ロシア海軍のグローバル海上偵察衛星ピオン-NKSは運用を開始した
- カテゴリ:ロシア海軍ニュース

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2022年9月8日3時35分配信
【ロシアで最初の電波位置測定海上偵察衛星は国家試験を実施した】
モスクワ、9月8日-ロシア通信社ノーボスチ
ロシアで最初の電波位置測定海上偵察衛星「ピオン-NKS」は国家試験を実施し、試験戦闘当直として採用され、外国の軍事行動を監視を始めた。
『ロシア通信社ノーボスチ』はロケット-宇宙産業の情報筋より伝えられた。
「宇宙装置ピオン-NKSは国家試験を実施し、試験戦闘当直として採用されました」
対談者は話した。
情報筋は、「ピオン-NKS」が新たなロシアのグローバル衛星海上宇宙偵察・目標指定システム「リアナ」の宇宙装置であり、世界の大洋の監視、敵艦、主に航空母艦打撃グループの位置を特定し、海軍の打撃手段の為の正確な作戦目標指定を送信する為に意図されている事を想い起こした。

「装置は、海上部隊の動向を含む外国の軍事行動の追跡を開始しました」
情報筋は明らかにした。
公開情報によると、衛星は2021年6月に宇宙へ打ち上げられた。
これはロケット宇宙センター『プログレス』(『ロスコスモス』へ加入)により作成され、その電波位置測定ステーション(レーダー)はコンツェルン『ヴェガ』(『ロスエレクトロニカ』へ加入)により作成された。
多機能宇宙システム14K159「リアナ」は、ソヴィエト連邦時代に実用化されたグローバル海洋偵察・目標指示衛星システム「レゲンダ」(МКРЦ "Легенда")の後継となる衛星システムです。
[「レゲンダ」を継ぐもの]
「リアナ」システムは2種類の衛星~「ロトス-S」と「ピオン-NKS」で構成されます。
電波電子情報収集衛星「ロトス-S」/「ロトス-S1」は、2009年11月から2022年4月に合計6基(最初の1基はロトス-Sで他は改良型のロトス-S1)が打ち上げられました。

[14F138「ロトス-S」]
「コスモス-2455」:2009年11月20日打ち上げ
[14F145「ロトス-S1」]
「コスモス-2502」:2014年12月25日打ち上げ
「コスモス-2524」:2017年12月2日打ち上げ
「コスモス-2528」:2018年10月25日打ち上げ
「コスモス-2549」:2021年2月2日打ち上げ
「コスモス-2554」:2022年4月7日打ち上げ
一方、レーダー偵察監視衛星14F139「ピオン-NKS」は2021年6月25日に1号機「コスモス-2550」が打ち上げられました。

レーダー偵察衛星「ピオン-NKS」は、海上の監視の他、ロシア海軍の現用対艦ミサイル~長距離超音速対艦ミサイル「グラニート」、超音速対艦ミサイル「オーニクス」、巡航ミサイル「カリブル」の目標指示にも使用されます。
更には、最近に採用された極超音速ミサイル「ツィルコン」も「ピオン-NKS」と連動できます。
[ロシア海軍の極超音速ミサイル"ツィルコン"は航空機や偵察衛星と連動する]
「ピオン-NKS」は、打ち上げ後に各種試験が行なわれました。
対艦ミサイルの目標指示に関する試験も行なっている筈です。
例えば、2022年5月28日の「ツィルコン」発射試験では、約1000kmの距離の目標へ命中させていますが、これも「ピオン-NKS」が使われたかもしれません。
[ロシア海軍のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」、距離約1000kmの海上標的へ極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」を発射(2022年5月28日)]
2022年9月6日にコルベット「グレミャーシチー」はオホーツク海で距離300km以上の目標へ「カリブル」を発射しましたが、これも「ピオン-NKS」が使われたかもしれません。
[戦略演習『ヴォストーク-2022』へ参加しているロシア海軍太平洋艦隊のコルベット「グレミャーシチー」はオホーツク海で巡航ミサイル「カリブル」を発射した]
この他、「グラニート」や「オーニクス」の発射訓練も何度か行なわれているので、その中で「ピオン-NKS」による目標指示試験も行なわれているでしょう。
「ピオン-NKS」の全ての試験は2022年9月初頭まで完了し、実験運用を開始しました。
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