ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦アナトーリー・シレモフはピョートル大帝湾で洋上試験を開始した

『タス通信』より
2022年11月12日16時44分配信
【掃海艦「アナトーリー・シレモフ」は工場試験中に初めて海上へ出航した】
モスクワ、11月12日/タス通信
太平洋艦隊の為に建造されたプロジェクト12700(「アレクサンドリト」)海洋掃海艦「アナトーリー・シレモフ」は、ピョートル大帝湾での工場航行試験中に初めて海上へ出航した。
土曜日にロシア国防省のサイトで公表された東方軍管区広報サービスの声明では、こう述べられた。
「最初の海上への出航の枠組みで掃海艦は、様々な動作モードでの主動力装置の試験を行ないます。
業界の代表は乗組員と合同で操舵装置及び搭載艇用装置の動作性能を点検します。
更に工場航行試験中に衛星通信航法装置及び艦の移動速度の計測の為に意図されている流体力学測程器の試験が行なわれます」
声明ではこう説明された。
広報サービスは、試験は承認された計画に沿って行なわれる事を指摘した。
点検活動の完了後、海洋掃海艦は艦隊へ加わり、聖アンドレイ旗が掲揚される。
以前、海洋掃海艦「ピョートル・イリイチョーフ」と「アナトーリー・シレモフ」の艦隊への受け入れは、今年中に行なわれなければならないと報じられた。
ロシア海軍の新世代掃海艦プロジェクト12700「アレクサンドリト」は、船体が一体成型の繊維強化プラスチックで造られており、世界最大級の非金属船体艦です。


従来のソ連/ロシア海軍の掃海艦は、外洋で活動する海洋掃海艦と、自軍基地周辺海域で活動する基地掃海艦に分けられていましたが、プロジェクト12700は、基地掃海艦と海洋掃海艦を統合するものとなり、「対機雷防衛艦」とも呼ばれています。
(当初は基地掃海艦に分類されていたが、2016年に海洋掃海艦となった)
プロジェクト12700の7番艦「アナトーリー・シレモフ」は、サンクトペテルブルクの『中部ネヴァ川造船工場』で2019年7月12日に起工されました。

[ロシア海軍の為の第7のプロジェクト12700掃海艦アナトーリー・シレモフが起工された]
2020年11月初頭までにガラス繊維強化プラスチックの船体の形成はほぼ完了し、11月2日には型枠からの抜き取りが終わりました。
[ロシア海軍の為の第7のプロジェクト12700対機雷防衛艦アナトーリー・シレモフの船体が形成された]
2021年11月26日に進水しました。
[ロシア海軍の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦アナトーリー・シレモフはサンクトペテルブルクで進水した]
その後は造船所の岸壁で艤装工事が進められました。

2022年7月末にロシア内陸水路経由で白海への移動を開始しました。

7月31日にはアルハンゲリスク港へ寄港しました。

「アナトーリー・シレモフ」(651)は同型艦「ピョートル・イリイチョーフ」(543)と共に北極海(北方海上航路)を横断し、9月10日にチュクチ自治管区のぺヴェクへ寄港しました。
(「ピョートル・イリイチョーフ」は一足遅れて10月7日に寄港)

[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ピョートル・イリイチョーフとアナトーリー・シレモフは北極海経由でカムチャツカ半島へ向かっている]

その後、「アナトーリー・シレモフ」は2022年11月3日にウラジオストクへ到着しました。
2022年11月12日、「アナトーリー・シレモフ」はピョートル大帝湾へ出航し、洋上試験(工場航行試験)を開始しました。
「アナトーリー・シレモフ」のロシア海軍への引き渡し時期は明らかにされていませんが、早くても2023年初頭でしょう。
なお、「アナトーリー・シレモフ」と共に北極海経由で極東方面へ回航されてきた「ピョートル・イリイチョーフ」は10月末頃にペトロパヴロフスク・カムチャツキー港へ到着し、11月8日に海上へ出航しています。
【MatchlessMan410氏の2022年11月9日午後6時24分のツイート】
プロジェクト12700対機雷防衛艦は現在までに10隻が起工され、5隻が就役しています。
アレクサンドル・オブホフАлександр Обухов(工場番号521)
2011年9月22日起工/2014年6月27日進水/2016年12月9日就役
バルト艦隊へ配備(507)
ゲオルギー・クルバトフГеоргий Курбатов(工場番号522)
2015年4月24日起工/2020年9月30日進水/2021年8月20日就役
黒海艦隊へ配備(464)
イワン・アントノフИван Антонов(工場番号523)
2017年1月25日起工/2018年4月25日進水/2019年1月26日就役
黒海艦隊へ配備(460)
ウラジーミル・イェメリヤノフВладимир Емельянов(工場番号524)
2017年4月20日起工/2019年5月30日進水/2019年12月28日就役
黒海艦隊へ配備(466)
ヤーコフ・バリャーエフЯков Баляев(工場番号525)
2017年12月26日起工/2020年1月29日進水/2020年12月26日就役
太平洋艦隊へ配備(616)
ピョートル・イリイチョーフПётр Ильичев(工場番号526)
2018年7月25日起工/2021年4月28日進水/2022年末就役予定
太平洋艦隊へ配備予定(543)
アナトーリー・シレモフАнатолий Шлемов(工場番号527)
2019年7月12日起工/2021年11月26日進水
太平洋艦隊へ配備予定(651)
レフ・チェルナヴィンЛев Чернавин(工場番号528)
2020年7月24日起工
太平洋艦隊へ配備予定
アファナシー・イワンニコフАфанасий Иванников(工場番号529)
2021年9月9日起工
北方艦隊へ配備予定
ポリャールヌイПолярный(工場番号530)
2022年6月12日起工
北方艦隊へ配備予定
現在の所、プロジェクト12700対機雷防衛艦は、計12隻の建造が承認されています。
[ロシア海軍の為の新世代掃海艦アレクサンドリト級は12隻が建造される]
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