ロシア海軍の将来フリゲート(プロジェクト22350M「超ゴルシコフ」型)の排水量は9000~10000トンに増加する


『MASHNEWS』より
2022年11月10日16時25分配信
【新たなフリゲート「スーパー・ゴルシコフ」は「巡洋艦」のサイズに成長する。価格も同様に】
『クルイロフセンター』の実験水槽では、将来フリゲート・プロジェクト22350Mの更新された船体模型の試験が成功裏に完了した。
プロジェクト改正の結果、艦の排水量は当初の7000~8000トンから9000~10000トンへ増加した。
フリゲートの価格も上昇する。
[プロジェクト22350Mフリゲートは小型巡洋艦レベルの排水量と武装を得る]
プロジェクト22350 (シリーズのトップ艦は「アドミラル・ゴルシコフ」)をベースに作成された新たなフリゲートは、造船業界から「スーパー・ゴルシコフ」というニックネームを受けた。

その排水量は、ベースとなったプロジェクト22350と比較するとほぼ倍増して駆逐艦あるいは小型巡洋艦レベルとなり、弾薬量も著しく増加する。
大まかな見積もりによると、「アドミラル・ゴルシコフ」型フリゲートの250億~350億ルーブルに比べ、プロジェクト22350Mフリゲートは350億~450億ルーブルの費用が掛かる。
状況に精通する造船業界の情報筋が『MASHNEWS』へ話したように、設計の過程で将来艦の排水量は当初の当初の7000~8000トンから9000~10000トンへ増加した。
これは、アメリカ合衆国海軍のミサイル駆逐艦「アーレイ・バーク」型或いはプロジェクト1164「モスクワ」型巡洋艦にほぼ相当する。


2017年、当時の軍備担当海軍副総司令官ヴィクトール・ブルスク中将は、この記事の著者へプロジェクト22350Mフリゲートは約8000トンの排水量を得て、48基の有翼ミサイル「カリブル」を搭載できると話した。
その兵器には、更に極超音速ミサイル「ツィルコン」も含まれる。
動力は完全にロシア製となり、「アドミラル・ゴルシコフ」型フリゲートよりも強力となる。
寸法の増加により、様々な兵器の為の多数の垂直発射装置のフリゲートへの装備が可能となる:打撃ミサイルや自衛兵器(高射ミサイル)。
プロジェクト22350フリゲートの第1シリーズには、16セル(16基の「カリブル」、「オーニクス」或いは「ツィルコン」)の汎用艦載射撃複合体UKSKが有る。

プロジェクト22350フリゲートの第2シリーズは32セルの汎用艦載射撃複合体を、そしてプロジェクト22350Mフリゲートは少なくとも48セルを得る。
[プロジェクト22350M艦はどのように設計されたのか]
他の対談者は、設計者は全ての必要な流体力学的計算を実行し、それに基づいて船体模型が作成され、『クルイロフ国立科学センター』の水槽で成功裏に試験が行なわれたと述べた。
『クルイロフ国立科学センター』科学部長ワレリー・ポロヴィンキンは『MASHNEWS』に対し、この情報を認めなかったが、反論もしなかった。
彼によると、ロシア海軍の為に作成される全ての最新プロジェクト艦の為、模型試験が実施される。
プロジェクト22350Mフリゲートの設計局である『北方計画設計局』は、2018年12月25日に艦の草案設計の開発契約を締結した。
一般には、草案設計に先行する概念設計及び予備設計の開発時期は伝えられていない。
2010年以来、設計者は自主的に、そして海軍の希望に沿って設計前の作業を行なっていたと考えられる。
プロジェクト22350Mフリゲートの草案設計の準備が整っている事は2019年11月に知られるようになった:従って、その開発には1年弱が費やされた。
新たなシリーズのトップ艦の起工は2021年に計画されていたが、期限は先延ばしされた。
2019年、『統合造船業営団』のトップ、アレクセイ・ラフマノフは、新たな艦の設計は2022年に完了すると発表した。
この時、起工は2023年に計画されていた。
2021年、『統合造船業営団』の軍事造船担当副総取締役ウラジーミル・コロリョーフは、艦の技術設計は2023年に完了し、起工はその1年後になると述べた。
従って、プロジェクト22350Mのトップ艦の引き渡し時期は、最初に発表された2026~2027年になる事は有り得ず、新たなシリーズの1番艦の建造は、次の国家軍備プログラムへ移行する事になるだろう。
現行の国家軍備プログラムは2018年に採用され、2027年まで計上されている。
[プロジェクト22350Mフリゲートの起工時期は何に依るのか]
プロジェクト22350Mフリゲートは、サンクトペテルブルクの『北方造船所』での建造が計画されている:これはベースのプロジェクト22350フリゲートを建造しているロシア唯一の工場である。

プロジェクト22350Mのトップ艦の起工は、『北方造船所』の新たな船台の建設完了後に計画されている。

造船所の大規模な近代化プログラムに含まれる船台建設の完了時期は、請負業者の問題により何度も延期された。
10月26日、工場の総取締役イーゴリ・オルロフは、新たな請負業者を選択する為の入札手続きが完了したと『MASHNEWS』へ言った。
彼によると、以前の請負業者は必要量の作業を完了せずに倒産した。
「今年は建設を続けます」
『北方造船所』総取締役は締め括った。
2017年、造船所の近代化には260億ルーブル掛かると見積もられていた。
おそらく今は、この金額は増加している。
『北方造船所』広報サービスは、プロジェクト22350Mのトップ艦の起工時期に関する『MASHNEWS』記者の質問を国防省へ転嫁した。
ロシア海軍総司令官補佐官イーゴリ・ディガロ1等海佐は、新たなタイプのフリゲートの建造に関する情報へ直ちにコメントできなかった。
新たな艦の費用は明らかにされていないが、プロジェクト22350の建造時に見積もられた推定金額250~350億ルーブルを超える。
ロシア国際問題評議会の専門家でありロシア海軍の専門家のイリヤ・クラムニクによると、将来フリゲートの費用は、プロジェクト22350艦の第1及び第2シリーズと比べて遥かに高くなる。
一部メディアによると、プロジェクト22350Mフリゲートの大まかな費用は340~450 億ルーブルと見積もられる。
同時に「船体から船体まで」の大量生産を確立する過程で艦は安価になると元『北方造船所』総取締役イーゴリ・ポノマリョフは話した。
[MASHNEWS参照]
プロジェクト22350フリゲートの開発は、20世紀~21世紀の境目に始まった。
プロジェクトは『北方計画設計局』で作成され、設計主任はイーゴリ・シラムコである。
トップ艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」は2006年に起工された。
数々の困難が故に、就役は2018年になった。
現在、同プロジェクトの2隻の艦が就役し、更なる6隻は様々な準備段階に在る。
プロジェクト22350Mフリゲートのトップの就役後、ロシア海軍は「フリゲート」クラスの多目的戦闘水上艦の4つのシリーズを有する:これはプロジェクト11356艦、プロジェクト22350フリゲートの第1及び第2シリーズ、そして22350Mである。
海軍におけるこのような艦の必要な総数は、少なくとも20~24隻のフリゲートと見積もられている。
11月9日現在、海軍にはこのクラスの艦は6隻だけである:3隻のプロジェクト11356フリゲート、2隻のプロジェクト22350フリゲート第1シリーズ、当初はプロジェクト1155大型対潜艦として建造され、「フリゲート」レベルに近代化されたプロジェクト1155Mフリゲート。
1等多目的フリゲート・プロジェクト22350は、サンクトペテルブルクの『北方造船所』で8隻が起工されており、この内2隻がロシア海軍へ引き渡され、もう1隻が艤装中です。
「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」
«Адмирал флота Советского Союза Горшков»(工場番号921)

2006年2月1日起工/2010年10月29日進水/2018年7月28日就役
北方艦隊へ配備(舷側番号454)
「アドミラル・フロータ・カサトノフ」«Адмирал флота Касатонов»(工場番号922)

2009年11月26日起工/2014年12月12日進水/2020年7月21日就役
北方艦隊へ配備(舷側番号461)
「アドミラル・ゴロフコ」«Адмирал Головко»(工場番号923)

2012年2月1日起工/2020年5月22日進水/2023年末就役予定
北方艦隊へ配備予定
「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・イサコフ」
«Адмирал флота Советского Союза Исаков»(工場番号924)

2013年11月14日起工/2023年以降就役予定
「アドミラル・アメリコ」«Адмирал Амелько»(工場番号925)
2019年4月23日起工/2024年就役予定
「アドミラル・チチャーゴフ」«Адмирал Чичагов»(工場番号926)
2019年4月23日起工/2025年就役予定
「アドミラル・ユマシェフ」«Адмирал Юмашев»(工場番号927)
2020年7月20日起工/2025年就役予定
「アドミラル・スピリドノフ」«Адмирал Спиридонов»(工場番号928)
2020年7月20日起工/2026年就役予定
5番艦(「アドミラル・アメリコ」)以降は巡航ミサイルの搭載数を増加した改正型となります。
[ロシア海軍のプロジェクト22350フリゲートの後期建造艦(5番艦以降)は32基の巡航ミサイル(対艦ミサイル)を搭載する]
9番艦と10番艦の起工も予定されています。
[ロシア海軍黒海艦隊向けのプロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)フリゲート2隻(9番艦と10番艦)は2022年に起工される]
その後は拡大発展型のプロジェクト22350Mフリゲートの建造へと移行します。
[プロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)の拡大発展型となるロシア海軍の次世代フリゲートの開発は進められている]
2018年12月25日、『北方計画設計局』は、プロジェクト22350Mフリゲートの大まかな概要を決める草案設計の契約へ署名し、作業が始まりました。
[ロシア海軍の為のプロジェクト22350Mフリゲート(改アドミラル・ゴルシコフ型)の草案設計の契約が締結された]
草案設計作業は2019年11月末に完了しました。
[ロシア海軍の次世代フリゲート・プロジェクト22350M(超ゴルシコフ型)の草案設計は完了した]
当初、プロジェクト22350Mの排水量は6500トン~約8000トン程度になる筈でした。
[ロシア海軍の将来フリゲート・プロジェクト22350M(超ゴルシコフ型)の排水量は6500トンになる]
[ロシア海軍の次世代フリゲート・プロジェクト22350M(改アドミラル・ゴルシコフ型)の排水量は約8000トンになる]
しかし、その後に設計変更され、プロジェクト22350Mの設計をサポートする『クルイロフ研究センター』での水槽実験の結果、9000トン~10000トン級に拡大される事になりました。
これはロシア海軍の将来駆逐艦(リデル)の初期設計案に相当します。
1隻辺りの建造費も350億~450億ルーブルに増加するようです。
プロジェクト22350Mの設計作業は2022年の完了が予定されていましたが、サイズが増加した為、おそらく今年中に完了する事は出来ないでしょう。
[ロシア海軍の次世代フリゲート・プロジェクト22350M(超ゴルシコフ型)の設計作業は2022年に完了する]
プロジェクト22350Mの1番艦が起工されるのは、設計作業が完了し、尚且つ現在建設中の『北方造船所』の新たな乾ドックが完成し、稼働を開始した後になります。
ただし、新たな乾ドックの建設は請負業者の倒産により遅れており、現時点では未だ具体的な起工時期は決まっていません。
[ロシア海軍の将来フリゲート(プロジェクト22350M「超ゴルシコフ」型)の1番艦の具体的な起工時期は未だ決まっていない]
プロジェクト22350Mの有翼ミサイルの搭載数は少なくとも48基になり、ベースとなった22350の3倍になります。
[ロシア海軍の次世代フリゲート・プロジェクト22350M(改アドミラル・ゴルシコフ型)は48基の巡航ミサイルを搭載する]
ただし、サイズが当初より大型化した事に伴い、更に増加(計64基)する可能性も有ります。
その他の兵装も、大体プロジェクト22350と同じものになるようです。
高射ミサイル複合体「ポリメント-リドゥート」
130mm単装砲A-192M「プーマ」
高射ミサイル-機関砲複合体「パーンツィリ-M」
対潜/対魚雷複合体「パケート-NK」
視覚-光学妨害ステーション「フィリン」
プロジェクト22350は、航行用のディーゼルエンジン10D49(出力5200馬力)1基と増速用のガスタービンエンジン「M90FR」(出力27500馬力)1基を組み合わせたディーゼル-ガスタービンユニットを2組搭載したCODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)方式ですが、22350Mは、航行用のガスタービンエンジン「M70FRU-R」(出力14000馬力)1基と増速用のガスタービンエンジン「M90FR」(出力27500馬力)1基を組み合わせたガスタービンユニットを2組搭載したCOGAG(COmbined Gas turbine And Gas turbine)方式になるようです。
[ロシア海軍の将来フリゲート(プロジェクト22350M「超ゴルシコフ」型)の為のガスタービンユニットが開発される]
ガスタービンエンジン「M90FR」(出力27500馬力)

ガスタービンエンジン「M70FRU-R」(出力14000馬力)

[ルイビンスクのサトゥルン社はロシア海軍の為のガスタービンエンジンの生産を開始する]
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