新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは2013年後半に海洋試験を実施し、同年末にロシア海軍へ引き渡される

『イタル-タス通信サンクト-ペテルブルク支局』より
2013年4月11日13時06分43秒配信
【原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」は今年秋の国家試験に合格すれば今年末に海軍の編制へ加入する】
モスクワ、4月11日/イタル-タス
プロジェクト885・整理名「ヤーセン」多用途原子力潜水艦のトップ「セヴェロドヴィンスク」は、今年後半に一連の工場航海試験及び国家受領試験を実施する。
それを成功裏に終えた場合、潜水艦は年末にロシア海軍の編制へ受け入れられる。
本日、イタル-タスは、ロシア防衛産業企業体の情報提供者より伝えられた。
「セヴェロドヴィンスクは今年夏に海洋へ出航して工場航海試験の続きを行ない、秋には国家試験を行なう予定です。
これまでの間に、再度の潜水艦汎用ミサイル複合体の戦闘時動作評価と同時に他のシステム及び機器の機能は確認されています。
昨年の海洋での潜水艦の工場航海試験中、5回に渡り成功裏に遠距離有翼ミサイル複合体カリブルが水中及び水上位置から水上及び地上目標へ発射されました。
今年には、セヴェロドヴィンスクの試験において1度だけ"カリブル"ミサイルが発射される事が決まっております。
それは、水中位置から地上目標へ距離2500kmで発射されます」
対談者は説明した。
「更に、潜水艦からは古い533mm電動魚雷が発射されます。
超音速対艦有翼ミサイル"オーニクス"と新たな熱機関魚雷フィジークの発射は潜水艦の試験計画に含まれていますが、今年末の潜水艦の海軍の編制への受領を再び延期させる事のないように、実行されない可能性の方が高いでしょう」
防衛産業企業体の情報提供者は伝達した。
第4世代多用途原子力潜水艦「セヴェロドヴィンスク」は、サンクト-ペテルブルク市の海洋機械製造局「マラヒート」により設計された。
潜水艦は1993年に「セヴマシュ」で起工され、2010年6月に進水した。
建造工事が長期間に及んだのは、財政難の為だけでは無く、船体と兵器の根本的に新しい構造の為でもある。
「セヴェロドヴィンスク」は、我が国の造船業の初の試みとして魚雷発射管を潜水艦の艦首ではなく中央区画に配置しており、この事により水中音響アンテナの艦首への配置が可能となった。
ミサイル兵器は、24基の垂直発射装置により使用される。
艦は最新の通信・航海複合体を受け取り、更には、根本的に新しい核動力装置が装備されている。
2009年7月、「セヴマシュ」造船台において、改善された第4世代原子力潜水艦プロジェクト885Mのトップ「カザン」が起工され、建造はスケジュールより遅れている。
2020年までの国家軍備プログラムにおいて「セヴマシュ」は、飛翔距離300kmの超音速対艦有翼ミサイル「オーニクス」と亜音速有翼ミサイル「カリブル」、ロケット魚雷、深海誘導魚雷「フィジーク」で武装した「ヤーセン」及び「ヤーセン-M」級原子力潜水艦を7隻建造しなければならない。
多種類の破壊手段の使用の為、核及び通常弾頭の双方が提供される。

[新世代多用途原潜ヤーセン級(旧ブログ)]
[新世代多用途原潜ヤーセン級]
1993年12月21日に起工され、2010年6月15日に進水した多用途原潜K-329「セヴェロドヴィンスク」は、2011年9月12日から海洋試験(工場航海試験)を開始しました。
2012年にも引き続き海洋試験は実施されましたが、結局、2012年中のロシア海軍への引き渡しは実現できませんでした。
[新世代多用途原潜セヴェロドヴィンスクは2013年にロシア海軍へ引き渡される]
[ロシア海軍は2012年に2隻の原潜と3隻の水上戦闘艦を受領できなかった]
2012年の海洋試験では、有翼ミサイル「カリブル」の発射試験が複数回実施されました。
2012年11月7日:潜航状態で対艦攻撃型の発射に成功。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクはカリブル対艦ミサイルの発射試験に成功した]
2012年11月26日:浮上状態で地上攻撃型の発射に成功。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクはカリブル対地ミサイルの発射試験に成功した]
2012年11月28日:潜航状態で対地攻撃型の発射に成功。
[多用途原潜セヴェロドヴィンスクは3回連続でカリブル有翼ミサイルの発射試験に成功した]
今年(2013年)には、最大射程の2500kmで発射試験が実施されるとの事です。
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]
記事中に登場する新たな熱機関魚雷(深海誘導魚雷)「フィジーク」は、UGST(汎用深海誘導魚雷)を指しています。


おそらくは改良型のUGST-Mの事でしょう。
「古い533mm電動魚雷」は、おそらく1980年に制式採用された汎用電池式誘導魚雷USET-80の事でしょう。

なお、記事中で改「ヤーセン」級「カザン」の建造がスケジュールよりも遅れているとの記述が有りますが、これは建造元の「セヴマシュ」から否定されています。
[多用途原潜ヤーセン級2番艦カザンは2015年に就役する]
この時、「カザン」の建造がスケジュールよりも遅れていると報じた「複数のメディア」にイタル-タスも含まれていたという事です。
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