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ロシア海軍バルト艦隊のレニングラード海軍基地(サンクトペテルブルク周辺)へ超音速地対艦ミサイル「バスチオン」が配備される

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『イズベスチヤ』より
2022年8月3日0時0分配信
【沿岸の警告:「バスチオン」は海からサンクトペテルブルクを閉鎖する】

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フィンランドとエストニアの沿岸全て、バルト海エリアの一部はミサイル複合体の行動圏になる

ロシア海軍レニングラード海軍基地沿岸ミサイル複合体「バスチオン」で強化されると『イズベスチヤ』ロシア連邦国防省の情報筋より伝えられた。
それは超音速ミサイル「オーニクス」を装備し、海上及び地上の双方の目標を高精度で攻撃できる。
サンクトペテルブルクの防衛の強化は、フィンランドNATOへの加盟を決定したという背景で特に重要になっていると専門家は考えている。
沿岸ミサイル複合体は、この国の沿岸、フィンランド湾全体、バルト海エリアの一部、そして更にエストニア領内へ照準を定める事が出来る。

[バルト海の「バスチオン」]
レニングラード海軍基地
沿岸ミサイル複合体「バスチオン」で武装するという基本的な決定は既に下されているとロシア国防省の複数の情報筋は『イズベスチヤ』へ話した。
しかし対談者は、沿岸ミサイル複合体が戦闘当直へ入る時期を明らかにする事は断った。
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ミサイル「バスチオン」は距離600キロメートルの目標を攻撃できるので、沿岸部隊は地域全体のコントロールを保持できる。
このシステムは、空中から、あるいは潜水艦から向ける事も出来る。
特殊なレーダー照準弾頭により、このミサイルは艦のみならず、地上目標も非常に正確に破壊できる。
更に『イズベスチヤ』の対談者は、昨年にレニングラード海軍基地へ小サイズで高精度の有翼ミサイルKh-35を装備するミサイル複合体「バル」が配備された事を想い起こした。

ロシア沿岸ミサイル部隊は、「バスチオン」の戦闘使用の経験を持っている。
それはシリアにおいて、地上施設~指揮所、通信所、飛行場~の信頼できる破壊手段である事を良く示した。
海上において複合体は、単艦や揚陸連合部隊、船団、空母打撃群を破壊できる。

最近まで、バルト海の最新沿岸ミサイル複合体は飛び地のカリーニングラードのみに有った。
今、現代的な攻撃手段により照準を付けられているゾーンは著しく増加している。

「バスチオンの最新モデルは多目的手段であり、それは沿岸防衛の為、そして著しく離れた地上目標への打撃へ使用できます」
ロシア国立研究大学経済高等学院ヨーロッパ・国際複合研究センター所長ワシーリー・カシン『イズベスチヤ』へ話した。
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「緊張の高まりを考慮に入れますと、フィンランドのNATO加盟は、この方向のグループを強化するごく自然な要素の1つです。
他にも多くのステップが必要でしょう。
ですが明らかに最優先となる対策の1つは、高精度兵器の数の増加です。
これには、バスチオン、イスカンデルの全ての派生型、海上ミサイル カリブル、そして同様の兵器が含まれます。
潜在敵がこの方向に一斉射撃火力システム(多連装ロケット)M270 MLRSが有る事を考慮に入れますと、言うまでも無く強力な手段を持つ事が必要でしょう」

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レニングラード海軍基地の作戦ゾーンはフィンランド国境からエストニアとの国境までに及ぶと元海軍総参謀長ワレンチン・セリヴァノフ提督は『イズベスチヤ』へ話した。
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「これはエストニアと、そして特にフィンランドとスウェーデンが愚かにもNATOへ加盟した事で示されている筈です:『あなた方は攻撃圏内に在り、上手く行きません』
複合体バスチオンをナルバ近辺とヴィボルグ付近へ配置すれば、全てのフィンランド艦、フィンランド沿岸全体、エストニア全体、フィンランド湾の入り口、バルト海北部が攻撃圏内に入ります。
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敵艦はサンクトペテルブルクへ接近できず、これらの複合体はミス無くそれを攻撃します。
『要塞』はリガ湾まで到達します」
ワレンチン・セリヴァノフ
は指摘した。

[高い緊張のゾーン]
近年、バルト海域では緊張が高まっている。
NATO航空グループは、ロシア国境に沿ったパトロールの為、リトアニア、ラトヴィア、エストニアへローテーションで派遣されている。
昨年(2022年)12月、アレクサンドル・フォミン国防次官は、バルト海上ゾーン北大西洋同盟諸国が海上偵察の為に航空機が1200回以上の飛行を行ない、戦闘艦が50回以上進入したと言った。
この年にNATOは、この地域で20回以上の作戦-戦闘訓練活動を行なった。

ロシアは特に、艦隊沿岸部隊、とりわけ沿岸ミサイル-砲部隊を積極的に強化している。
これらは最新の複合体で再装備され、現代的な大隊ミサイル旅団が形成されている。

以前、『イズベスチヤ』国防省サンクトペテルブルク付近のバルト海沿岸へ沿岸複合体「バル」を送る事を決定したと報じた。
このシステムは沿岸と海峡の防護、そして更に海軍基地の援護の為に意図されている。
これは、1基のミサイル射撃と、32基までの亜音速ミサイルの一斉射撃の能力を有する。
30分~40分掛かる再装填の後、複合体は再び発射を行なう準備が整う。
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沿岸ミサイル複合体「バル」は、MZKT-7930の車体をベースにした自走機動システムである。
それは、2基の自走指揮所、8基の有翼ミサイルKh-35/Kh-35Uを持つ4基の発射装置、そして更に輸送-再装填車両が含まれる。
沿岸ミサイル複合体の動作距離は120キロメートル以上になる。
複合体は暗視機器と最新の装置を備えている。
最新の航法システムのお陰で、「バル」は発射位置を素早く変更できる。
展開時間は合計10分である。




沿岸ミサイル複合体「バスチオン」は、超音速対艦ミサイル「オーニクス」(ヤーホント)の地上発射ヴァージョンであり、ロシア、ベトナム、シリアで採用されています。

ロシア海軍では、2009年から黒海艦隊第11独立沿岸ロケット-砲旅団への配備が始まり、現在は北方艦隊、太平洋艦隊、バルト艦隊にも配備されています。

[北方艦隊]
第536独立沿岸ロケット-砲旅団(スネシュノゴルスク、コテリヌイ島)

[太平洋艦隊]
第72独立沿岸ロケット旅団(沿海地方スモリャノヴォ)
第520独立沿岸ロケット-砲旅団(ペトロパヴロフスク・カムチャツキーイトゥルプ島マトゥア島)

[黒海艦隊]
第15独立沿岸ロケット旅団(セヴァストーポリ)
第11独立沿岸ロケット-砲旅団(クラスノダール地方ウタシュ)

[バルト艦隊]
第25独立沿岸ロケット旅団(カリーニングラード州ドンスコエ)


黒海艦隊「バスチオン」部隊はシリアにも派遣されており、2016年11月15日にはシリア領内テロリスト施設を攻撃しました。

[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]

2022年2月下旬に始まったロシア連邦軍『ウクライナ特殊軍事作戦』でも、何度か「バスチオン」ウクライナの地上目標へ使用されています。
[ロシア海軍黒海艦隊は『ウクライナ特殊軍事作戦』において超音速沿岸ミサイル「バスチオン」をオデッサ州へ発射した]
[ロシア海軍黒海艦隊は『ウクライナ特殊軍事作戦』においてムイコラーイウへ超音速ミサイル「オーニクス」を発射した]
[ロシア海軍黒海艦隊は『ウクライナ特殊軍事作戦』においてシャフタルスコエのウクライナ軍部隊本部を超音速ミサイル「バスチオン」(オーニクス)で破壊した]
[ロシア海軍黒海艦隊は『ウクライナ特殊軍事作戦』においてウクライナ軍燃料貯蔵所へ超音速ミサイル「バスチオン」(オーニクス)を発射した]
[ロシア海軍黒海艦隊はオデッサ近郊のウクライナ軍訓練センターへ超音速ミサイル「バスチオン」(オーニクス)を発射した]
[ロシア海軍黒海艦隊の超音速ミサイル「オーニクス」はオデッサ州のウクライナ軍地対空ミサイルを破壊した]


バルト艦隊「バスチオン」は、カリーニングラード州ドンスコエに駐留する第25独立沿岸ロケット旅団地対艦ミサイル「バル」と共に配備されています。
[ロシア海軍バルト艦隊の超音速地対艦ミサイル「バスチオン」はカリーニングラード州で対艦攻撃訓練を実施した]


バルト艦隊の戦力は、飛び地であるカリーニングラード州と、サンクトペテルブルク及びクロンシュタット周辺に分散して配置されており、主力はカリーニングラード州に駐留していますが、最近の情勢の変化を受けてサンクトペテルブルク方面(レニングラード海軍基地)の戦力も強化される事になり、2021年12月には第55独立沿岸ロケット大隊地対艦ミサイル「バル」(亜音速対艦ミサイル「ウラン」の地上発射型)の配備が始まりました。

そして「バル」に続いて超音速対艦ミサイル「バスチオン」レニングラード海軍基地へ配備される事になりました。
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