ロシア海軍の軍艦はアドリア海に居る
- カテゴリ:地中海情勢(2022年-)

『レポルタル(リポーター)』より
2022年8月22日配信
【アドリア海を閉じる:イタリア沖ではロシア艦がNATO艦隊を支配している】

アドリア海に滞在するロシア戦闘艦は、事実上NATO艦隊を封鎖してこの地域を支配しており、オトラント海峡でアメリカ合衆国海軍の打撃グループを阻止している。
アドリア海のロシア戦隊は、大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」、偵察艦「ワシーリー・タチシシェフ」、巡洋艦「ワリャーグ」、フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」により代表される。
これに伴い、イタリアのフリゲート「カルロ・ベルガミーニ」、「リベッチオ」、「アントニオ・マルチェリア」、潜水艦「プリモ・ロンゴバルド」、そして更にアメリカの航空母艦「ハリー・S・トルーマン」が海域に居る。
以前、イタリアの『ラ・レプッブリカ』紙はイタリア軍の代理人の談話を引用し、ロケット巡洋艦「ワリャーグ」は過去数ヶ月に渡りシチリア島とアドリア海の間を航行していた航空母艦「ハリー・S・トルーマン」のアメリカ合衆国航空母艦グループのアドリア海での動きを阻止したと報じた。
「ロシア連邦側の行動は、NATOブロックの海軍司令部への挑戦となりました」
同紙は指摘した。
前日、(ロシアの)学者ラディ・イルカエフは、戦術核兵器をロシアの戦闘艦へ再び搭載すべきであるという意見を表明した~-この問題はロシア連邦安全保障理事会で議論されるべきである。
これら兵器は、1991年のアメリカ合衆国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の非公式合意の後に艦から撤去された。
ロシア太平洋艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」(1990年1月7日就役)は、2021年11月下旬からウラジオストクの艦船修理工場『ダーリザヴォード』でオーバーホールを開始し、12月中旬までに完了しました。
[ウラジオストクでロシア海軍太平洋艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦ワリャーグのオーバーホールが始まった]
大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」(1986年2月15日就役/2016年7月再就役)は、2021年4月末から6月下旬まで東南アジアへの遠距離航海を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の大型対潜艦アドミラル・トリブツは東南アジアへの遠距離航海からウラジオストクへ帰投した]
大型海洋給油船「ボリス・ブトマ」(1978年10月30日就役)は、2021年6月に太平洋中央部で実施された太平洋艦隊の大規模演習へ参加しました。
[太平洋中央部(ハワイ諸島海域)の演習へ参加したロシア海軍太平洋艦隊の支援船はウラジオストクへ帰投した]

2021年12月末(26日前後)、この3隻はセーシェル諸島への遠距離航海へ出発しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦ワリャーグはセーシェル諸島へ向かった]
艦船支隊の指揮官は、以前に黒海艦隊所属のフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」(2016年3月11日就役)の2代目艦長(2016年2月~2018年8月)を務め、今は太平洋艦隊の第36水上艦師団参謀長アナトーリー・ヴェリチコ1等海佐です。

艦船支隊は12月29日に対馬海峡を通過して東シナ海へ入りました。
『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より
2022年1月4日公表
【ロシア海軍艦艇の動向について】
2022年1月11日にマラッカ海峡を通過してインド洋へ入りました。
[ロシア海軍太平洋艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦ワリャーグはマラッカ海峡を通過してインド洋へ入った]
1月13日にインド南西部のコーチ港へ寄港しました。


[ロシア海軍太平洋艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦ワリャーグはインドのコーチ港を訪れた]
1月14日にインド海軍とのPASSEX(Passing Exercise、編隊航行訓練)を行ないました。



その後にコーチ港を去り、1月18日にイランのチャーバハール港へ寄港しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦ワリャーグはイランのチャーバハール港を訪れた]


太平洋艦隊艦船支隊は、オマーン湾で1月18日から22日まで実施されたロシア・中国・イランの3ヶ国合同海軍演習『CHIRU-2022』へ参加しました。
[オマーン湾でロシア・中国・イランの3ヶ国合同海軍演習が始まった]
[オマーン湾でロシア・中国・イランの3ヶ国合同海軍演習『CHIRU-2022』が実施された]
その後にイランを去り、1月25日にアラビア海西部で中国海軍との合同演習『平和の海-2022』へ参加しました。
中国海軍からは、052D型駆逐艦「烏魯木齊」(ウルムチ)と903A型補給艦「太湖」(タイフー)の2隻が参加しました。
[ロシア海軍と中国海軍はアラビア海西部で合同演習『平和の海-2022』を実施した]
その後、太平洋艦隊艦船支隊は地中海へ向かい、2022年2月2日にスエズ運河を通過して地中海東部へ入りました。
[ロシア海軍北方艦隊及び太平洋艦隊の艦船部隊は地中海へ入った]
2月15日、地中海東部に滞在する北方艦隊、太平洋艦隊、黒海艦隊の15隻以上の艦船と、ロシア航空宇宙軍の30機以上の航空機が参加する海軍演習が始まり、当然ながら太平洋艦隊艦船支隊も参加しました。
[地中海東部でロシア海軍とロシア航空宇宙軍の合同演習が始まった]
[地中海東部でロシア海軍とロシア航空宇宙軍の合同演習は続いている]
地中海東部演習は2月25日に完了しました。
[ロシア海軍黒海艦隊・北方艦隊・太平洋艦隊合同艦船部隊の地中海東部演習は完了した]
演習が終わった後も太平洋艦隊艦船部隊は地中海東部に留まっていました。
[ロシア海軍のロケット巡洋艦マルシャル・ウスチーノフとワリャーグは地中海東部に滞在している]
4月2日には北方艦隊艦船部隊と合同で潜水艦捜索訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊と太平洋艦隊の艦は地中海東部で潜水艦捜索訓練を実施した]
6月14日には北方艦隊のロケット巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」と合同で対艦攻撃訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊のロケット巡洋艦マルシャル・ウスチーノフと太平洋艦隊の親衛ロケット巡洋艦ワリャーグ、地中海東部で対艦攻撃訓練(2022年6月14日)]
その後、「ワリャーグ」はアドリア海の入り口のオトラント海峡まで進出しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊旗艦・ナヒーモフ勲章授与・親衛ロケット巡洋艦ワリャーグはイタリア沖のオトラント海峡へ進出した]
「ワリャーグ」と共に大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」、黒海艦隊のフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」、バルト艦隊の中型偵察艦「ワシーリー・タチシシェフ」もアドリア海へ進出し、NATO艦隊と対峙しているようです。
現在、地中海(主に東部)には、少なくとも以下のロシア海軍の艦船が滞在しており、地中海作戦連合部隊(2013年6月1日創設)の指揮下で行動しています。
[黒海艦隊]
潜水艦「クラスノダール」:2021年9月中旬から地中海に滞在
潜水艦「ノヴォロシースク」:2021年12月末から地中海に滞在
フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」:2021年10月末から地中海に滞在

小型ロケット艦「オレホヴォ・ズエヴォ」:2022年1月下旬から地中海に滞在
対機雷防衛艦「ウラジーミル・イェメリヤノフ」:2022年1月下旬から地中海に滞在

海洋曳船「セルゲイ・バルク」:2022年1月下旬から地中海に滞在

対工作艇P-191「カデート」:2021年11月上旬から地中海に滞在
[太平洋艦隊]
親衛ロケット巡洋艦「ワリャーグ」:2022年2月初頭から地中海に滞在
大型対潜艦「アドミラル・トリブツ」:2022年2月初頭から地中海に滞在
大型海洋給油船「ボリス・ブトマ」:2022年2月初頭から地中海に滞在
[北方艦隊]
ロケット巡洋艦「マルシャル・ウスチーノフ」:2022年2月中旬から地中海に滞在
フリゲート「アドミラル・カサトノフ」:2022年2月中旬から地中海に滞在
大型対潜艦「ヴィツェ・アドミラル・クラコーフ」:2022年2月中旬から地中海に滞在
救助曳船SB-406:2022年2月中旬から地中海に滞在
中型海洋給油船「ヴャジマ」:2022年2月中旬から地中海に滞在
中型海洋給油船「アカデミック・パシン」:2022年8月下旬から地中海に滞在
[バルト艦隊]
工作船PM-82:2022年3月末から地中海に滞在
中型偵察艦「ワシーリー・タチシシェフ」:2022年5月末から地中海に滞在
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