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カリーニングラード造船所はロシア海軍向けのアドミラル・グリゴロヴィチ型フリゲートを追加建造する用意がある

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『タス通信』より
2022年8月17日14時23分配信
【『統合造船業営団』副総取締役:沿バルト工場『ヤンターリ』は新たなプロジェクト11356フリゲートシリーズを建造する用意がある】
モスクワ、8月17日/タス通信

沿バルト工場『ヤンターリ』(『統合造船業営団』へ加入)は、新たなプロジェクト11356フリゲートシリーズを建造する為の能力を有している。
『統合造船業営団』副総取締役(軍事造船担当)ウラジーミル・コロリョーフは、フォーラム『アルミヤ-2022』の枠組みにおける『タス通信』のインタビューで述べた。
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「『ヤンターリ』は、このプロジェクト艦の大いなる建造経験を有しており、3隻は既に海軍へ引き渡されています。
技術が開発され、コンポーネント機器の供給者との安定した協力が造られました。
国防省の決定が有れば、建造する準備は整っています。
このような艦の新たなシリーズの建造を開始する事は出来ます」
コロリョーフ
は話した。

プロジェクト11356フリゲートの6隻目の船体の運命に関する決定が下される時期についての質問に、彼は、それは未だ下されていない事を指摘した。

当初、ロシア黒海艦隊の為に6隻のプロジェクト11356フリゲートの建造が計画されていた。
しかし、この計画は、ウクライナが動力装置の供給を拒否した後、調整を余儀なくされた。
その結果、黒海艦隊は同プロジェクトフリゲート3隻を受け取り、3隻の船体が進水した。

2018年、沿バルト工場『ヤンターリ』インド海軍の為に2隻の船体を完成させ、ロシアの参加の下でもう2隻をインド造船所『ゴア・シップヤード・リミテッド』で建造する契約へ署名された。
沿バルト工場『ヤンターリ』で建造される最初の2隻は、2023年と2024年にインド海軍への引き渡しが計画されている。
ロシア版プロジェクト11356は、各々のフリゲートが8基のミサイル「カリブル-NK」或いは「オーニクス」汎用艦載射撃複合体1基を搭載する。



ロシア海軍向けのプロジェクト11356Rフリゲート(インド海軍向けの「タルワー」級フリゲートロシア向けヴァージョン)は、現在までに6隻が起工され、3隻が就役しています。
[「タルワー」級(プロジェクト1135.6)]
[プロジェクト11356(タルワー級)の装備]
[プロジェクト11356R(改タルワー級)フリゲート]

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1番艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」(2010年12月18日起工/2014年3月14日進水)は2016年3月11日に就役し、2016年6月9日にセヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着した]

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2番艦「アドミラル・エッセン」(2011年7月8日起工/2014年11月7日進水)は2016年6月7日に就役し、2017年7月5日にセヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦(フリゲート)アドミラル・エッセンはセヴァストーポリへ到着した]

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3番艦「アドミラル・マカロフ」(2012年2月29日起工/2015年9月2日進水)は2017年12月27日に就役し、2018年10月5日にセヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍の最新フリゲート"アドミラル・マカロフ"は黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着した]

現在(2022年8月中旬)は「アドミラル・グリゴロヴィチ」地中海東部に滞在し、「アドミラル・エッセン」「アドミラル・マカロフ」黒海ウクライナ特殊軍事作戦へ参加しています。


4番艦「アドミラル・ブタコフ」は2013年7月12日、5番艦「アドミラル・イストミン」は2013年11月15日に起工されました。

6番艦「アドミラル・コルニロフ」も2013年12月頃に起工されました。

しかし、この3隻は、ウクライナからのガスタービンエンジンの供給問題により建造が中断しました。
[ガスタービンエンジン代替問題]
ソ連/ロシア艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシア「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、ウクライナ「ゾーリャ機械設計」が関わっており、エンジンの主要パーツはロシアで製造し、最終組立は「ゾーリャ機械設計」で行なわれていたのですが、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナロシアの関係も悪化し、ガスタービン生産の分業体制も瓦解しました。

この為、2016年初春頃からインドへの売却交渉が行なわれ、2017年2月にはインドへの売却が決まったと報じられました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為に建造されたプロジェクト11356Rフリゲートの4番艦と5番艦はインドへ売却される]

2018年11月20日、ロシアインドは、インド海軍向けのプロジェクト11356フリゲート4隻を含む兵器輸出契約へ署名しました。
[ロシア海軍向けだった3隻のプロジェクト11356Rフリゲート後期建造艦はインドへ売却された]

これにより、4番艦「アドミラル・ブタコフ」と5番艦「アドミラル・イストミン」インドへ売却される事になり、建造工事が再開されました。
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「アドミラル・ブタコフ」改め「ツシル」は2021年11月8日に進水しました。
[インド海軍向けのフリゲート"ツシル"(元ロシア海軍黒海艦隊向けフリゲート"アドミラル・ブタコフ")進水(2021年11月8日)]

続いて2022年には「アドミラル・イストミン」改め「タマラ」が進水します。
[インド海軍向けのフリゲート「タマラ」(元ロシア海軍黒海艦隊向け「アドミラル・イストミン」)は2022年に進水する]
2隻のフリゲートインド海軍への引き渡しは2023年~2024年に予定されています。

一方、6番艦「アドミラル・コルニロフ」に関しては、未だ最終的な決定は下されていません。
[ロシア海軍向けだったプロジェクト11356Rフリゲート6番艦アドミラル・コルニロフに関する最終決定は未だ下されていない]


今回、ロシア造船業界の総元締である『統合造船業営団』の副総取締役(軍事造船担当)ウラジーミル・コロリョーフ氏(前ロシア海軍総司令官)は、ロシア国防省(ロシア海軍)からの注文が有れば11356フリゲートを建造する用意があると言っていますが、最近の動向を見る限り、ロシア海軍が関心を持っているのはプロジェクト22350フリゲート(アドミラル・ゴルシコフ型)の方であり、11356がこれ以上新たに建造される可能性は無いでしょう。
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