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ロシア海軍バルト艦隊は最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」の洋上試験をサポートする

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『タス通信』より
2022年11月28日20時24分配信
【ロシア連邦国防省は最新フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」の工場航行試験の開始を発表した】
モスクワ、11月28日/タス通信

最新のプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は、工場航行試験開始の枠組みで初めて海上へ出航した。
月曜日にバルト艦隊広報サービスは発表した。

「バルト艦隊の部隊は、最新のプロジェクト22350フリゲート"アドミラル・ゴロフコ"の工場航行試験を支援します。
現在、フリゲートは工場航行試験の為にバルト海へ出ています」

声明では、こう指摘された。

工場航行試験の実施中、一連の艦内生命維持システム、航法複合体、通信システム、救助手段、居住システム、換気及び空調システムを含め、艦の電波技術兵装が点検される。
動力装置、操舵装置、補助機械、投錨装置の動作確認が行なわれる。
様々なモードでフリゲートの速力、機動性、振動性の試験が行なわれる。
フリゲートの試験には、バルト艦隊の艦及び支援船、そして更に海上航空隊が関わる。

工場航行試験は、あらゆる艦の建造プロセスを完了する必須段階の1つであり、システム及びメカニズムが承認された仕様、図面、技術的説明及び操作指示書に沿っているかどうかを点検する目的で行なわれる。

バルト艦隊の海上射爆場では、ロシア海軍及び外国の為の新たな装備の試験が定期的に行なわれている。
バルト艦隊艦、支援船、救助部隊、海上航空隊は、これらの活動へ常に関わっている。

「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト22350フリゲートの3隻目にして第2の生産艦である。
北方艦隊の戦闘編制には、現在、同プロジェクト艦2隻が在る~「アドミラル・ゴルシコフ」「アドミラル・カサトノフ」
フリゲートは、大祖国戦争中に北方艦隊を指揮した艦隊司令官アルセニー・グリゴリエヴィチ・ゴロフコ(1906~1962年)に敬意を表して命名された。
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プロジェクト22350フリゲート有翼ミサイル「カリブル-NK」を搭載する。



1等多目的フリゲート・プロジェクト22350の3番艦「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト20385コルベット「グレミャーシチー」(2020年12月29日就役)と共にサンクトペテルブルク『北方造船所』で2012年2月1日に起工されました。



本艦は「アドミラル・ゴロフコ」の名を持つ艦としては「2代目」になります。
初代「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト58ロケット巡洋艦として1961年4月20日に同じ『北方造船所』(当時は『A.A.ジダーノフ記念造船工場』)で起工され、1962年7月18日に進水、1964年12月30日に就役しました。
[ロケット巡洋艦「アドミラル・ゴロフコ」]
[キンダ級巡洋艦アドミラル・ゴロフコの晩年]
当初は北方艦隊へ配属されましたが、1968年3月に黒海艦隊へ転属し、1982年6月から1989年3月までセヴァストーポリでオーバーホールが行なわれました。
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ソ連邦解体後も現役に留まり、1990年代には黒海艦隊旗艦を務め、2002年11月に除籍されました。
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起工から2年後の2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナロシアの関係が悪化した為、ガスタービンエンジン(M90FR)の供給が途絶える事になりました。

元々、ソ連/ロシア艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシア及びウクライナの企業が関わっており、エンジンの最終組立はウクライナで行なわれていました。
(主要部品はロシアの企業で製造し、それをウクライナへ送って最終組み立て)
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]

ウクライナでの最終組み立てが出来なくなった為、その為の設備をロシア国内に建設し、完全にロシア国内だけでガスタービンエンジンを生産できる体制を構築する必要が生じ、この体制作りに数年を要しました。
[ロシア海軍のプロジェクト22350フリゲート3番艦と4番艦のガスタービンエンジンはロシア国内で製造されている]
[ロシア海軍の新世代フリゲート・プロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)における輸入代替問題]

ようやくガスタービンエンジン完全国産の目途が立ち、「アドミラル・ゴロフコ」用のガスタービン造船所へ供給されました。
これにより、建造が遅延していた「アドミラル・ゴロフコ」も進水する目途が立ちました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2020年7月1日までに進水する]

以前には2020年4月末~5月初頭の進水が予定されていましたが、新型コロナウイルス流行の影響の為、5月22日に延期されました。

[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは進水した]

進水後は造船所の岸壁で艤装工事が進められました。
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2021年夏以降に造船所の岸壁で係留試験を開始しました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは係留試験の準備を進めている]

「アドミラル・ゴロフコ」の洋上試験は2022年9月の開始が予定されていました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2022年9月に洋上試験を開始する]
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しかし、「アドミラル・ゴロフコ」サンクトペテルブルク造船所の岸壁を離れ、海上へ出たのは11月26日になりました。

[アドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコの最初の洋上試験が始まる]
[ロシア海軍の最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」、洋上試験開始(2022年11月26日)]

「アドミラル・ゴロフコ」バルト海で洋上試験の最初の段階となる工場航行試験を開始し、バルト艦隊の艦船と航空隊が試験をサポートします。

「アドミラル・ゴロフコ」ロシア海軍への引き渡しは2022年12月末に予定されていましたが、洋上試験の開始が11月下旬となり、12月末までに終わるとは考えられないので(洋上試験には工場航行試験国家試験の2つの段階が有り、最低でも4~5ヶ月程度は掛かる)、2022年中の引き渡しは実現しないでしょう。
[アドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2022年12月末にロシア海軍へ就役する]
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