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新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ピョートル・イリイチョーフはロシア海軍へ就役し、太平洋艦隊へ編入された

本日(2022年11月16日)、プロジェクト12700対機雷防衛艦の6番艦「ピョートル・イリイチョーフ」はロシア連邦海軍へ就役しました。

『カムチャツカタイム』より
2022年11月16日9時36分配信
【カムチャツカで最新戦闘艦が受け入れられた】

正午にペトロパヴロフスク・カムチャツキー港で信号が発射された後、最新の対機雷防衛艦「ピョートル・イリイチョーフ」へのロシア海軍旗掲揚式典が開催された。

掃海艦は、8隻から成るシリーズの6隻目であり、北東軍集団水域保護旅団の一員としては既に2隻目となる。
艦と乗組員の主な任務は、敵機雷の捜索及び破壊である。
この重要な任務を遂行する為、掃海艦は、このミッションの為に必要な全てを備えている:水路上で我々の水中巡洋艦の自由な動きを妨げる可能性のある爆発物を捜索、破壊する為の最新システム。

艦は比較的小さな890トン、全長は僅か61メートル、幅10メートル、44名の船員により制御される。
とは言え、これは完全に合成樹脂製であり、最新機雷との戦いでは、これは非常に大きなプラスとなる。
合成樹脂は周知のように錆びる事は無く、それは「ピョートル・イリイチョーフ」ロシアの利益の為、長期に渡り熱心に「銅の鍋」として勤務する事を意味する。

通信社『カムチャツカタイム』特派員は、乗組員と艦の勤務の成功と「キール下の7フィート」(註:「航海の無事を祈る」といった意味)を願う。



ロシア海軍新世代掃海艦プロジェクト12700「アレクサンドリト」は、船体が一体成型の繊維強化プラスチックで造られており、世界最大級の非金属船体艦です。
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従来のソ連/ロシア海軍掃海艦は、外洋で活動する海洋掃海艦と、自軍基地周辺海域で活動する基地掃海艦に分けられていましたが、プロジェクト12700は、基地掃海艦海洋掃海艦を統合するものとなり、「対機雷防衛艦」とも呼ばれています。
(当初は基地掃海艦に分類されていたが、2016年に海洋掃海艦となった)


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プロジェクト12700の6番艦「ピョートル・イリイチョーフ」は、サンクトペテルブルク『中部ネヴァ川造船工場』で2018年7月25日に起工されました。
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[ロシア海軍の為のアレクサンドリト級掃海艦6番艦ピョートル・イリイチョーフは起工された]

その乗組員団は、カムチャツカ半島に駐留する太平洋艦隊北東軍集団第114水域防護艦旅団で編成されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ピョートル・イリイチョーフの乗組員が編成された]

「ピョートル・イリイチョーフ」は、2021年1月22日に屋内造船台から出渠しました。
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一方、サンクトペテルブルク海軍総合研修センターでの訓練を終えた「ピョートル・イリイチョーフ」の乗組員は、同型艦「ヤーコフ・バリャーエフ」(2020年12月26日就役)で訓練を行なう為、2021年3月12日にウラジオストクへ到着しました。
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[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ピョートル・イリイチョーフ乗組員は同型艦ヤーコフ・バリャーエフで訓練を行なう]

「ピョートル・イリイチョーフ」は、2021年4月28日に進水しました。
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[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ピョートル・イリイチョーフは進水した]

進水後は造船所の岸壁で艤装工事が進められました。
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2021年12月1日からフィンランド湾で洋上試験(工場航行試験)を開始しました。
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[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ピョートル・イリイチョーフはフィンランド湾で洋上試験を開始した]

その後もフィンランド湾バルト海で洋上試験が続けられていましたが、2022年7月初頭までには一通り完了し、2022年7月11日にサンクトペテルブルクを出航し、配備先であるカムチャツカ半島ペトロパヴロフスク・カムチャツキーへ向かいました。
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[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ピョートル・イリイチョーフは北極海経由でペトロパヴロフスク・カムチャツキーへ行く]

「ピョートル・イリイチョーフ」ロシア内陸水路経由で白海へ回航され、北極海へ向かいました。
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その後、「ピョートル・イリイチョーフ」北極海(北方海上航路)を横断し、10月7日にチュクチ自治管区ぺヴェクへ寄港しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦ピョートル・イリイチョーフとアナトーリー・シレモフは北極海経由でカムチャツカ半島へ向かっている]
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10月末頃にペトロパヴロフスク・カムチャツキー港へ到着し、11月上旬に海上へ出航しました。
【MatchlessMan410氏の2022年11月9日午後6時24分のツイート】

11月16日、ペトロパヴロフスク・カムチャツキー港聖アンドレイ旗初掲揚式典(正式なロシア海軍への就役式典)が開催され、太平洋艦隊へ編入されました。
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なお、「ピョートル・イリイチョーフ」と共に北極海(北方海上航路)経由で極東へ回航された同型艦「アナトーリー・シレモフ」は、11月12日にウラジオストクから出航して洋上試験を開始しています。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の新世代非金属複合材料対機雷防衛艦アナトーリー・シレモフはピョートル大帝湾で洋上試験を開始した]


プロジェクト12700対機雷防衛艦は現在までに10隻が起工され、6隻が就役しています。

アレクサンドル・オブホフАлександр Обухов(工場番号521)
2011年9月22日起工/2014年6月27日進水/2016年12月9日就役
バルト艦隊へ配備(507)

ゲオルギー・クルバトフГеоргий Курбатов(工場番号522)
2015年4月24日起工/2020年9月30日進水/2021年8月20日就役
黒海艦隊へ配備(464)

イワン・アントノフИван Антонов(工場番号523)
2017年1月25日起工/2018年4月25日進水/2019年1月26日就役
黒海艦隊へ配備(460)

ウラジーミル・イェメリヤノフВладимир Емельянов(工場番号524)
2017年4月20日起工/2019年5月30日進水/2019年12月28日就役
黒海艦隊へ配備(466)

ヤーコフ・バリャーエフЯков Баляев(工場番号525)
2017年12月26日起工/2020年1月29日進水/2020年12月26日就役
太平洋艦隊へ配備(616)

ピョートル・イリイチョーフПётр Ильичев(工場番号526)
2018年7月25日起工/2021年4月28日進水/2022年11月16日就役
太平洋艦隊へ配備(543)

アナトーリー・シレモフАнатолий Шлемов(工場番号527)
2019年7月12日起工/2021年11月26日進水
太平洋艦隊へ配備予定(651)

レフ・チェルナヴィンЛев Чернавин(工場番号528)
2020年7月24日起工
太平洋艦隊へ配備予定

アファナシー・イワンニコフАфанасий Иванников(工場番号529)
2021年9月9日起工
北方艦隊へ配備予定

ポリャールヌイПолярный(工場番号530)
2022年6月12日起工
北方艦隊へ配備予定


現在の所、プロジェクト12700対機雷防衛艦は、計12隻の建造が承認されています。
[ロシア海軍の為の新世代掃海艦アレクサンドリト級は12隻が建造される]
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