ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ提督はクリミア半島のサキ飛行場の艦上航空隊訓練複合体ニートカを視察した
- カテゴリ:ロシア海軍航空隊

『タス通信』より
2022年10月12日6時33分配信
【海軍総司令官はクリミアの地上「航空母艦」を視察した】
モスクワ、10月12日/タス通信
ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将は、クリミアに在り、航空母艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」の完全な類似物である航空機地上試験訓練複合体(ニートカ)を視察した。
『タス通信』がクリミアの治安機関に近い情報筋から伝えられたように、エフメノフは施設の作業を継続する為の評価を行なった。
「総司令官は施設に精通し、その作業を継続する可能性を評価し、作業部会を開催しました」
対談者は話し、全ての活動は非公開モードで行なわれた事を指摘した。
彼によると、エフメノフは提示された施設視察計画から逸脱し、サキにある巨大なクリミアの地上「航空母艦」の殆ど全ての施設と戦闘ポストを個人的に詳細に調査した。
サキの複合体「ニートカ」は完全に動作している事が知られている:数年前から北方艦隊の2個艦上戦闘機航空連隊が定期的にフックを引っ掛ける着陸を行なっている。
エイスクの複合体「ニートカ」については、この件に関する情報は無い。
以前、ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグは、当局の電話会議でのスピーチで、ロシアは新たな海上航空隊の地上訓練試験場を作成する試験設計作業を進めていると述べた。
試験場は、艦載飛行装置、艦載航空機器、航空機拘束装置、将来電磁カタパルトの試験の為に意図されている。
加えて、これは新たな航空機材の為に海上航空隊の飛行要員及び整備技術要員の実地の再訓練の実施を助力する。
この事に関連し、サキ或いはエイスクのどちらの複合体ニートカで将来航空母艦の為の電磁カタパルトの試験を行なうのかが決定される。



ソヴィエト連邦時代(1980年代初頭)、ウクライナには航空母艦の飛行甲板を模した発着艦訓練施設「ニートカ」が建設されました。
[地上試験・訓練複合体「ニートカ」]
[サキ飛行実験センター(ニートカ)]
[Нитка(ニートカ)~知られざる旧ソ連の蒸気カタパルト開発の経緯~]
ソ連邦解体後はウクライナに接収され、ロシアはウクライナと協定を結んで「ニートカ」を使用していました。
2012年8月、改訂された「ニートカ」使用協定にロシア・ウクライナ国防相が署名しました。
[ロシアとウクライナは艦上機訓練施設ニートカ使用協定を改訂した]
しかし、2013年にはロシアは「ニートカ」を使用しませんでした。
[ロシアは2013年にウクライナのニートカを使用しない]
その一方、ロシアは、クラスノダール地方のエイスク市に新たな「ニートカ」の建設を開始しました。
[ロシアは、2010年に空母パイロット訓練センターの建設を開始する]


その後、2014年3月18日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領がクリミア自治共和国をロシア連邦へ編入する条約に署名した事により、クリミア半島のサキに在る「ニートカ」は再びロシアの手に戻りました。
[ウクライナの訓練複合体ニートカ要員はクリミアへ忠誠を誓う]
[クリミア半島のニートカは2015年2月末から本格的に稼働を再開する]
これにより、クリミアの旧ニートカは主に現用のロシア海軍艦上戦闘機隊の訓練に使われ、エイスクの新ニートカは主にロシア海軍航空隊の新型航空機の各種試験と訓練に使われる事になりました。
[ロシア海軍航空隊の2つの「ニートカ」]
2014年9月初頭、ロシア海軍のSu-33艦上戦闘機は、クリミアの「ニートカ」へ戻ってきました。
[ロシア海軍艦上航空隊はクリミアのニートカへ戻ってきた]
以後、クリミアの「ニートカ」ではSu-33艦上戦闘機の訓練が行なわれました。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機航空連隊はクリミアのニートカでの訓練を終えた]
一方、エイスクの新ニートカでは、主に新型機の試験や訓練が行なわれています。
[ロシア連邦国防相セルゲイ・ショイグ上級大将はエイスクのロシア海軍飛行訓練センター(新ニートカ)を視察した]
[エイスク飛行場にロシア海軍航空隊の新型シミュレーターが設置された]
[クラスノダール地方エイスクのロシア海軍の新ニートカは2022年に完成する]
2019年には、艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUBが10月、Su-33が2月と11月にクリミアの「ニートカ」で訓練を行なっています。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機MiG-29K/MiG-29KUBはクリミアの発着艦訓練施設ニートカでの訓練を完了した]
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機Su-33はクリミア半島の訓練複合体ニートカで『発着艦』訓練を行なう]
2020年にはクリミアの「ニートカ」での艦上戦闘機隊の訓練は実施されませんでした。
[クリミア半島のロシア海軍航空隊の艦上航空隊訓練複合体ニートカは修理及び近代化される]
クリミアの「ニートカ」の修理及び近代化の為の契約は、2021年5月下旬に署名されました。
[クリミア半島のロシア海軍航空隊の艦上航空隊訓練複合体ニートカの修理及び近代化の契約が締結された]
[クリミア半島のロシア海軍航空隊の艦上航空隊訓練複合体ニートカの着艦拘束装置は2022年に修理される]
2021年8月中旬、第279独立艦上戦闘機航空連隊のSu-33がサキ飛行場へ進出しました。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機Su-33のパイロットはクリミア半島の訓練複合体ニートカでの訓練を開始した]
飛行訓練は9月末に完了し、その後、セヴェロモルスク-3飛行場へ戻りました。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機Su-33、クリミアのサキ飛行場の訓練複合体ニートカで発着艦訓練完了(2021年9月末)]
続いて、第100独立艦上戦闘機航空連隊の艦上戦闘機MiG-29Kがサキ飛行場へ進出し、10月上旬から11月中旬まで飛行訓練を行ないました。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機MiG-29K、クリミアのサキ飛行場の訓練複合体ニートカで発着艦訓練(2021年10月上旬~11月中旬)]
11月24日にセヴェロモルスク-3飛行場へ戻りました。
[クリミアのサキ飛行場の訓練複合体ニートカでの発着艦訓練を終えたロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機MiG-29Kはセヴェロモルスク-3へ戻った]
2022年にも第279航空連隊と第100航空連隊はサキ飛行場の「ニートカ」で「発着艦」訓練を行なう予定でした。
[ロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機隊は2022年にもクリミア半島の艦上航空隊訓練複合体ニートカで訓練を行なう]
しかし、2022年2月24日にロシア連邦軍のウクライナ特殊軍事作戦が始まり、黒海艦隊の多用途複座戦闘機Su-30SMや前線爆撃機Su-24Mが駐留するサキ飛行場も前線飛行場として使用される事になった為、サキでの艦上戦闘機隊の訓練は中止されました。
[クリミア半島の艦上航空隊訓練複合体ニートカでの2022年のロシア海軍北方艦隊の艦上戦闘機隊の訓練は中止された]
2022年9月初頭、セルゲイ・ショイグ国防相は国防省の会議において、ロシア海軍の将来航空母艦の為の電磁カタパルトの試験場の建設に言及しました。
[ロシア海軍の将来航空母艦の為の電磁カタパルトの地上試験場が建設される]
電磁カタパルトの試験場の候補には、クリミア半島のサキ飛行場とクラスノダール地方のエイスク飛行場の2ヶ所の「ニートカ」が挙げられています。
[ロシア海軍の将来航空母艦の為の電磁カタパルトの試験場の建設場所が決定される]

サキ飛行場


エイスク飛行場


この件に関連してか、2022年10月中旬にロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ提督がサキ飛行場を訪れ、同地の「ニートカ」を詳細に視察しました。
- 関連記事
-
- ロシア海軍バルト艦隊航空隊の前線爆撃機Su-24Mはカリーニングラード州で爆撃演習を開始した
- ロシア海軍バルト艦隊の海軍航空隊はカリーニングラード州で演習を実施した
- ロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ提督はクリミア半島のサキ飛行場の艦上航空隊訓練複合体ニートカを視察した
- ロシア海軍バルト艦隊の海軍航空隊はカリーニングラード州で演習を開始した
- ロシア海軍の将来航空母艦の為の電磁カタパルトの試験場の建設場所が決定される
スポンサーサイト