ロシア海軍の最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」はフィンランド湾での洋上試験の第1段階を完了し、サンクトペテルブルクへ帰投した

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2022年12月6日12時44分配信
【最新フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」の最初の試験は成功裏に実施された】
モスクワ、12月6日-ロシア通信社ノーボスチ
最新のプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」のバルト海フィンランド湾における工場航行試験第1段階は成功裏に完了し、造船企業『北方造船所』の埠頭へ戻ってきた。
火曜日にロシア連邦国防省は発表した。
フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は、同プロジェクトの3番艦である。
フリゲートのトップ「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」と最初の生産艦「アドミラル・フロータ・カサトノフ」は、既に北方艦隊のロケット艦連合部隊の一員として勤務に就いている。
このような艦は、有翼ミサイル「カリブル」を含む最新の海上発射ミサイル兵器の搭載艦である。
フリゲート「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」は、極超音速ミサイル「ツィルコン」の試験を成功裏に実施した。
「新たな艦の海上への出航は10日間続きました。
この間に艦の乗組員と工場の受入-引渡チームは、艦の実際の操艦特性、そして更にはユニット、メカニズム、システムの動作性能を点検しました。
フリゲートの主動力装置、航法複合体、通信装置、電波技術兵装の点検に主な注意が払われました」
声明では、こう述べられた。
新たなフリゲートの試験の第1段階の成功裏の完了は、海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将へ報告された。
工場『北方造船所』は、バルト艦隊の射爆場における工場航行試験の次の段階を継続する為に艦を準備する。
1等多目的フリゲート・プロジェクト22350の3番艦「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト20385コルベット「グレミャーシチー」(2020年12月29日就役)と共にサンクトペテルブルクの『北方造船所』で2012年2月1日に起工されました。
本艦は「アドミラル・ゴロフコ」の名を持つ艦としては「2代目」になります。
初代「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト58ロケット巡洋艦として1961年4月20日に同じ『北方造船所』(当時は『A.A.ジダーノフ記念造船工場』)で起工され、1962年7月18日に進水、1964年12月30日に就役しました。
[ロケット巡洋艦「アドミラル・ゴロフコ」]
[キンダ級巡洋艦アドミラル・ゴロフコの晩年]
当初は北方艦隊へ配属されましたが、1968年3月に黒海艦隊へ転属し、1982年6月から1989年3月までセヴァストーポリでオーバーホールが行なわれました。

ソ連邦解体後も現役に留まり、1990年代には黒海艦隊旗艦を務め、2002年11月に除籍されました。


起工から2年後の2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナとロシアの関係が悪化した為、ガスタービンエンジン(M90FR)の供給が途絶える事になりました。
元々、ソ連/ロシアの艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシア及びウクライナの企業が関わっており、エンジンの最終組立はウクライナで行なわれていました。
(主要部品はロシアの企業で製造し、それをウクライナへ送って最終組み立て)
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
ウクライナでの最終組み立てが出来なくなった為、その為の設備をロシア国内に建設し、完全にロシア国内だけでガスタービンエンジンを生産できる体制を構築する必要が生じ、この体制作りに数年を要しました。
[ロシア海軍のプロジェクト22350フリゲート3番艦と4番艦のガスタービンエンジンはロシア国内で製造されている]
[ロシア海軍の新世代フリゲート・プロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)における輸入代替問題]
ようやくガスタービンエンジン完全国産の目途が立ち、「アドミラル・ゴロフコ」用のガスタービンが造船所へ供給されました。
これにより、建造が遅延していた「アドミラル・ゴロフコ」も進水する目途が立ちました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2020年7月1日までに進水する]
以前には2020年4月末~5月初頭の進水が予定されていましたが、新型コロナウイルス流行の影響の為、5月22日に延期されました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは進水した]
進水後は造船所の岸壁で艤装工事が進められました。

2021年夏以降に造船所の岸壁で係留試験を開始しました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは係留試験の準備を進めている]
「アドミラル・ゴロフコ」の洋上試験は2022年9月の開始が予定されていました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2022年9月に洋上試験を開始する]

しかし、「アドミラル・ゴロフコ」がサンクトペテルブルクの造船所の岸壁を離れ、海上へ出たのは11月26日になりました。
[アドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコの最初の洋上試験が始まる]
[ロシア海軍の最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」、洋上試験開始(2022年11月26日)]
「アドミラル・ゴロフコ」はフィンランド湾で洋上試験の最初の段階となる工場航行試験を開始し、バルト艦隊の艦船と航空隊が試験をサポートしました。
[ロシア海軍バルト艦隊は最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」の洋上試験をサポートする]
「アドミラル・ゴロフコ」は工場航行試験の第1段階を完了し、12月6日にサンクトペテルブルクの造船所の岸壁へ戻りました。
今後は工場航行試験の第2段階が行なわれます。
以前には「アドミラル・ゴロフコ」のロシア海軍への引き渡しは2022年12月末に予定されていましたが、洋上試験の開始が11月下旬となり、12月末までに終わるとは考えられないので(洋上試験には工場航行試験と国家試験の2つの段階が有り、最低でも4~5ヶ月程度は掛かる)、2022年中の引き渡しは実現しないでしょう。
[アドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2022年12月末にロシア海軍へ就役する]
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