ルビーン設計局は通常動力潜水艦プロジェクト636シリーズ(キロ級)の近代化を継続する
- カテゴリ:ロシアの造船業

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2022年10月10日11時0分配信
【アンドレイ・バラノフ:中央設計局『ルビーン』は将来潜水艦の隠密性を増加させる】
ロシアの潜水艦設計局である海洋工学中央設計局『ルビーン』の対外経済活動・軍事技術協力担当副総取締役アンドレイ・バラノフへのインタビュー。

通常動力潜水艦プロジェクト877/636シリーズ(「キロ」級)の今後について。
インタビュアー:今、既に40年以上前のプロジェクト「ワルシャワンカ」は終了し、もはや近代化される事は無いと言えるのでしょうか?
バラノフ:そう決めつけるのは未だ早いでしょう。
このプロジェクトは、新たな材料、新たな兵器、システムを使用する事により近代化できます。
絶え間ない近代化により、競争力は維持されております。
今や一般的に、この潜水艦の中身は完全に現代的です。
無論、一部の御客様にとっては大きすぎますが、その一方、大きな潜水艦には、より多くの機構と兵器を配置できます。
そして勿論、これらは全てこの潜水艦の低騒音により支えられており、これは根本的に重要です~潜水艦の騒音は、如何なる近代化でも救いようが有りませんので。
『ルビーン』は、拡張型水中音響曳航アンテナの装備から次の動力装置の近代化まで、改善プロジェクトの可能な方向性を示す多くの作業を行ないました。
国内海軍と外国の御客様からのこの潜水艦に対する継続的な需要は、この可能性を信じているのが私達だけでは無い事を示しています。
現に、近年には潜水艦の大規模シリーズが黒海艦隊へ加わっておりますし、間もなく同数の潜水艦が太平洋艦隊へ加わります。
艦隊は通常動力潜水艦を必要としており、プロジェクト636艦は優れたシリーズであり、低価格です。
これらと並行して『アドミラルティ造船所』は、次世代通常動力潜水艦プロジェクト677シリーズを建造しており、2つの異なるシリーズは、艦隊へより大きな能力をもたらします。
現在、輸出潜水艦の就役期間の延長と近代化の問題は解決されており、これまでの所、全て前向きに展開しております。
重要なのは、近代化される輸出版「ワルシャワンカ」は、国内の企業体だけでは無く、顧客から供給されるものも受け取る事です。
このプロジェクトは、外国の音響複合体(ソナー)、通信複合体、あらゆる種類の補助機器、その他多くと互換性があり、「国民的偏見」は無いと言えます。
インタビュアー:当初、プロジェクト「ワルシャワンカ」では、どのくらいの就役年数が定められていたのでしょうか?
バラノフ:交渉中、就役の制限は有るのかと何度も質問されました。
公式には、これは25年間であると考えられており、その間に潜水艦は近代化と機器の交換を伴う2度の修理を行なわなければなりません。
ですが、外国艦隊には、プロジェクト636の前任のプロジェクト877潜水艦が在り、その就役年数は30~35年です。

インタビュアー:つまり、25年で限界では無いという事ですか?
バラノフ:プロジェクト636については、そのような経験は未だ有りませんが、仰る通りです。
現在、中央構造材料研究所『プロメテイ』や『クルイロフセンター』と協力し、潜水艦の強度船体(耐圧殻)の金属の状態を評価しています。
インタビュアー:それでは、「ラーダ」も近代化する時が来ますか?

バラノフ:そうですね、私達はそれが仕事ですから。
最初の潜水艦「サンクトペテルブルク」は2010年に海軍へ加入し、次の4隻の潜水艦は様々な準備段階に在り、改善プロジェクトの下で建造されています。
これらは外見上はトップ潜水艦との違いには誰も気が付かないでしょうが、内部は異なります:船体は同じですが、内部の機器、装置、「頭脳」は全く違います。
インタビュアー:非大気依存発電装置の区画を「ワルシャワンカ」へ挿入できますか?
バラノフ:出来ますよ。ですが何故?
区画は切断され、即ち、潜水艦の重量、排水量、中央の重心は変化します。
「ワルシャワンカ」にとって、これは実用的では無く、「ラーダ」とは異なり、非大気依存発電装置の統合の可能性については考慮されていません。
例えば、インドは、フランスのプロジェクト「スコルペヌ」により建造された「カルヴァリ」型通常動力潜水艦の中間修理中に非大気依存発電装置を設置する事を望んでいます。

そこで試され、確認されるでしょう。
非大気依存発電装置は、当初は想定していなかったプロジェクトを大幅に改善します。
インタビュアー:ロシア(ソヴィエト社会主義共和国連邦)は、既に完成した潜水艦の船体へ新たな区画を挿入した経験が有るのでしょうか?

バラノフ:経験は有ります。
これは、特殊任務を果たす為に行なわれました。
詳細は御話しできませんが。
海洋工学中央設計局『ルビーン』公式サイトより
【プロジェクト877】
【プロジェクト877E/EKM】
【プロジェクト636】
プロジェクト877/636潜水艦シリーズは、大きく分けてソヴィエト/ロシア海軍向けの877、輸出ヴァージョンの877E/877KM/877EKM/08773、その改良型の636/636M/063631、それを更に改良したロシア海軍向けの06363が有ります。
世界的には、NATOコード名の「キロ」級の方が良く知られています。
ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト877系列】
【プロジェクト636系列】
プロジェクト877/636潜水艦シリーズは、1980年から現在までに総計72隻が完成しており、更に3隻が建造中です。
[ロシア海軍及び他国海軍は40年間(1980年~2020年)で計71隻のキロ級潜水艦を受け取った]
ソヴィエト/ロシア:877×24隻、06363×9隻
インド:877KM×9隻、08773×1隻
ポーランド:877E×1隻
ルーマニア:877E×1隻
イラン:877EKM×3隻
アルジェリア:877EKM×2隻、636M×2隻、063631×2隻
中国:877EKM×2隻、636×2隻、636M×8隻
ベトナム:063631×6隻
2010年代からロシア海軍向けの建造が始まったプロジェクト06363は、今後建造される第5世代通常動力潜水艦「カリーナ」級の開発設計作業の成果も一部取り入れられています。
[ロシアは第5世代潜水艦の設計作業を始めている]
現在はロシア太平洋艦隊向けのプロジェクト06363が3隻建造されており、2024年末までには全て就役します。
[プロジェクト06363潜水艦(太平洋艦隊)]
今後はロシア北方艦隊向けに6隻の06363の建造が予定されています。
[ロシア海軍北方艦隊向けに6隻のプロジェクト06363潜水艦が建造される]
この06363は更なる改良型になるようです。
[ロシア造船業界はロシア海軍のプロジェクト06363潜水艦の更なるアップグレードの用意がある]
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