ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦オムスク、トムスク、原子力巡洋潜水艦クズバスは太平洋で3ヶ月間行動した後にカムチャツカ半島のヴィリュチンスク基地へ帰投した
- カテゴリ:ロシア太平洋艦隊(2021年-)



『タス通信』より
2022年7月15日10時1分配信
【カムチャツカへ3隻の原子力潜水艦が戦闘勤務の後に戻ってきた】
タス通信、7月15日
プロジェクト971「シチューカ-B」原子力潜水艦と2隻のプロジェクト949A「アンテイ」原子力水中ロケット巡洋艦は、太平洋で任務を遂行した後にカムチャツカへ戻ってきた。
金曜日に太平洋艦隊広報サービスは発表した。
「カムチャツカの太平洋艦隊潜水部隊の恒久駐留所へ、太平洋で任務を遂行した後の2隻のプロジェクト949Aアンテイ原子力水中ロケット巡洋艦とプロジェクト971シチューカ-B原子力潜水艦が戻ってきました。
潜水艦乗員は3ヶ月に渡り、巡洋潜水艦支隊を構成して太平洋で戦闘任務を遂行しました」
声明では、こう述べられた。
桟橋で乗組員は太平洋艦隊潜水部隊司令部の代表、潜水艦連合部隊本部の士官、ヴィリュチンスク市庁、家族に出迎えられた。
司令官は乗組員より戦闘勤務を完全に遂行し、材料部分は正常であり、乗組員は健常との報告を受けた。
太平洋艦隊潜水部隊司令官ウラジーミル・ドミトロフ中将は、与えられた任務を滞りなく遂行した原子力水中ロケット巡洋艦「オムスク」、「トムスク」、原子力潜水艦「クズバス」の乗組員を祝福し、伝統により子豚の丸焼きを贈った。
全種類の物資-装備を補充した後、水中巡洋艦は意図された任務を今後も遂行する準備が整う。
プロジェクト949A「アンテイ」(オスカーII級)巡洋潜水艦の9番艦K-186は、1989年7月13日にセヴェロドヴィンスクの北方機械製造事業(セヴマシュ)で起工され、1993年5月8日に進水、1993年12月10日にロシア海軍へ納入され、同年12月15日に聖アンドレイ旗初掲揚式典を開催し、正式に就役しました。
この間、1992年7月3日付で「原子力水中巡洋艦」へ分類変更され、1993年4月13日には「オムスク」と命名されました。
(合わせて同名の都市との後援協定を締結)
1994年1月21日に赤旗北方艦隊に編入され、ザーパドナヤ・リッツァ基地へ配備されました。

1994年9月14日付で赤旗太平洋艦隊へ転属し、同年8月18日から9月10日にザーパドナヤ・リッツァ基地からカムチャツカ半島のヴィリュチンスク基地へ移動しました。
2007年~2008年にボリショイ・カーメニ市の極東工場『ズヴェズダー』でオーバーホールを行ないました。
2008年7月25日の『ロシア海軍の日』にはウラジオストクの観艦式へ参加しました。

2010年7月~8月には戦略演習「ヴォストーク-2010」へ参加しました。
2012年12月末に遠距離航海から帰投しました。
[オスカーII級原潜オムスクはヴィリュチンスク基地へ戻った]
2014年9月には戦略演習「ヴォストーク-2014」へ参加しました。
2015年に再び極東工場『ズヴェズダー』へ回航され、修理及び近代化改装工事が始まりました。

2019年5月に日本海で航行試験を行なった後、6月29日に太平洋艦隊へ引き渡され、現役に復帰しました。
[近代化改装を終えた原子力水中巡洋艦オムスクはロシア海軍太平洋艦隊へ復帰した]
「オムスク」の近代化改装の具体的な内容には触れられていませんが、おそらくは艦の寿命延長や核燃料の交換、一部の機器の更新などでしょう。
現役に復帰した「オムスク」は、7月28日の『ロシア海軍の日』にウラジオストクの観艦式へ参加した後、8月9日にカムチャツカ半島の母港ヴィリュチンスクへ帰投しました。
[近代化改装を終えたロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦オムスクはカムチャツカ半島の基地へ戻った]
2019年9月初頭から実施されたロシア太平洋艦隊のオホーツク海演習の一環として、「オムスク」は9月16日に対艦ミサイル「グラニート」を発射しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦オムスクは太平洋で長距離対艦ミサイルグラニート""を発射した]
2019年9月25日、太平洋艦隊のプロジェクト955「ボレイ」戦略用途原子力水中巡洋艦「アレクサンドル・ネフスキー」(2013年12月23日就役)を「敵役」として魚雷攻撃訓練を行ないました。

[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦オムスクは敵潜水艦への魚雷攻撃訓練を行なった]
2020年8月13日、「オムスク」は、長期にわたる海上任務を終えてカムチャツカ半島の母港ヴィリュチンスクへ帰投しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦オムスクは洋上任務を終えてカムチャツカへ帰投した]
2021年9月29日にカムチャツカ沖で対艦ミサイル「グラニート」を発射しました。
[ロシア海軍北方艦隊と太平洋艦隊の長距離対艦ミサイル(グラニート/ヴルカーン)発射訓練(2021年9月)]
プロジェクト949A巡洋潜水艦の11番艦(最終艦)K-150は「セヴマシュ」造船所で1991年8月27日に起工されました。
1992年4月28日、原子力水中巡洋艦へ種別変更されました。
1993年4月13日、「トムスク」と命名されました。
1996年7月20日に進水し、1996年12月30日にロシア海軍へ納入されました。
1997年3月17日に赤旗北方艦隊の第1潜水艦小艦隊・第11潜水艦師団へ編入されました。
1998年に太平洋艦隊へ転属し、カムチャツカ半島のヴィリュチンスクへ回航されました。
2008年11月、定期修理を行なう為、沿海地方ボリショイ・カーメニ市の艦船修理工場「ズヴェズダー」へ到着しました。
2013年9月16日4時30分頃(モスクワ時間)、修理中に火災が発生しました。
[オスカーII級原潜トムスク火災事故]
[オスカーII級原潜トムスク火災事故・続報]
2014年6月12日に進水しました。
[オスカーII級原潜トムスクは進水した]
2014年12月25日に海軍へ引き渡された後、カムチャツカに向かいました。
12月27日に宗谷海峡を東へ通過しました。
『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より
2014年12月28日発表
【ロシア海軍艦艇の動向について】
この「オスカーII級巡航ミサイル原子力潜水艦」が「トムスク」です。
2014年12月31日にヴィリュチンスク基地へ到着しました。
その後の動向は公表されませんでしたが、2015年12月には長期航海を終えてヴィリュチンスク基地へ戻っています。
おそらくは、オホーツク海のパトロール任務を遂行していたのでしょう。
2016年7月27日、「トムスク」は、任務遂行後にヴィリュチンスク基地へ帰港しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦トムスクは任務を終えてカムチャツカへ帰港した]
この時の「任務」は、オホーツク海のパトロールと、更には、カムチャツカに駐留する太平洋艦隊航空隊の迎撃戦闘機MiG-31の超音速有翼ミサイル迎撃訓練の為の「グラニート」発射だったようです。
[ロシア海軍太平洋艦隊の戦闘機MiG-31は原潜から発射された超音速巡航ミサイルを撃墜した]
2017年7月12日、「トムスク」は、オホーツク海からカムチャツカ半島のクラ射爆場の地上目標へ有翼ミサイル「グラニート」を発射しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦トムスクはカムチャツカ半島の地上目標へ巡航ミサイル"グラニート"を発射した]

2017年10月9日、オホーツク海で太平洋艦隊旗艦・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」と共に海上目標への有翼ミサイル発射訓練を行ないました。
(「トムスク」は対艦ミサイル「グラニート」、「ワリャーグ」は対艦ミサイル「ヴルカーン」を発射)
『ロシア連邦国防省公式サイト』より
ロシア東方軍管区(太平洋艦隊)広報サービス発表
2017年10月9日3時47分配信
【巡洋艦「ワリャーグ」及び潜水艦「トムスク」は水上標的への有翼ミサイル射撃を実施した】
2018年7月23日、「トムスク」は、オホーツク海で海上目標へ有翼ミサイル「グラニート」を発射しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力水中巡洋艦トムスクはオホーツク海で対艦ミサイル"グラニート"を発射した]
プロジェクト971「シチューカ-B」(NATOコード名「アクラ」)原子力大型潜水艦K-419は、コムソモリスク・ナ・アムーレ市のレーニン共産党青年団記念造船工場(現アムール造船工場)で1991年7月28日に起工されました。
建造中にソ連邦は解体されましたが、1992年5月18日に進水し、1992年12月31日にロシア海軍へ納入されました。
この間、1992年4月28日には「原子力巡洋潜水艦」へ類別変更されました。
翌1993年1月30日に海軍旗初掲揚式典を開催し、正式にロシア海軍へ就役しました。
1993年2月5日に太平洋艦隊の第2潜水艦小艦隊・第45潜水艦師団へ編入され、7月10日にカムチャツカ半島のヴィリュチンスク基地へ到着しました。
1993年4月13日には「モルシュ」Моржと命名されました。
1995年10月14日から12月15日まで戦闘勤務を実施。
1996年5月5日から7月26日まで戦闘勤務を実施。
1997年7月6日から8月18日まで戦闘勤務を実施。
1998年1月29日にロシア海軍総司令官の指示で「クズバス」Кузбассと改名されました。
因みに、「クズバス」Кузбассは「クズネツク炭田」Кузнецкий угольный бассейн の略称です。
1998年5月1日、第10潜水艦師団へ転属しました。
2001年には小規模な修理を行ないました。
2007年8月には原子力巡洋潜水艦「ネルパ」(現在はインド海軍へリース)の試験の支援へ参加しました。
2007年9月から12月までボリショイ・カーメニのドックで修理を実施。
2008年7月末にはウラジオストク沖でロシア海軍記念日の観艦式に参加しました。

2009年にはボリショイ・カーメニの艦船修理工場「ズヴェズダー」へ回航され、核燃料交換などを含む大規模なオーバーホールと、部分的な近代化改装(プロジェクト971Uへのアップグレード)が始まりました。

オーバーホール(近代化改装)は2015年秋にようやく完了しました。
2015年12月18日にはロシア連邦首相ドミトリー・メドベージェフ氏(前ロシア連邦大統領)が「クズバス」を視察しました。
当初の計画では、「クズバス」は2015年12月末までに太平洋艦隊へ復帰する筈だったのですが、数ヶ月間延びて2016年3月下旬になりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力巡洋潜水艦クズバスは2016年3月末までに復帰する]
「クズバス」は、「ロシア潜水艦乗員の日」である2016年3月19日に太平洋艦隊へ引き渡されました。
[近代化された原子力巡洋潜水艦クズバスは2016年3月19日にロシア海軍太平洋艦隊へ引き渡される]
復帰した「クズバス」は、2016年7月31日の『ロシア海軍の日』にウラジオストクで行なわれた観艦式へ参加しました。
その後、カムチャツカ半島の原潜基地ヴィリュチンスクへ向かいました。

以後の「クズバス」の動向は一切公表されていませんでしたが、2017年9月8日にはカムチャツカ沖で魚雷発射訓練を実施しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力巡洋潜水艦クズバスはカムチャツカ沖で魚雷発射訓練を行なった]
2017年9月15日には戦略用途原子力水中巡洋艦「リャザン」と対決(決闘)方式の戦闘訓練を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の戦略用途原子力水中巡洋艦リャザンと原子力巡洋潜水艦クズバスは『決闘』を行なった]
その後の「クズバス」の動向も全く公表されていませんが、2018年7月29日の『ロシア海軍の日』にはペトロパブロフスク-カムチャツキーで行なわれた観艦式へ参加しました。

『ロシア海軍の日』観艦式終了から数日後、「クズバス」はオホーツク海で魚雷攻撃訓練を実施しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力巡洋潜水艦クズバスはオホーツク海で魚雷発射訓練を行なった]
2019年11月21日にカムチャツカ沖で魚雷発射訓練を行ないました。
「敵役」を務めたのは、プロジェクト949A原子力水中巡洋艦「オムスク」です。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力巡洋潜水艦クズバスはカムチャツカ沖で原潜への魚雷発射訓練を行なった]
以後、「クズバス」の動向は全く公表されていませんでしたが、2021年8月24日に海上での長期任務を終えてヴィリュチンスクへ帰投しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の原子力巡洋潜水艦クズバスは長期任務を終えてカムチャツカの基地へ帰投した]
2022年7月15日、3隻の潜水艦は太平洋での3ヶ月間の行動を終えた後に原潜基地ヴィリュチンスクへ帰投しました。
3ヶ月間との事ですから、2022年4月上旬から太平洋で行動していたようです。
おそらくは、2022年6月上旬の太平洋艦隊の太平洋演習にも参加していたでしょう。
[ロシア海軍太平洋艦隊の太平洋演習(2022年6月上旬)]
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