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ロシア海軍バルト艦隊向けのカラクルト級小型ロケット艦ブーリャはバルト海で最終洋上試験(国家試験)を開始した

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『ロシア通信社ノーボスチ』より
2022年12月17日19時18分配信
【バルト海で新たなロケット艦「ブーリャ」の国家試験が始まった】
モスクワ、12月17日-ロシア通信社ノーボスチ

有翼ミサイル「カリブル」で武装する最新のプロジェクト22800小型ロケット艦「ブーリャ」は、国家試験へ着手した。
バルト艦隊広報サービスは発表した。

その場所(ブーリャ)には工場試運転チームの代表と国家受領委員会のメンバーも居る事が説明された。
彼らは艦の乗組員と共に艦の機動性及び速力の試験を行ない、全ての集合体、システム、ユニットの動作を点検する。
これに加え、彼らは「ブーリャ」の兵装、そして更に航法手段及び電波技術手段を検査する。

「近い内に国家試験の枠組みで、乗組員には艦の砲複合体からの海上目標への砲射撃の実行が控えています」
艦隊は伝えた。

艦は造船工場『ペラ』で建造された。
海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将の決定により、小型ロケット艦「ブーリャ」はへ加入し、バルチースク海軍基地ロケット艦・ロケット艇連合部隊で任務を遂行する。

8月に『ペラ』は、艦は2022年末に海軍への引き渡しを計画していると『ロシア通信社ノーボスチ』へ伝えた。

小型ロケット艦「ブーリャ」は、『ペラ』が建造した新型高射ミサイル-機関砲複合体「パーンツィリ-M」を標準装備する第2のプロジェクト22800「カラクルト」艦である。
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プロジェクト22800「カラクルト」多目的小型ロケット艦は、中央海洋設計局『アルマーズ』が開発し、2015年からロシア海軍の為に3ヶ所の造船所『ペラ』タタールスタン『ゼレノドリスク造船工場』ハバロフスク地方『アムール造船工場』で建造されている。

基準排水量800トンの「カラクルト」は、近海ゾーンで任務を遂行する為に意図されている。
同プロジェクト艦は、有翼ミサイル「カリブル」及び「オーニクス」の為の8セルの汎用艦載射撃複合体自動砲塔AK-176MAで武装する。
艦の対空防衛構成には、携帯高射ミサイル複合体「イグラ」高射ミサイル-機関砲複合体「パーンツィリ-M」が含まれる。




プロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦は、ロシア海軍の現用のプロジェクト12341「オヴォード」小型ロケット艦(ナヌチュカ級)及びプロジェクト12411「モルニヤ」ロケット艇(タランタル級)の代替となる新世代の小型ロケット艦です。

プロジェクト12341小型ロケット艦(「ミラーシュ」)
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プロジェクト12411ロケット艇(R-239)
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元々は「オヴォード」「モルニヤ」の後継としてプロジェクト12300「スコルピオン」ロケット艇(満載排水量465トン)が建造される筈だったのですが、2001年6月5日に起工された1番艇は工事中止となりました。
[ロシア新型ミサイル艇プロジェクト12300「スコルピオン」]

その後、『アルマーズ』設計局「スコルピオン」の拡大発展型(満載排水量800トン)を設計し、それに小改正を加えたのがプロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦として建造される事になりました。

プロジェクト12300「スコルピオン」ロケット艇(拡大発展型)
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プロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦
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プロジェクト22800小型ロケット艦の4番艦「ブーリャ」は、2016年12月24日にサンクトペテルブルク『ペラ』造船所で起工されました。
[ロシア海軍の為のプロジェクト22800小型ロケット艦ブーリャはサンクトペテルブルクで起工された]

2018年10月23日に進水しました。

[ロシア海軍の為のカラクルト級小型ロケット艦4番艦ブーリャは進水した]

「ブーリャ」は2021年末の就役が予定されていましたが、2021年中には洋上試験を開始するまでに至らず、翌年に延期されました。
[小型ロケット艦ブーリャとグラードは2021年にロシア海軍へ就役し、バルト艦隊へ配備される]
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2022年10月17日、「ブーリャ」バルト海で洋上試験の第1段階(工場航行試験)を開始しました。
[ロシア海軍のカラクルト級小型ロケット艦4番艦ブーリャはバルト海で洋上試験を開始した]

11月中旬には艦砲(76mm砲)の射撃試験などが行なわれました。
[ロシア海軍のカラクルト級小型ロケット艦4番艦ブーリャはバルト海で砲撃試験を実施した]

工場航行試験は12月上旬までに完了し、12月17日からは最終洋上試験となる国家試験が始まりました。

国家試験が完了し、その後の最終検査が終われば、ロシア海軍への引き渡し準備が整います。

「ブーリャ」ロシア海軍への引き渡しは2022年12月末に予定されていましたが、12月17日から始まった国家試験が12月中に終わる事は、今までの例からも考えられないので(最低でも1ヶ月程度は掛かる)、おそらくは2023年に延期される事になるでしょう。
[ロシア海軍のカラクルト級小型ロケット艦4番艦ブーリャは2022年12月にロシア海軍へ就役する]


なお、同じくバルト艦隊へ配備予定のプロジェクト21631小型ロケット艦「グラード」は、「ブーリャ」よりも早くバルト海で洋上試験を開始しており、こちらは12月末にはロシア海軍へ就役できそうです。
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[ブヤン-M小型ロケット艦グラードはタルーサと改名され、2022年12月末にロシア海軍へ就役する]


プロジェクト22800小型ロケット艦は、リードヤードであるサンクトペテルブルク『ペラ』造船工場で7隻(うち3隻は船体を下請けのフェオドシヤ造船所で建造)、ロシア内陸部ゼレノドリスク『ゴーリキー記念造船工場』で5隻(最初の3隻は下請けのケルチ造船工場ザリフで建造)、極東『アムール造船工場』で4隻の計16隻が起工されており、この内の3隻が就役しています。

[『ペラ』造船工場建造艦]
(工場番号254、255、256は下請けのフェオドシヤ造船工場『モーリェ』で船体を建造)
「ムィティシ」«Мытищи»(工場番号251)
2015年12月24日起工/2017年7月29日進水/2018年12月17日就役
バルト艦隊へ配備(567)

「ソヴィェツク」«Советск»(工場番号252)
2015年12月24日起工/201711月24日進水/2019年10月12日就役
バルト艦隊へ配備(577)

「オジンツォボ」«Одинцово»(工場番号253)
2016年7月29日起工/2018年5月5日進水/2020年11月21日就役
バルト艦隊へ配備(584)

「コゼリスク」«Козельск»(工場番号254)
2016年5月10日起工/2019年10月9日進水

「オホーツク」«Охотск»(工場番号255)
2017年3月17日起工/2019年10月29日進水

「ヴィフリ」«Вихрь»(工場番号256)
2017年12月19日起工/2019年11月13日進水

「ブーリャ」«Буря»(工場番号257)
2016年12月24日起工/2018年10月23日進水/2022年末就役予定
バルト艦隊へ配備予定(578)

[『ゴーリキー記念造船工場』建造艦]
(工場番号801、802、803は下請けのケルチ造船工場『ザリフ』で建造)
「ツィクロン」«Циклон»(工場番号801)
2016年7月26日起工/2020年7月24日進水/2022年就役予定
黒海艦隊へ配備(633)

「アスコリド」«Аскольд»(工場番号802)
2016年11月18日起工/2021年9月21日進水/2023年就役予定
黒海艦隊へ配備予定

「アムール」«Амур»(工場番号803)
2017年7月30日起工/2022年進水予定/2023年就役予定
黒海艦隊へ配備予定

「トゥーチャ」«Туча»(工場番号804)
2019年2月26日起工/2022年進水予定/2023年以降就役予定

「タイフーン」«Тайфун»(工場番号805)
2019年9月11日起工/2022年進水予定/2023年以降就役予定

[『アムール造船工場』建造艦]
「ルジェフ」«Ржев»(工場番号201)
2019年7月1日起工/2023年進水予定/2023年就役予定
太平洋艦隊へ配備予定

「ウドムリャ」«Удомля»(工場番号202)
2019年7月1日起工/2023年進水予定/2023年就役予定
太平洋艦隊へ配備予定

「パヴロフスク」«Павловск»(工場番号203)
2020年7月29日起工/2024年就役予定
太平洋艦隊へ配備予定

「ウスリースク」«Уссурийск»(工場番号204)
2019年12月26日起工/2024年就役予定
太平洋艦隊へ配備予定
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