトの次の潜水艦K-571「クラスノヤルスク」は、2022年末までに海軍へ受け入れられなければならない。
この潜水艦は6月末に航行試験の為に海上へ出た。
北方艦隊での作業と越冬を終えた後、「クラスノヤルスク」もまた太平洋へ行く可能性は十分に有る。
これにより、ロシア海軍の太平洋潜水艦グループは著しく強化される。
「クラスノヤルスク」に続き、艦隊は「アルハンゲリスク」、「ペルミ」、「ウリヤノフスク」、「ヴォロネジ」、「ウラジオストク」を待っている。
ロシア海軍の第4世代原子力潜水艦となるプロジェクト885「ヤーセン」原子力水中巡洋艦シリーズは、現在までに9隻がセヴェロドヴィンスク市の『セヴマシュ』(北方機械製造事業)で起工され、このうち3隻が就役しています。
ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より。
【プロジェクト885「ヤーセン」】
最初に第4世代原子力潜水艦の構想が出たのは1977年の事でした。
当初は、『マラヒート』、『ルビーン』、『ラズリート』の各潜水艦設計局が、自社設計の原子力潜水艦の後継として別個に第4世代原子力潜水艦を設計していました。
魚雷ロケット原子力潜水艦プロジェクト958「アファリナ」(プロジェクト971シリーズの後継)
(サンクトペテルブルク海洋工学設計局『マラヒート』が設計)

有翼ミサイル原子力潜水艦プロジェクト881「メルクーリイ」(プロジェクト949シリーズの後継)
(海洋工学中央設計局『ルビーン』が設計)

魚雷ロケット原子力潜水艦プロジェクト957「ケドル」(プロジェクト945シリーズの後継)
(海洋工学設計局『ラズリート』が設計)

しかし結局これらのプロジェクトは中止され、『マラヒート』の設計案「アファリナ」をベースにして艦後部に有翼ミサイル発射機を装備したプロジェクト885「ヤーセン」の設計が1985年に始まりました。
従来のソヴィエト/ロシアの潜水艦は艦首に魚雷発射管を装備していましたが、「ヤーセン」は艦首に大型の水中音響複合体(ソナー)を搭載した為、魚雷発射管は艦中央部側面に移動しました。

技術的にはソヴィエト/ロシアの一連の攻撃型原子力潜水艦の系譜に連なる「ヤーセン」ですが、有翼ミサイル発射機を装備した事により、ソヴィエト/ロシアの一連の有翼ミサイル原子力潜水艦の系譜も受け継ぐ事になりました。


[ソ連/ロシア海軍の潜水艦用原子炉の系譜]

プロジェクト885の1番艦K-560「セヴェロドヴィンスク」は1993年12月21日に起工され、2010年6月15日に進水、2013年12月30日に竣工、2014年6月17日に就役し、北方艦隊の第11潜水艦師団(対空母師団)へ編入されました。
[ロシア海軍最新鋭多用途原潜セヴェロドヴィンスクに聖アンドレイ旗は揚がった]
2番艦K-561「カザン」からは改良型のプロジェクト885M「ヤーセン-M」となり、2009年7月24日に起工され、2017年3月31日に進水し、2021年5月7日に就役、北方艦隊へ配備されました。
[改セヴェロドヴィンスク型原子力水中巡洋艦カザンはロシア海軍へ就役し、北方艦隊へ編入された]

プロジェクト885M「ヤーセン-M」は、以前の885「ヤーセン」(「セヴェロドヴィンスク」)よりも全長が10メートル短くなっています。
3番艦(「ヤーセン-M」としては2隻目)K-573「ノヴォシビルスク」は2013年7月26日に起工され。2019年12月25日に進水、2021年2月21日に就役し、太平洋艦隊へ編入されました。
[戦略用途原子力ロケット水中巡洋艦クニャージ・オレグと原子力水中巡洋艦ノヴォシビルスクはロシア海軍へ就役し、太平洋艦隊へ編入された]
2022年夏以降に太平洋艦隊基地へ回航されます。
[ロシア海軍太平洋艦隊の最新鋭原子力水中巡洋艦ノヴォシビルスクは2022年7月末に巡航ミサイル「カリブル」と「オーニクス」を発射する]
4番艦(「ヤーセン-M」としては3隻目)「クラスノヤルスク」は、2014年7月27日に起工されました。
[多用途原潜ヤーセン級4番艦クラスノヤルスク(と戦略原潜ボレイ級5番艦)はロシア海軍の日に起工された]
2022年6月末から洋上試験を開始しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為のヤーセン-M級原子力水中巡洋艦クラスノヤルスクは白海で洋上試験を開始した]
ロシア海軍への引き渡しは2022年以降に予定されており、太平洋艦隊へ配備されます。
5番艦(「ヤーセン-M」としては4隻目)「アルハンゲリスク」は、2015年3月19日に起工されました。
ロシア海軍への引き渡しは2023年以降に予定されており、北方艦隊へ配備されます。
[ロシア海軍の為のヤーセン級多用途原潜5番艦アルハンゲリスクは起工された]
6番艦(「ヤーセン-M」としては5隻目)「ペルミ」は、2016年7月29日に起工されました。
ロシア海軍への引き渡しは2023年以降に予定されており、太平洋艦隊へ配備されます。
[ロシア海軍の為の第6のヤーセン級原子力水中巡洋艦ペルミはセヴェロドヴィンスクで起工された]
7番艦(改「ヤーセン」級としては6隻目)「ウリヤノフスク」は、2017年7月28日に起工されました。
[ロシア海軍北方艦隊の為の第4世代原子力水中巡洋艦ヤーセン級7番艦(最終艦)ウリヤノフスクは起工された]
ロシア海軍への引き渡しは2024年に予定されており、北方艦隊へ配備されます。
これで「ヤーセン」シリーズの建造は終了する筈でしたが、2019年6月27日、モスクワ州の愛国者公園で開催された軍事機器展示会『アルミヤ-2019』の会場において、「ヤーセン-M」2隻の新たな建造契約が締結されました。
[ロシア海軍の為のヤーセン-M級多用途原潜2隻とラーダ級潜水艦2隻が追加発注された]
2020年7月20日、8番艦(「ヤーセン-M」としては7隻目)「ヴォロネジ」と9番艦(「ヤーセン-M」としては8隻目)「ウラジオストク」が一斉に起工されました。

[ロシア海軍の最新鋭原子力水中巡洋艦ヴォロネジとウラジオストクはセヴェロドヴィンスクで起工された]
2021年春から船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍のヤーセン-M原子力水中巡洋艦ウラジオストクとヴォロネジの船体の形成が始まった]
現在の所、この2隻のロシア海軍への引き渡しは、2027~2028年に予定されおり、「ヴォロネジ」は北方艦隊、「ウラジオストク」は太平洋艦隊へ配備されます。
[ヤーセン-M原子力水中巡洋艦ヴォロネジとウラジオストクは2027-2028年にロシア海軍へ就役する]
将来的には、このような配置になります。
北方艦隊(第11潜水艦師団)
「セヴェロドヴィンスク」、「カザン」、「アルハンゲリスク」、「ウリヤノフスク」、「ヴォロネジ」
太平洋艦隊(第10潜水艦師団)
「ノヴォシビルスク」、「クラスノヤルスク」、「ペルミ」、「ウラジオストク」
2022年7月10日0時1分配信
【潜水艦の全て:「ヤーセン-M」潜水艦は艦隊の能力をどのように変えるのか】

新たなプロジェクト艦の装備と、8隻が勤務へ就き始めるのは何時になるのか
7月末に「ヤーセン-M」型原子力潜水艦「ノヴォシビルスク」は有翼ミサイルの練習戦闘発射を実施し、太平洋の恒久駐留場所へ向かう。
同プロジェクトの第2の生産潜水艦である「クラスノヤルスク」は7月初頭に初めて航行試験へ出発した。
防衛産業企業体の情報提供者が『イズベスチヤ』へ話したように、双方の潜水艦の作業及び試験スケジュールは既に軍当局と合意しており、これらのユニットと機構は高度の準備状態に在る。
これがロシア海軍の戦闘準備状態と国家の安全保障にとって何を意味するのか、軍事専門家ドミトリー・コルネフは特に『イズベスチヤ』の為に調べた。

[秘密裏の勤務]
最新の多目的原子力潜水艦「ヤーセン-M」プロジェクトの建造と運用開始はリズミカルなテンポになりつつあり、計画通りに動き始めている。
これらの潜水艦は、1993年に起工されたプロジェクト885「ヤーセン」潜水艦から続くシリーズである。
それ(セヴェロドヴィンスク)は記録的な長期の建造~18年であった。
プロジェクト「ヤーセン」原子力潜水艦には、ソヴィエトの全ての水中造船の成果が組み込まれている:最大限の騒音の低減、革新的な船体設計、独自の水中音響複合体、艦内魚雷発射管、様々な用途のミサイルの為の汎用垂直発射装置。
実際に「セヴェロドヴィンスク」は、その後にプロジェクト885M「ヤーセン-M」シリーズで実現した最先端の解決策へ取り組んだ潜水艦となった。
これは、8隻から成る汎用打撃潜水艦シリーズである。
海軍では、シリーズの最初の艦はトップと呼ばれ、その後に生産モデルが続く~、1隻目、2隻目など。
プロジェクト「ヤーセン-M」のトップ潜水艦はK-561「カザン」であり、最初の生産潜水艦はK-573「ノヴォシビルスク」である。
「カザン」は3年に渡る試験と修正の後、2021年5月に北方艦隊の戦闘編制へ加わった。
「ノヴォシビルスク」は「カザン」に続いて昨年12月に海軍へ受け入れられた。
更新プロジェクトはロシアの協力企業のみで建造されており、近代化されたシステム及び機器を有する。
新たな潜水艦は最初の「ヤーセン」(セヴェロドヴィンスク)よりも数メートル短くなったが、全ての主要な機能は保持されている。
同プロジェクト潜水艦は汎用打撃艦であり、他の潜水艦との戦闘や、水上及び地上の目標の破壊の双方で任務を遂行できる。
水中で「ヤーセン-M」は、水中音響複合体「イルティシュ-アンフォラ」の助力により数十キロメートルの距離で全てを「聞き取る」
それには強力な艦首球形アンテナと幾つかの艦内アンテナが含まれる。
事実、「ヤーセン-M」は前半球のみならず、側面や後半球の周囲の空間も「聞き取る」
騒音の低減を考慮すれば、これは敵を最初に探知し、打撃を与えるという利点をもたらす。
[遠距離打撃]
潜水艦は、潜水艦や水上艦を攻撃できる現代的な誘導魚雷を装備する。
敵の座標を受け取った「ヤーセン-M」は、このような目標へミサイル複合体「カリブル-PL」を使用できる。
原子力艦「ヤーセン」は単に「カリブル」だけでは無く、プロジェクト06363通常動力潜水艦へ配置されている同様のミサイル複合体とは異なる。
「ヤーセン」の発射装置は有翼ミサイル「カリブル」と「オーニクス」に加え、今年に試験を完了する更に強力な汎用極超音速ミサイル「ツィルコン」を使用できる。
通常の「カリブル」は少なくとも距離250キロメートルの海上目標と、距離2500キロメートルの地上目標を攻撃できる。
このような兵装により、「ヤーセン」は実質的に戦略任務を遂行できる。
少なくとも1000キロメートルの距離で「ツィルコン」により、予想できない斬首及び不可避の打撃を与える事が出来る。
現代の対空防衛では、この極超音速ミサイルによる攻撃の撃退は事実上不可能である。
8隻の原子力打撃潜水艦シリーズは多くは無く、北方艦隊と太平洋艦隊の為に4隻ずつの潜水艦となる。
おそらくは「ヤーセン-M」シリーズに続き、汎用性は劣らず、より予算が掛かるプロジェクト「ハスキー」潜水艦の建造が始まるだろう。
その詳細は未だ無いし、幾つかの比較は、未だ純粋に仮説でしかない。
それはさて置き、太平洋の為の最初の潜水艦K-573「ノヴォシビルスク」は今度の冬までにはカムチャツカへの移動を行ない、最新のプロジェクト「ボレイ」戦略水中ロケット艦と共に勤務へ就く。
その後、準備が整えば更に数隻のプロジェクト885M潜水艦が合流する。
「ヤーセン-M」シリーズ原子力潜水艦の建造は、おおよそ2027年~2028年の完了が見込まれている。
同プロジェクトの次の潜水艦K-571「クラスノヤルスク」は、2022年末までに海軍へ受け入れられなければならない。
この潜水艦は6月末に航行試験の為に海上へ出た。
北方艦隊での作業と越冬を終えた後、「クラスノヤルスク」もまた太平洋へ行く可能性は十分に有る。
これにより、ロシア海軍の太平洋潜水艦グループは著しく強化される。
「クラスノヤルスク」に続き、艦隊は「アルハンゲリスク」、「ペルミ」、「ウリヤノフスク」、「ヴォロネジ」、「ウラジオストク」を待っている。
ロシア海軍の第4世代原子力潜水艦となるプロジェクト885「ヤーセン」原子力水中巡洋艦シリーズは、現在までに9隻がセヴェロドヴィンスク市の『セヴマシュ』(北方機械製造事業)で起工され、このうち3隻が就役しています。
ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より。
【プロジェクト885「ヤーセン」】
最初に第4世代原子力潜水艦の構想が出たのは1977年の事でした。
当初は、『マラヒート』、『ルビーン』、『ラズリート』の各潜水艦設計局が、自社設計の原子力潜水艦の後継として別個に第4世代原子力潜水艦を設計していました。
魚雷ロケット原子力潜水艦プロジェクト958「アファリナ」(プロジェクト971シリーズの後継)
(サンクトペテルブルク海洋工学設計局『マラヒート』が設計)

有翼ミサイル原子力潜水艦プロジェクト881「メルクーリイ」(プロジェクト949シリーズの後継)
(海洋工学中央設計局『ルビーン』が設計)

魚雷ロケット原子力潜水艦プロジェクト957「ケドル」(プロジェクト945シリーズの後継)
(海洋工学設計局『ラズリート』が設計)

しかし結局これらのプロジェクトは中止され、『マラヒート』の設計案「アファリナ」をベースにして艦後部に有翼ミサイル発射機を装備したプロジェクト885「ヤーセン」の設計が1985年に始まりました。
従来のソヴィエト/ロシアの潜水艦は艦首に魚雷発射管を装備していましたが、「ヤーセン」は艦首に大型の水中音響複合体(ソナー)を搭載した為、魚雷発射管は艦中央部側面に移動しました。

技術的にはソヴィエト/ロシアの一連の攻撃型原子力潜水艦の系譜に連なる「ヤーセン」ですが、有翼ミサイル発射機を装備した事により、ソヴィエト/ロシアの一連の有翼ミサイル原子力潜水艦の系譜も受け継ぐ事になりました。


[ソ連/ロシア海軍の潜水艦用原子炉の系譜]

プロジェクト885の1番艦K-560「セヴェロドヴィンスク」は1993年12月21日に起工され、2010年6月15日に進水、2013年12月30日に竣工、2014年6月17日に就役し、北方艦隊の第11潜水艦師団(対空母師団)へ編入されました。
[ロシア海軍最新鋭多用途原潜セヴェロドヴィンスクに聖アンドレイ旗は揚がった]
2番艦K-561「カザン」からは改良型のプロジェクト885M「ヤーセン-M」となり、2009年7月24日に起工され、2017年3月31日に進水し、2021年5月7日に就役、北方艦隊へ配備されました。
[改セヴェロドヴィンスク型原子力水中巡洋艦カザンはロシア海軍へ就役し、北方艦隊へ編入された]

プロジェクト885M「ヤーセン-M」は、以前の885「ヤーセン」(「セヴェロドヴィンスク」)よりも全長が10メートル短くなっています。
3番艦(「ヤーセン-M」としては2隻目)K-573「ノヴォシビルスク」は2013年7月26日に起工され。2019年12月25日に進水、2021年2月21日に就役し、太平洋艦隊へ編入されました。
[戦略用途原子力ロケット水中巡洋艦クニャージ・オレグと原子力水中巡洋艦ノヴォシビルスクはロシア海軍へ就役し、太平洋艦隊へ編入された]
2022年夏以降に太平洋艦隊基地へ回航されます。
[ロシア海軍太平洋艦隊の最新鋭原子力水中巡洋艦ノヴォシビルスクは2022年7月末に巡航ミサイル「カリブル」と「オーニクス」を発射する]
4番艦(「ヤーセン-M」としては3隻目)「クラスノヤルスク」は、2014年7月27日に起工されました。
[多用途原潜ヤーセン級4番艦クラスノヤルスク(と戦略原潜ボレイ級5番艦)はロシア海軍の日に起工された]
2022年6月末から洋上試験を開始しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為のヤーセン-M級原子力水中巡洋艦クラスノヤルスクは白海で洋上試験を開始した]
ロシア海軍への引き渡しは2022年以降に予定されており、太平洋艦隊へ配備されます。
5番艦(「ヤーセン-M」としては4隻目)「アルハンゲリスク」は、2015年3月19日に起工されました。
ロシア海軍への引き渡しは2023年以降に予定されており、北方艦隊へ配備されます。
[ロシア海軍の為のヤーセン級多用途原潜5番艦アルハンゲリスクは起工された]
6番艦(「ヤーセン-M」としては5隻目)「ペルミ」は、2016年7月29日に起工されました。
ロシア海軍への引き渡しは2023年以降に予定されており、太平洋艦隊へ配備されます。
[ロシア海軍の為の第6のヤーセン級原子力水中巡洋艦ペルミはセヴェロドヴィンスクで起工された]
7番艦(改「ヤーセン」級としては6隻目)「ウリヤノフスク」は、2017年7月28日に起工されました。
[ロシア海軍北方艦隊の為の第4世代原子力水中巡洋艦ヤーセン級7番艦(最終艦)ウリヤノフスクは起工された]
ロシア海軍への引き渡しは2024年に予定されており、北方艦隊へ配備されます。
これで「ヤーセン」シリーズの建造は終了する筈でしたが、2019年6月27日、モスクワ州の愛国者公園で開催された軍事機器展示会『アルミヤ-2019』の会場において、「ヤーセン-M」2隻の新たな建造契約が締結されました。
[ロシア海軍の為のヤーセン-M級多用途原潜2隻とラーダ級潜水艦2隻が追加発注された]
2020年7月20日、8番艦(「ヤーセン-M」としては7隻目)「ヴォロネジ」と9番艦(「ヤーセン-M」としては8隻目)「ウラジオストク」が一斉に起工されました。

[ロシア海軍の最新鋭原子力水中巡洋艦ヴォロネジとウラジオストクはセヴェロドヴィンスクで起工された]
2021年春から船体の形成が始まりました。
[ロシア海軍のヤーセン-M原子力水中巡洋艦ウラジオストクとヴォロネジの船体の形成が始まった]
現在の所、この2隻のロシア海軍への引き渡しは、2027~2028年に予定されおり、「ヴォロネジ」は北方艦隊、「ウラジオストク」は太平洋艦隊へ配備されます。
[ヤーセン-M原子力水中巡洋艦ヴォロネジとウラジオストクは2027-2028年にロシア海軍へ就役する]
将来的には、このような配置になります。
北方艦隊(第11潜水艦師団)
「セヴェロドヴィンスク」、「カザン」、「アルハンゲリスク」、「ウリヤノフスク」、「ヴォロネジ」
太平洋艦隊(第10潜水艦師団)
「ノヴォシビルスク」、「クラスノヤルスク」、「ペルミ」、「ウラジオストク」
- 関連記事
スポンサーサイト