フリゲート「ツシル」(元ロシア海軍黒海艦隊向けフリゲート「アドミラル・ブタコフ」)は2023年にインド海軍へ引き渡される

『タス通信』より
2022年11月17日10時13分配信
【工場『ヤンターリ』はインド海軍の為のフリゲート「ツシル」の2023年の引き渡しを計画している】
モスクワ、11月17日/タス通信

沿バルト造船工場『ヤンターリ』(カリーニングラード)がインド海軍の為に建造するプロジェクト11356フリゲートの1隻目「ツシル」は、来年の引き渡しが計画されている。
『タス通信』は沿バルト造船工場総取締役イリヤー・サマリンより伝えられた。
「私達は来年のインド海軍へのフリゲートの御引き渡しを目指しております。
艦は係留試験を準備しております」
彼は話した。
プロジェクト11356フリゲートの1隻目「ツシル」は2021年10月に進水した。
プロジェクト11356の2番艦「タマラ」は進水を準備している。

沿バルト造船工場『ヤンターリ』は、黒海艦隊の為に6隻のプロジェクト11356艦を建造しており、フリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」、「アドミラル・エッセン」、「アドミラル・マカロフ」の受け入れは間に合った。
ウクライナの『ゾーリャ機械設計』社がロシア艦の為の動力装置の供給を拒否したが故に、更なる艦の建造は中断した。
「ツシル」(「アドミラル・ブタコフ」)及び「タマラ」(「アドミラル・イストミン」)と命名された2隻のフリゲートはインド海軍の為に完成する。
以前に伝えられたように、ロシアとインドは2018年に4隻のプロジェクト11356フリゲートの供給契約へ署名した。
この契約では、2隻のフリゲートはロシア連邦の沿バルト工場『ヤンターリ』はインド海軍で建造され、もう2隻はインドの造船所『ゴア・シップヤード・リミテッド』での建造が予定されている。
プロジェクト11356フリゲートは、近海ゾーン及び大洋海域ゾーンで敵の水上艦及び潜水艦へ打撃を与え、自身で、或いは艦列の一員として空中目標と戦う為に意図されている。
このタイプのフリゲートは、100mm砲装置A-190、打撃ミサイル(ロシア艦は「カリブル」、インド艦は「ブラモス」)、高射複合体、魚雷兵器で武装する。
艦にはKa-27型ヘリコプターとその派生型が駐留できる。
ロシア海軍向けのプロジェクト11356Rフリゲート(インド海軍向けの「タルワー」級フリゲートのロシア向けヴァージョン)は、現在までに6隻が起工され、3隻が就役しています。
[「タルワー」級(プロジェクト1135.6)]
[プロジェクト11356(タルワー級)の装備]
[プロジェクト11356R(改タルワー級)フリゲート]

1番艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」(2010年12月18日起工/2014年3月14日進水)は2016年3月11日に就役し、2016年6月9日にセヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍最新フリゲート"アドミラル・グリゴロヴィチ"は黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着した]

2番艦「アドミラル・エッセン」(2011年7月8日起工/2014年11月7日進水)は2016年6月7日に就役し、2017年7月5日にセヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦(フリゲート)アドミラル・エッセンはセヴァストーポリへ到着した]

3番艦「アドミラル・マカロフ」(2012年2月29日起工/2015年9月2日進水)は2017年12月27日に就役し、2018年10月5日にセヴァストーポリへ到着しました。
[ロシア海軍の最新フリゲート"アドミラル・マカロフ"は黒海艦隊基地セヴァストーポリへ到着した]
「アドミラル・グリゴロヴィチ」は2021年10月末以降地中海東部に滞在し、「アドミラル・エッセン」と「アドミラル・マカロフ」は2022年2月末以降黒海でウクライナ特殊軍事作戦へ参加しています。
4番艦「アドミラル・ブタコフ」は2013年7月12日、5番艦「アドミラル・イストミン」は2013年11月15日に起工されました。
6番艦「アドミラル・コルニロフ」も2013年12月頃に起工されました。
しかし、この3隻は、ウクライナからのガスタービンエンジンの供給問題により建造が中断しました。
[ガスタービンエンジン代替問題]
ソ連/ロシアの艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシアの「サトゥルン」、「アヴローラ」、「トゥルボコン」、ウクライナの「ゾーリャ機械設計」が関わっており、エンジンの主要パーツはロシアで製造し、最終組立は「ゾーリャ機械設計」で行なわれていたのですが、2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナとロシアの関係も悪化し、ガスタービン生産の分業体制も瓦解しました。
この為、2016年初春頃からインドへの売却交渉が行なわれ、2017年2月にはインドへの売却が決まったと報じられました。
[ロシア海軍黒海艦隊の為に建造されたプロジェクト11356Rフリゲートの4番艦と5番艦はインドへ売却される]
2018年11月20日、ロシアとインドは、インド海軍向けのプロジェクト11356フリゲート4隻を含む兵器輸出契約へ署名しました。
(2隻はロシアで建造、2隻はインドでライセンス建造)
[ロシア海軍向けだった3隻のプロジェクト11356Rフリゲート後期建造艦はインドへ売却された]
これにより、4番艦「アドミラル・ブタコフ」と5番艦「アドミラル・イストミン」はインドへ売却される事になり、建造工事が再開されました。

「アドミラル・ブタコフ」改め「ツシル」は2021年11月8日に進水しました。
[インド海軍向けのフリゲート"ツシル"(元ロシア海軍黒海艦隊向けフリゲート"アドミラル・ブタコフ")進水(2021年11月8日)]
その後は造船所の岸壁で艤装工事が進められ、現在(2022年11月中旬)は岸壁での係留試験の準備が行なわれています。
「ツシル」のインド海軍への引き渡しは2023年末までに予定されています。
「アドミラル・イストミン」改め「タマラ」は2022年末までの進水が予定されています。
[インド海軍向けのフリゲート「タマラ」(元ロシア海軍黒海艦隊向け「アドミラル・イストミン」)は2022年に進水する]
インド海軍への引き渡しは2024年末までに予定されています。
一方、6番艦「アドミラル・コルニロフ」に関しては、未だ最終的な決定は下されていません。
[ロシア海軍向けだったプロジェクト11356Rフリゲート6番艦アドミラル・コルニロフに関する最終決定は未だ下されていない]
- 関連記事
-
- ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」はカリーニングラードでのオーバーホール後に再び地中海へ行く
- ロシア海軍黒海艦隊のフリゲート「アドミラル・グリゴロヴィチ」は地中海での活動後にカリーニングラードでオーバーホールを実施する
- フリゲート「ツシル」(元ロシア海軍黒海艦隊向けフリゲート「アドミラル・ブタコフ」)は2023年にインド海軍へ引き渡される
- カリーニングラード造船所はロシア海軍向けのアドミラル・グリゴロヴィチ型フリゲートを追加建造する用意がある
- フリゲート「アドミラル・マカロフ」はロシア海軍黒海艦隊旗艦になる
スポンサーサイト