クリミア半島の艦上航空隊訓練複合体ニートカでの2022年のロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機隊の訓練は中止された
- カテゴリ:ロシア海軍航空隊

『タス通信』より
2022年7月17日17時38分配信
【情報筋:艦上飛行士の為のクリミアの地上「航空母艦」の使用は未だ計画されていない】
モスクワ、7月17日/タス通信
北方艦隊の艦上航空隊飛行士の訓練の為のサキの地上「航空母艦」~地上試験訓練複合体(ニートカ)の使用は、未だ計画されていない。
『タス通信』はクリミアの軍機関に近い情報筋より伝えられた。
「艦上航空隊の飛行士の訓練の為のクリミアの複合体ニートカの使用は、半島および海の上空域が、ウクライナ特殊軍事作戦中に戦闘任務を果たす航空機へ与えられているという事を含めた理由により、今年は未だ計画されておりません」
彼は話した。
『タス通信』は、この情報を公式に確認していない。
ロシアでは、毎年7月17日に『海軍航空隊の日』を祝っている。
2021年秋、サキの複合体「ニートカ」で北方艦隊海上航空隊の第279独立艦上戦闘機航空連隊の航空機Su-33及びSu-25UTG、第100独立艦上戦闘機航空連隊のMiG-29K/KUBの飛行士が訓練を実施した。
広報サービスが伝えたように、彼らは航空拘束装置のケーブルへフックを引っ掛けて地上トレーナーへ着陸する飛行を行なった。
この時、航空母艦の甲板へ着艦する為の訓練を、5名の若いパイロットを含む艦上航空隊の7名の飛行士が受けた。
[複合体「ニートカ」と航空母艦]
航空母艦から飛行する前に、艦上航空隊の飛行士は、現行の規則により、その許可を受けなければならない。
その訓練の為、サキとエイスクの2つの複合体ニートカを使用できる。

複合体「ニートカ」は、艦上航空隊の航空機の発艦及び着艦へ取り組む為に意図されている。
サキの複合体は、トランポリン台と航空機拘束装置を持つ艦の甲板の形の鋼鉄の飛行スペースを備える集合飛行場である。
飛行スペースの寸法は、「アドミラル・クズネツォフ」の飛行甲板に等しい。
2017年2月、北方艦隊の航空打撃艦グループは地中海からセヴェロモルスクへ戻ってきた。
グループの構成には、特に、航空母艦「アドミラル・クズネツォフ」と重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」が居た。
ロシア海軍の現代史で初めて「クズネツォフ」の艦上航空隊はシリア軍事作戦へ関わった。
戦闘作業には、主に第279独立艦上戦闘機航空連隊のパイロットが参加した。
現在、「ソヴィエト連邦海軍元帥クズネツォフ」は、『第35艦船修理工場』(艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』支所)のドックで修理中である。



ソヴィエト連邦時代(1980年代初頭)、ウクライナには航空母艦の飛行甲板を模した発着艦訓練施設「ニートカ」が建設されました。
[地上試験・訓練複合体「ニートカ」]
[サキ飛行実験センター(ニートカ)]
[Нитка(ニートカ)~知られざる旧ソ連の蒸気カタパルト開発の経緯~]
ソ連邦解体後はウクライナに接収され、ロシアはウクライナと協定を結んで「ニートカ」を使用していました。
2012年8月、改訂された「ニートカ」使用協定にロシア・ウクライナ国防相が署名しました。
[ロシアとウクライナは艦上機訓練施設ニートカ使用協定を改訂した]
しかし、2013年にはロシアは「ニートカ」を使用しませんでした。
[ロシアは2013年にウクライナのニートカを使用しない]
その一方、ロシアは、クラスノダール地方のエイスク市に新たな「ニートカ」の建設を開始しました。
[ロシアは、2010年に空母パイロット訓練センターの建設を開始する]


その後、2014年3月18日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領がクリミア自治共和国をロシア連邦へ編入する条約に署名した事により、クリミア半島のサキに在る「ニートカ」は再びロシアの手に戻りました。
[ウクライナの訓練複合体ニートカ要員はクリミアへ忠誠を誓う]
[クリミア半島のニートカは2015年2月末から本格的に稼働を再開する]
これにより、クリミアの旧ニートカは主に現用のロシア海軍艦上戦闘機隊の訓練に使われ、エイスクの新ニートカは主にロシア海軍航空隊の新型航空機の各種試験と訓練に使われる事になりました。
[ロシア海軍航空隊の2つの「ニートカ」]
2014年9月初頭、ロシア海軍のSu-33艦上戦闘機は、クリミアの「ニートカ」へ戻ってきました。
[ロシア海軍艦上航空隊はクリミアのニートカへ戻ってきた]
以後、クリミアの「ニートカ」ではSu-33艦上戦闘機の訓練が行なわれました。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機航空連隊はクリミアのニートカでの訓練を終えた]
一方、エイスクの新ニートカでは、主に新型機の試験や訓練が行なわれています。
[ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将はエイスクのロシア海軍飛行訓練センター(新ニートカ)を視察した]
[エイスク飛行場にロシア海軍航空隊の新型シミュレーターが設置された]
[クラスノダール地方エイスクのロシア海軍の新ニートカは2022年に完成する]
2019年には、艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUBが10月、Su-33が2月と11月にクリミアの「ニートカ」で訓練を行なっています。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUBはクリミアの発着艦訓練施設ニートカでの訓練を完了した]
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機Su-33はクリミア半島の訓練複合体ニートカで『発着艦』訓練を行なう]
2020年にはクリミアの「ニートカ」での艦上戦闘機隊の訓練は実施されませんでした。
[クリミア半島のロシア海軍航空隊の艦上航空隊訓練複合体ニートカは修理及び近代化される]
クリミアの「ニートカ」の修理及び近代化の為の契約は、2021年5月下旬に署名されました。
[クリミア半島のロシア海軍航空隊の艦上航空隊訓練複合体ニートカの修理及び近代化の契約が締結された]
[クリミア半島のロシア海軍航空隊の艦上航空隊訓練複合体ニートカの着艦拘束装置は2022年に修理される]
2021年8月中旬、第279独立艦上戦闘機航空連隊のSu-33がサキ飛行場へ進出しました。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機Su-33のパイロットはクリミア半島の訓練複合体ニートカでの訓練を開始した]
飛行訓練は9月末に完了し、その後、セヴェロモルスク-3飛行場へ戻りました。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機Su-33、クリミアのサキ飛行場の訓練複合体ニートカで発着艦訓練完了(2021年9月末)]
続いて、第100独立艦上戦闘機航空連隊の艦上戦闘機MiG-29Kがサキ飛行場へ進出し、10月上旬から11月中旬まで飛行訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機MiG-29K、クリミアのサキ飛行場の訓練複合体ニートカで発着艦訓練(2021年10月上旬~11月中旬)]
11月24日にセヴェロモルスク-3飛行場へ戻りました。
[クリミアのサキ飛行場の訓練複合体ニートカでの発着艦訓練を終えたロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機MiG-29Kはセヴェロモルスク-3へ戻った]
2022年にも第279航空連隊と第100航空連隊はサキ飛行場の「ニートカ」で「発着艦」訓練を行なう予定でした。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機隊は2022年にもクリミア半島の艦上航空隊訓練複合体ニートカで訓練を行なう]
しかし、2022年2月24日にロシア連邦軍のウクライナ特殊軍事作戦が始まり、黒海艦隊の多用途複座戦闘機Su-30SMや前線爆撃機Su-24Mが駐留するサキ飛行場も前線飛行場として使用される事になった為、サキでの艦上戦闘機隊の訓練は中止されました。


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