ロシア海軍の最新特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは原子力水中無人機ポセイドンの試験を実施する?
- カテゴリ:ロシア海軍の特務原潜


『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2022年10月3日8時43分配信
【メディア:NATO諜報部はロシアの「ポセイドン」の試験の可能性についてパートナーへ警告した】
NATO諜報部は、ロシアの特殊用途原子力潜水艦「ベルゴロド」の動向と水中無人機「ポセイドン」の試験の可能性に関する報告書を最重要同盟国へ送付した。
10月3日・月曜日、『ロシアビジネスコンサルティング』はイタリアの『ラ・レプッブリカ』紙を引用して報じた。
同紙は、核弾頭を装備した装置「ポセイドン」は「放射性津波」を引き起こす事が出来ると通知した。
専門家は、その発射の影響を大陸間弾道ミサイルの発射と比較している事を『ラ・レプッブリカ』は指摘した。
同時に、ロシアのミサイル発射を追跡する為の赤外線センサーを備えたアメリカの衛星は、「ポセイドン」の場合、使い物にならないだろう。
「スーパー魚雷は非常に小さな熱量しか放射せず、時速100キロメートル以上の速度で静かに移動するように設計されている」
イタリアの新聞は主張する。
『ラ・レプッブリカ』が示しているように、西側の諜報部は、潜水艦は白海から出た事は一度も無く、試験はそこで行なわれる事を確信している。
プロジェクト09852特殊用途原子力潜水艦「ベルゴロド」は、原子力水中無人機「ポセイドン」の最初の搭載艦と呼ばれている事が想い起こされる。
当初、原子力潜水艦はプロジェクト949Aの下に『セヴマシュ』で建造された。
2012年、潜水艦の船体は新たなプロジェクトの下で再起工された~既に有翼ミサイルの為の発射装置は無い。
「ベルゴロド」の建造は2018年末までの完了が予定されていたが、潜水艦は2019年4月にようやく進水の為に船台から出た。
今年7月、「ベルゴロド」はロシア海軍へ引き渡された。
潜水艦の技術的特性は明らかにされていない。

プロジェクト949A「アンテイ」(オスカーII)原子力水中巡洋艦K-329「ベルゴロド」は、1992年7月24日にセヴェロドヴィンスク市の生産合同『北方機械製造事業』(セヴマシュ)で起工されましたが、2006年に完成度80パーセント程度で建造工事は凍結されました。
[オスカーII型原潜最終艦、建造中止?]
[未完のオスカーII型原潜ベルゴロド]
[オスカーII級原潜「ベルゴロド」の建造は停止される]
その後、「ベルゴロド」は特殊用途原子力潜水艦へ改造されることになりました。
[オスカーII級原潜「ベルゴロド」は特殊作戦母艦として完成する]
[オスカーII級原潜「ベルゴロド」は完成する]

2012年12月20日、「ベルゴロド」は、原子力調査潜水艦プロジェクト09582として、『セヴマシュ』で改めて「起工」されました。
[調査原潜プロジェクト09852は起工された]

当初、「ベルゴロド」は、2018年末までにロシア海軍へ引き渡される予定でしたが、その後、引き渡しは延期され、2018年末までの進水予定も実現しませんでした。
[原子力科学調査潜水艦ベルゴロドは2018年にロシア海軍へ引き渡される]
[ロシア海軍の為の原子力科学調査潜水艦ベルゴロドは2018年末までに進水する]
「ベルゴロド」は、無人潜水艇「クラヴェシン-2」などの有人或いは無人の各種潜水艇を搭載します。
[ロシア海軍の新型無人潜水艇クラヴェシン-2の試験はクリミア半島のフェオドシヤで行なわれている]
この他、現在開発中の大洋多目的システム「ポセイドン」(深海原子力無人機)の搭載母艦としての役割も果たします。
[大洋多目的システム「ポセイドン」]

更には「原子力深海ステーション」、即ち深海調査用の小型特務原子力潜水艦も搭載できます。
[ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは深海調査用小型原子力潜水艦を搭載する]
「ベルゴロド」は元のプロジェクト949Aよりも船体が30メートル延長され、全長は世界最大の潜水艦プロジェクト941(タイフーン級)よりも10メートル以上長い184メートルとなりました。
(941は172メートル)
プロジェクト941重戦略用途原子力ロケット水中巡洋艦

2019年4月23日、「ベルゴロド」は『セヴマシュ』で進水しました。
[ロシア海軍の為の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは進水した]
「ベルゴロド」は、2020年にロシア海軍への引き渡しが予定されていました。
[特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは2020年6月に洋上試験を開始し、同年9月にロシア海軍へ引き渡される]
しかし、コロナウイルス流行による遅延(『セヴマシュ』でも感染者が出た)などの理由により、2020年中に洋上試験を開始する事すら実現できず、引き渡しは2021年に延期される事になりました
[セヴェロドヴィンスク造船所で建造されている特殊用途原子力潜水艦ベルゴロド、原子力水中巡洋艦カザンとノヴォシビルスク、戦略用途原子力水中巡洋艦クニャージ・オレグは2021年にロシア海軍へ就役する]


2021年6月25日、「ベルゴロド」は白海へ出航し、最初の洋上試験(工場航行試験)を開始しました。
[ロシア海軍の為の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは洋上試験の準備を進めている]
[ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは洋上試験を開始した]
「ベルゴロド」は7月24日にセヴェロドヴィンスクへ帰投しました。

[ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは最初の洋上試験を終えてセヴェロドヴィンスクへ帰投した]
「ベルゴロド」のロシア海軍への引き渡しは2021年末に予定されていましたが、同年中に洋上試験を完了させる事が出来なかった為、2022年に延期されました。
[ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドの洋上試験は2021年9月に完了する]
[ロシア海軍の為の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは2022年に洋上試験を完了する]
2022年6月下旬、「ベルゴロド」は最終洋上試験となる国家試験を開始しました。
[ロシア海軍の特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドはバレンツ海で最終洋上試験を行なっている]
国家試験を終えた後にセヴェロドヴィンスクへ戻り、2022年7月8日に就役式典が開催され、BS-329「ベルゴロド」はロシア海軍へ引き渡されました。



[プロジェクト09852特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドはロシア海軍へ就役した]
「ベルゴロド」は先ず北方艦隊で試験運用を行ない、その後、太平洋艦隊へ配備されます。
[ロシア海軍の最新特殊用途原子力潜水艦(小型原潜母艦)ベルゴロド]
就役後の「ベルゴロド」の動向は公表されていませんが、2022年10月2日にイタリアの『ラ・レプッブリカ』紙(註:有料記事)は、同艦が原子力水中無人機「ポセイドン」の試験を白海で行なう可能性が有ると報じました。
(同艦は未だ「ポセイドン」の発射試験は行なった事が無い)
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