ロシア海軍の超音速対艦ミサイル「オーニクス」は1年間に数十基製造される
- カテゴリ:ロシア海軍の艦載兵器

『タス通信』より
2022年8月17日18時36分配信
【情報筋:ミサイル「オーニクス」の製造契約は1年間を見込んでいる】
愛国者公園/モスクワ州/8月17日/タス通信
火曜日のフォーラム『アルミヤ-2022』の最中に軍事産業企業体『科学生産合同・機械製造』総取締役アレクサンドル・レオーノフへ手渡された超音速ミサイル「オーニクス」の製造契約は1年間を見込んでおり、このようなミサイル数十基の製造を提供する。
『タス通信』はフォーラムのロビーで軍当局に近い情報筋より伝えられた。
「契約は以前に署名されており、既に実行されています。
これは1年間で数十基のオーニクスの製造を提供します」
彼は話した。
『タス通信』は、この情報を公式に確認していない。
ロシア連邦国防省は、軍事産業企業『科学生産合同・機械製造』(コーポレーション『戦術ミサイル兵器』へ加入)へミサイル「オーニクス」製造の国家契約を手交した。
超音速有翼ミサイル「オーニクス」は、水上艦と潜水艦の兵装となっている。
それは更に、沿岸ミサイル複合体「バスチオン」でも使用されている。
このタイプのミサイルは、ウクライナ特殊軍事作戦中にも広範囲に使用されている。
【株式会社「軍事産業団体・科学生産合同『機械製造』」】
[新世代超音速対艦ミサイル「オーニクス」(ヤーホント)]
汎用対艦有翼ミサイル「オーニクス」(輸出名「ヤーホント」)の開発は1981年6月5日に正式決定され、1982年3月10日には科学生産合同『機械製造』による予備設計案が採用されました。
潜水艦による水中発射試験を行なう為、プロジェクト670M原子力潜水艦K-452が1986年6月25日から1992年7月10日までプロジェクト06704改造を実施しました。

K-452(1992年6月3日からB-452)は、1992年から1998年まで「オーニクス」ミサイルの発射試験に従事しました。
水上艦による水上発射試験の為にプロジェクト1234小型ロケット艦「ナカト」が改造され、1996年から発射試験が行なわれました。
[「オーニクス(ヤホント)」試験艦「ナカト」]

「ナカト」による「オーニクス」の発射試験は、1990年代末に資金難で中断された後2000年代初頭に再開され、「オーニクス」は2002年9月23日付でロシア海軍へ軍備採用されました。

一方、「オーニクス」搭載艦として、プロジェクト885「ヤーセン」原子力水中巡洋艦とプロジェクト22350フリゲートの建造も始まりましたが、財政難などにより工事は遅延し、就役は大幅に遅れました。
[プロジェクト885ヤーセン原子力水中巡洋艦]
[プロジェクト22350フリゲート(アドミラル・ゴルシコフ」型)]
ロシア海軍の原子力水中巡洋艦「セヴェロドヴィンスク」は、就役前の2013年11月上旬に初めて「オーニクス」を発射しています。
[原子力潜水艦セヴェロドヴィンスクは超音速対艦ミサイル「オーニクス」を発射した]
「オーニクス」は、近代化改装されるプロジェクト11442重原子力ロケット巡洋艦、プロジェクト949A原子力水中巡洋艦にも搭載されます。
[近代化改装される重原子力ロケット巡洋艦アドミラル・ナヒーモフはロシア海軍の新世代水上艦と同じ兵装を得る]
[近代化改装される原子力水中巡洋艦イルクーツクは2023年末にロシア海軍太平洋艦隊へ復帰する]
「オーニクス」は、対地/対艦ミサイル「カリブル」と共用の汎用ミサイル垂直発射機3S-14UKSKから発射されます。
[汎用ミサイル垂直発射機3S-14UKSK]
「オーニクス」の地上発射型である「バスチオン」は、ロシア海軍の各艦隊(北方艦隊、太平洋艦隊、黒海艦隊、バルト艦隊)へ配備されています。
「バスチオン」は、2016年11月15日にシリア領内のテロ組織を攻撃しています。
これが「オーニクス」系列ミサイルの初の実戦での使用例です。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]
2022年2月下旬に始まったロシア連邦軍の『ウクライナ特殊軍事作戦』でも、何度か「バスチオン」がウクライナの地上目標へ使用されています。
[ロシア海軍黒海艦隊は『ウクライナ特殊軍事作戦』において超音速沿岸ミサイル「バスチオン」をオデッサ州へ発射した]
[ロシア海軍黒海艦隊は『ウクライナ特殊軍事作戦』においてムイコラーイウへ超音速ミサイル「オーニクス」を発射した]
[ロシア海軍黒海艦隊は『ウクライナ特殊軍事作戦』においてシャフタルスコエのウクライナ軍部隊本部を超音速ミサイル「バスチオン」(オーニクス)で破壊した]
[ロシア海軍黒海艦隊は『ウクライナ特殊軍事作戦』においてウクライナ軍燃料貯蔵所へ超音速ミサイル「バスチオン」(オーニクス)を発射した]
[ロシア海軍黒海艦隊はオデッサ近郊のウクライナ軍訓練センターへ超音速ミサイル「バスチオン」(オーニクス)を発射した]
[ロシア海軍黒海艦隊の超音速ミサイル「オーニクス」はオデッサ州のウクライナ軍地対空ミサイルを破壊した]
「オーニクス」の製造数は殆ど公表された事は有りませんが、2016年7月~9月の3ヶ月間には、巡航ミサイル「カリブル」と合わせて100基以上が製造されました。
[ロシア海軍は2016年7月-9月に100基以上の巡航ミサイル"カリブル"及び超音速対艦ミサイル"オーニクス"を受領した]
2019年には55基が製造されました。
[ロシア海軍は2019年に55基の超音速対艦ミサイル"オーニクス"を受領する]
巡航ミサイル「カリブル」(2019年の時点で月産16基程度)より製造数は少ないようです。
2022年8月16日、モスクワ州クビンカの『愛国者公園』で開催されている国際軍事技術フォーラム『アルミヤ-2022』「オーニクス」製造契約が製造社である科学生産合同『機械製造』へ委託されました。
[ロシア海軍の超音速対艦ミサイル「オーニクス」の製造契約は国際軍事技術フォーラム『アルミヤ-2022』で委託された]

この契約により、1年間に数十基の「オーニクス」が製造されます。
2019年が年間55基でしたから、おそらくは今回の契約もこれに近い数字(50基程度)でしょう。
「オーニクス」の改良も進められており、軍備採用から10年以上経過した2016年初頭までに科学生産合同『機械製造』はソフトウェア面での改良を行ないました。
[ロシア海軍の超音速対艦ミサイル"オーニクス"は近代化される]
科学生産合同『機械製造』は、「オーニクス」の更なる改良を計画しています。
[ロシア海軍の超音速対艦ミサイル"オーニクス"は更に改良される]
[ロシア海軍の為の超音速打撃ミサイル"オーニクス-M"の開発は進められている]
科学生産合同『機械製造』は、ソヴィエト連邦時代には2種類の超音速対艦ミサイルを開発しています。
[長距離打撃ミサイル複合体バザーリト/ヴルカーン]
[有翼ミサイル複合体グラニートは軍備採用30周年を迎えた]
現在は、極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」の開発を進めています。
[極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」]
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