宇宙海洋偵察システム「リアナ」は本格的な運用を開始する
- カテゴリ:ロシア海軍ニュース

『タス通信』より
2022年11月10日9時3分配信
【ロシアは宇宙海上偵察システム「リアナ」の作成を完了した】
モスクワ、11月10日/タス通信
宇宙海洋偵察システム「リアナ」は、間もなく本格的に配備される。
2基のアクティブ偵察衛星「ピオン-NKS」の内の1基目はロシア連邦国防省へ受け入れられ、2基目の製造が討議されている。
『タス通信』はロケット-宇宙産業の情報筋より伝えられた。
「試験の結果、最初に打ち上げられたピオン-NKS装置は国防省指導部及び海軍司令部から高い評価を受けました。
衛星は御客様へ正式に受け入れられました。
今、次の宇宙装置の製造の問題が活発に討議されています」
対談者は指摘した。
「リアナ」システムは、1970年代に作成されたアメリカの航空母艦打撃グループの動きを追跡する同様のソビエトの「レゲンダ」システムをベースにして開発された。
「リアナ」には、4基の「パッシブ」偵察衛星「ロトス-S1」(2014年から2021年の期間に打ち上げられた)と、目標を追跡するのみならず、最新の精密兵器の誘導が可能な2基の「アクティブ」の「ピオン-NKS」が含まれなければならない。
宇宙装置の開発には、アカデミック・A.I.ベルグ記念電波技術中央科学研究所、設計局『アルセナル』、ロケット宇宙センター『プログレス』が従事した。
電波測定器(レーダー)の作成に関する作業は、『ロスエレクトロン』社~コンツェルン『ヴェガ』により行なわれた。
多機能宇宙システム14K159「リアナ」は、ソヴィエト連邦時代に実用化されたグローバル海洋偵察・目標指示衛星システム「レゲンダ」(МКРЦ "Легенда")の後継となる衛星システムです。
[「レゲンダ」を継ぐもの]
「リアナ」システムは2種類の衛星~「ロトス-S」と「ピオン-NKS」で構成されます。
電波電子情報収集衛星「ロトス-S」/「ロトス-S1」は、2009年11月から2022年4月に合計6基(最初の1基はロトス-Sで他は改良型のロトス-S1)が打ち上げられました。

[14F138「ロトス-S」]
「コスモス-2455」:2009年11月20日打ち上げ
[14F145「ロトス-S1」]
「コスモス-2502」:2014年12月25日打ち上げ
「コスモス-2524」:2017年12月2日打ち上げ
「コスモス-2528」:2018年10月25日打ち上げ
「コスモス-2549」:2021年2月2日打ち上げ
「コスモス-2554」:2022年4月7日打ち上げ
一方、レーダー偵察監視衛星14F139「ピオン-NKS」は2021年6月25日に1号機「コスモス-2550」が打ち上げられました。

レーダー偵察衛星「ピオン-NKS」は、海上の監視の他、ロシア海軍の現用対艦ミサイル~長距離超音速対艦ミサイル「グラニート」、超音速対艦ミサイル「オーニクス」、巡航ミサイル「カリブル」の目標指示にも使用されます。
更には、最近に採用された極超音速ミサイル「ツィルコン」も「ピオン-NKS」と連動できます。
[ロシア海軍の極超音速ミサイル"ツィルコン"は航空機や偵察衛星と連動する]
「ピオン-NKS」は、打ち上げ後に各種試験が行なわれました。
対艦ミサイルの目標指示に関する試験も行なっている筈です。
例えば、2022年5月28日の「ツィルコン」発射試験では、約1000kmの距離の目標へ命中させていますが、これも「ピオン-NKS」が使われたかもしれません。
[ロシア海軍のフリゲート「アドミラル・ゴルシコフ」、距離約1000kmの海上標的へ極超音速対艦ミサイル「ツィルコン」を発射(2022年5月28日)]
2022年9月6日にコルベット「グレミャーシチー」はオホーツク海で距離300km以上の目標へ「カリブル」を発射しましたが、これも「ピオン-NKS」が使われたかもしれません。
[戦略演習『ヴォストーク-2022』へ参加しているロシア海軍太平洋艦隊のコルベット「グレミャーシチー」はオホーツク海で巡航ミサイル「カリブル」を発射した]
この他、「グラニート」や「オーニクス」の発射訓練も何度か行なわれているので、その中で「ピオン-NKS」による目標指示試験も行なわれているでしょう。
「ピオン-NKS」の全ての試験は2022年9月初頭まで完了し、現在は実験運用が行なわれています。
[ロシア海軍のグローバル海上偵察衛星ピオン-NKSは運用を開始した]
実験運用は間もなく完了し、本格的な運用へ移行します。
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