ロシア海軍北方艦隊艦船部隊は11度目の北極遠征へ出発した

『タス通信』より
2022年8月10日20時29分配信
【ロシア連邦北方艦隊艦船支隊は北極航海へ向かった】
モスクワ、8月10日/タス通信
ロシア連邦北方艦隊艦船支隊は北氷洋海域への航海へ向かい、その中で北極島嶼ゾーンの防護へ取り組む。
水曜日に北方艦隊広報サービスは発表した。
「本日、コラ多種戦力小艦隊を基に作成された北方艦隊北極グループの艦船はバレンツ海へ出航しました」
声明では、こう述べられた。
広報サービスは、北極航海参加者の構成には、大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」、大型揚陸艦「アレクサンドル・オトラコフスキー」、大型海洋給油船「セルゲイ・オシポフ」が加わっている事を明らかにした。
航海自体は北方艦隊副司令官オレグ・ゴルべフ中将の指揮下で行なわれ、数ヶ月間続く。
「航海中に北方艦隊船員は一連の作戦及び戦闘訓練活動を計画しております。
更に、幾つかの軍事実験を行ない、北極島嶼ゾーンの防護の為の軍事船員と沿岸部隊の戦術合同行動へ取り組みます。
ロシア極北の一連の沿海都市及び村落への戦闘艦の寄港を計画しております」
北方艦隊広報サービスは付け加えた。
北方艦隊はロシア連邦軍の兵種間戦略領域統合部隊であり、軍管区の任務を遂行する。
ロシア連邦軍事行政部門に関する2020年6月5日のロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンの法令により、北方艦隊はコミ共和国、アルハンゲリスク州及びムルマンスク州、ネネツ自治管区(2010年~2020年には西方軍管区に属していた)の行政境界内に位置する。

ロシア北方艦隊は、2012年以降、毎年北極圏への遠距離航海を行なっています。
2012年9月、重原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、大型対潜艦「アドミラル・チャバネンコ」、「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」、大型揚陸艦「アレクサンドル・オトラコフスキー」を中核とする部隊が北極海への遠距離航海を行ないました。
(2012年9月12日出港、9月28日帰港)
[ロシア北方艦隊北極圏演習(2012年9月)]
2013年9月にも、重原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、大型揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」、「コンドポガ」を中核とする部隊が北極海への遠距離航海を行ないました。
(2013年9月3日出港、9月30日帰港)
この時には、ノヴォシビルスク諸島のコテリヌイ島へ飛行場建設の為の各種機材や資材が陸揚げされ、同島の飛行場は再建されました。
[聖アンドレイの旗の下に]
2014年9月には、大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」、大型揚陸艦「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」、「コンドポガ」、、給油船「セルゲイ・オシポフ」、救助曳船「パミール」から成る部隊が北極圏へ派遣されました。
(2014年9月6日出港、10月9日寄港)
【2014年9月6日~10月9日の北方艦隊艦船支隊のノヴォシビルスク諸島への航海】
2014年12月1日には、北方艦隊を中核とする北方統合戦略司令部が設立されました。
[ロシア連邦軍北極圏統合戦略司令部が設立された]
2015年にも北極圏への遠距離航海と演習が実施され、大型対潜艦「セヴェロモルスク」、大型揚陸艦「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」、「コンドポガ」を中核とする艦船支隊は8月16日に出航しました。
[ロシア海軍北方艦隊艦船部隊は北極圏遠征へ出発した]
2隻の大型揚陸艦には、何時もの海軍歩兵部隊(キルケネス赤旗授与・第61独立海軍歩兵旅団)では無く、2012年に北方艦隊の指揮下へ移管された「ペチェンガ2等クトゥゾフ勲章受章・第200独立自動車化歩兵旅団」所属部隊が乗っていました。
[ロシア海軍北方艦隊艦船部隊は北極圏のジクソンへ到着した]
演習はタイミル半島の重要な工業施設周辺、ノヴォシビルスク諸島のコテリヌイ島でも実施され、遠征部隊は2015年10月10日に帰港しました。
2016年8月30日~10月7日には、大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」、救助曳船「パミール」、サルベージ船KIL-164などが北極圏への遠距離航海を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊艦船部隊は北極圏航海を終えてセヴェロモルスクへ帰投した]
この時には太平洋艦隊からも砕氷船「イワン・スサ―ニン」と大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」が派遣され、ノヴォシビルスク諸島で合同演習を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・パンテレーエフは北極圏遠征から戻ってきた]
2017年8月10日~10月4日には、大型対潜艦「セヴェロモルスク」、大型揚陸艦「コンドポガ」、「アレクサンドル・オトラコフスキー」、「ゲオルギー・ポベドノーセッツ」などが北極圏への遠距離航海を行ないました。
[ロシア北方艦隊の北極海遠征(2017年8月-10月)]
2018年8月8日~10月11日には、大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」を旗艦とする北方艦隊艦船支隊は、7度目となる北極圏への遠距離航海を行ないました。
この時にはオホーツク海まで進出し、極東のロシア連邦軍大演習『ヴォストーク-2018』にも参加しました。
[ロシア北方艦隊北極圏遠征(2018年8月-10月)]
2019年8月5日~9月30日には、前回同様大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」を旗艦とする北方艦隊艦船支隊が、8度目となる北極圏への遠距離航海を行ないました。
[ロシア北方艦隊第8次北極遠征(2019年8月-9月)]
2020年8月5日~10月20日には、大型対潜艦「セヴェロモルスク」を旗艦とする北方艦隊艦船支隊が9度目の北極圏への遠距離航海を行ないました。
[ロシア北方艦隊第9次北極遠征(2019年8月-10月)]
2021年1月1日、北方艦隊はロシア連邦軍の軍管区となりました。
[ロシア海軍北方艦隊は2021年1月1日からロシア連邦軍の軍管区となった]
2021年8月10日~10月14日には、大型対潜艦「セヴェロモルスク」を旗艦とする北方艦隊艦船支隊が10度目の北極圏への遠距離航海を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊第10次北極遠征部隊の航跡(2021年8月10日~10月14日)]
そして2022年8月10日、北方艦隊艦船支隊は通算11度目の北極圏への遠距離航海を開始しました。
[ロシア海軍北方艦隊は2022年8月から11回目の北極遠征を実施する]
今回の指揮官も、2018年、2019年、2020年、2021年の北極遠征と同様、北方艦隊副司令官オレグ・ゴルべフ中将です。

今回の遠征部隊旗艦は、オーバーホールを終えて数年ぶりに現役復帰した大型対潜艦「アドミラル・レフチェンコ」であり、大型揚陸艦「アレクサンドル・オトラコフスキー」と大型海洋給油船「セルゲイ・オシポフ」が同行します。
「アドミラル・レフチェンコ」は2014年以来8年ぶり、「アレクサンドル・オトラコフスキー」は2020年以来の参加となります。
(「セルゲイ・オシポフ」は毎年参加)
- 関連記事
スポンサーサイト