ロシア海軍はヴィクターIII級原潜を近代化しない
- カテゴリ:ロシアの潜水艦
『イズベスチヤ』より
2013年4月15日0時01分配信
【ロシア海軍は伝説の「シチューカ」を解体する】
騒がしい潜水艦プロジェクト671RTMの近代化は効果が無いと認められた。

(ロシア)海軍総司令部は、2015年までに伝説的な原子力潜水艦プロジェクト671RTM「シチューカ」を活動停止させる。
これらの潜水艦は1980年代にはアメリカ空母にとって大きな脅威だったが、現在の条件下では、あまりにも騒がしいと見られる。
決定は3月に採択された。
(ロシア)海軍総司令部が、この潜水艦を近代化する為の全ての選択肢を検討して将来性が無いと認めた後に。
「これらの潜水艦は、原子炉から水中音響ステーションまで全ての中身を交換する必要が有ります。
これらの潜水艦はかなり使い込まれている為、船体も大幅な補修が必要です。
それ故、この近代化のコストは、新しく潜水艦を建造するコストに匹敵します」
対談者は『イズベスチヤ』へ説明した。
彼は、「シチューカ」の生産は1992年に完了している事を想起した。
これらの潜水艦は第2世代原子力潜水艦に属し、今では、全ての同世代-ソヴィエトの潜水艦プロジェクト「リラ」とアメリカのプロジェクト「スタージョン」及び「スレッシャー」は退役している。
「シチューカ」近代化プロジェクトは、幾つかの軍事科学研究機関及び海洋機械製造局「マラヒート」により、これらの潜水艦を作成している時に開発された。
しかし、提示された近代化プロジェクトにおいて、大きな問題点-大きな騒音-が発覚し、それを克服する事は出来なかった。
「これらは、1960-1970年代の技術成果により建造されており、騒音レベルはアメリカ艦ロサンゼルスよりもかなり劣っています。
それ故に、潜水艦の近代化は必要な数値を得られず、第3世代艦プロジェクト971アクラ及び945コンドルの修理に資金を使う方が宜しいでしょう」
情報提供者は続けた。
しかし、潜水艦隊は「シチューカ」に感謝している。
北方艦隊の士官の1人が『イズベスチヤ』へ話した所によれば、これらは、とても必要な素晴らしい多用途原子力潜水艦だった。
「ロシアは、約70隻の潜水艦を有しておりますが、戦略ロケット艦及びディーゼル艦、更には修理中の艦を除き、魚雷攻撃艦は10隻も無く、直面する大きな任務も有りません。
現在、シチューカを代替するアクラは既に製造されておらず、ロケット艦ヤーセンは、未だ試験を経ていません」
士官は述べた。
地政学問題高等学院第1校長コンスタンチン・シフコフ退役1等海佐が『イズベスチヤ』へ話した所によれば、プロジェクト671RTM艦の静粛性は同世代の「スタージョン」よりは優れているが、「ロサンゼルス」、そしてもちろん最新の「ヴァージニア」には劣る。
「アメリカの探知装置は、遠距離からシチューカを聞き分けます。
とりわけ、深海において潜水艦の騒音が大きくなるという問題が有り、船体が低周波騒音を生成し、水中を伝わります。
無論、この問題点を修正する事は可能ですが、それは新たな潜水艦の建造に匹敵する費用が掛かります。
故に、シチューカを解体するという決定は合理的であります」
シフコフ氏は説明した。
海軍の歴史に関する著書を執筆している軍事史家ドミトリー・ボルテンコフは、最初の「シチューカ」であるK-524が1977年に海軍へ引き渡された事を『イズベスチヤ』へ想い起させた。
「長い間、潜水艦はアメリカ海軍にとって大きな脅威と見なされてきました。
1987年のアトリナ作戦では、5隻のシチューカがアメリカの対潜防御網を突破しました。
そして1996年、ブリテン海軍の艦が演習中、その前に、水兵の1人が手術を必要とした為にタンボフが浮上しました。
その出現は、ブリテンにとっては完全なる驚きでした」
ボルテンコフ氏は話した。
今、北方艦隊には、残り全ての4隻のプロジェクト671潜水艦が配備されている。
「ダニール・モスコフスキー」と「ペトロザヴォーツク」は海洋に在り、「タンボフ」と「オブニンスク」は資源として再利用する為に桟橋に在る。
潜水艦は有翼ミサイルS-10「グラナート」で武装する。
プロジェクト671(ヴィクター級)系列艦は、1967年から1992年に掛けて合計48隻が就役しました。
ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト671「エルシ」(NATOコード名ヴィクターI)】

1967年から1974年に掛けて15隻が就役。
1997年までに全艦除籍。
【プロジェクト671RT「セムガ」(NATOコード名ヴィクターII)】

1975年から1978年に掛けて7隻が就役。
1993年に全艦除籍。
【プロジェクト671RTM/RTMK「シチューカ」(NATOコード名ヴィクターIII)】

1977年から1992年に掛けて26隻が就役。
現在は4隻が北方艦隊に在籍するのみです。
B-388「ペトロザヴォーツク」(1988年就役)

B-138「オブニンスク」(1990年就役)

B-414「ダニール・モスコフスキー」(1990年就役)

B-448「タンボフ」(1992年就役)

最近、ロシア海軍の現用原子力潜水艦の近代化計画が次々と公表されています。
・プロジェクト971(アクラ級)
[セヴェロドヴィンスクの艦船修理センターはアクラ級原潜を近代化する]
[全てのアクラ級原潜はオーバーホールと近代化改装が行なわれる]
・プロジェクト949A(オスカーII級)
[太平洋艦隊のオスカーII級原潜3隻は2020年までに近代化される]
[オスカーII級ミサイル原潜は「オーニクス」と「カリブル」を装備する]
[ロシア海軍の戦略非核戦力は多用途原潜と原子力巡洋艦から成る]
・プロジェクト945/945A(シエラI/II級)
[ロシア海軍はシエラ級原潜を復帰させる]
[近代化改装後のシエラ級原潜は第4世代原潜に匹敵する]
今回の記事によれば、1980年代末から1990年代初頭に就役した現用のプロジェクト671RTMK4隻も近代化が検討されたようですが、効果が薄いと判断されて見送られました。
記事中では、「シチューカ」は静粛性で劣る事が強調されていますが、これは、就役当時ならばともかく、より新しい原子力潜水艦が登場している今となっては見劣りするという事です。
記事の末尾で登場する1996年のブリテン海軍のエピソードは、かの『ソ連/ロシア原潜建造史』でも触れられています。
【ソ連/ロシア原潜建造史】
【ヴィクターVictor型】
ソヴィエト連邦海軍末期からロシア連邦海軍初期のワークホースだった「シチューカ」ですが、その役割は終わり、今、静かに消え去ろうとしています・・・
「後輩」達に後を託して・・・
2013年4月15日0時01分配信
【ロシア海軍は伝説の「シチューカ」を解体する】
騒がしい潜水艦プロジェクト671RTMの近代化は効果が無いと認められた。

(ロシア)海軍総司令部は、2015年までに伝説的な原子力潜水艦プロジェクト671RTM「シチューカ」を活動停止させる。
これらの潜水艦は1980年代にはアメリカ空母にとって大きな脅威だったが、現在の条件下では、あまりにも騒がしいと見られる。
決定は3月に採択された。
(ロシア)海軍総司令部が、この潜水艦を近代化する為の全ての選択肢を検討して将来性が無いと認めた後に。
「これらの潜水艦は、原子炉から水中音響ステーションまで全ての中身を交換する必要が有ります。
これらの潜水艦はかなり使い込まれている為、船体も大幅な補修が必要です。
それ故、この近代化のコストは、新しく潜水艦を建造するコストに匹敵します」
対談者は『イズベスチヤ』へ説明した。
彼は、「シチューカ」の生産は1992年に完了している事を想起した。
これらの潜水艦は第2世代原子力潜水艦に属し、今では、全ての同世代-ソヴィエトの潜水艦プロジェクト「リラ」とアメリカのプロジェクト「スタージョン」及び「スレッシャー」は退役している。
「シチューカ」近代化プロジェクトは、幾つかの軍事科学研究機関及び海洋機械製造局「マラヒート」により、これらの潜水艦を作成している時に開発された。
しかし、提示された近代化プロジェクトにおいて、大きな問題点-大きな騒音-が発覚し、それを克服する事は出来なかった。
「これらは、1960-1970年代の技術成果により建造されており、騒音レベルはアメリカ艦ロサンゼルスよりもかなり劣っています。
それ故に、潜水艦の近代化は必要な数値を得られず、第3世代艦プロジェクト971アクラ及び945コンドルの修理に資金を使う方が宜しいでしょう」
情報提供者は続けた。
しかし、潜水艦隊は「シチューカ」に感謝している。
北方艦隊の士官の1人が『イズベスチヤ』へ話した所によれば、これらは、とても必要な素晴らしい多用途原子力潜水艦だった。
「ロシアは、約70隻の潜水艦を有しておりますが、戦略ロケット艦及びディーゼル艦、更には修理中の艦を除き、魚雷攻撃艦は10隻も無く、直面する大きな任務も有りません。
現在、シチューカを代替するアクラは既に製造されておらず、ロケット艦ヤーセンは、未だ試験を経ていません」
士官は述べた。
地政学問題高等学院第1校長コンスタンチン・シフコフ退役1等海佐が『イズベスチヤ』へ話した所によれば、プロジェクト671RTM艦の静粛性は同世代の「スタージョン」よりは優れているが、「ロサンゼルス」、そしてもちろん最新の「ヴァージニア」には劣る。
「アメリカの探知装置は、遠距離からシチューカを聞き分けます。
とりわけ、深海において潜水艦の騒音が大きくなるという問題が有り、船体が低周波騒音を生成し、水中を伝わります。
無論、この問題点を修正する事は可能ですが、それは新たな潜水艦の建造に匹敵する費用が掛かります。
故に、シチューカを解体するという決定は合理的であります」
シフコフ氏は説明した。
海軍の歴史に関する著書を執筆している軍事史家ドミトリー・ボルテンコフは、最初の「シチューカ」であるK-524が1977年に海軍へ引き渡された事を『イズベスチヤ』へ想い起させた。
「長い間、潜水艦はアメリカ海軍にとって大きな脅威と見なされてきました。
1987年のアトリナ作戦では、5隻のシチューカがアメリカの対潜防御網を突破しました。
そして1996年、ブリテン海軍の艦が演習中、その前に、水兵の1人が手術を必要とした為にタンボフが浮上しました。
その出現は、ブリテンにとっては完全なる驚きでした」
ボルテンコフ氏は話した。
今、北方艦隊には、残り全ての4隻のプロジェクト671潜水艦が配備されている。
「ダニール・モスコフスキー」と「ペトロザヴォーツク」は海洋に在り、「タンボフ」と「オブニンスク」は資源として再利用する為に桟橋に在る。
潜水艦は有翼ミサイルS-10「グラナート」で武装する。
プロジェクト671(ヴィクター級)系列艦は、1967年から1992年に掛けて合計48隻が就役しました。
ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『ディープストーム』より
【プロジェクト671「エルシ」(NATOコード名ヴィクターI)】

1967年から1974年に掛けて15隻が就役。
1997年までに全艦除籍。
【プロジェクト671RT「セムガ」(NATOコード名ヴィクターII)】

1975年から1978年に掛けて7隻が就役。
1993年に全艦除籍。
【プロジェクト671RTM/RTMK「シチューカ」(NATOコード名ヴィクターIII)】

1977年から1992年に掛けて26隻が就役。
現在は4隻が北方艦隊に在籍するのみです。
B-388「ペトロザヴォーツク」(1988年就役)

B-138「オブニンスク」(1990年就役)

B-414「ダニール・モスコフスキー」(1990年就役)

B-448「タンボフ」(1992年就役)

最近、ロシア海軍の現用原子力潜水艦の近代化計画が次々と公表されています。
・プロジェクト971(アクラ級)
[セヴェロドヴィンスクの艦船修理センターはアクラ級原潜を近代化する]
[全てのアクラ級原潜はオーバーホールと近代化改装が行なわれる]
・プロジェクト949A(オスカーII級)
[太平洋艦隊のオスカーII級原潜3隻は2020年までに近代化される]
[オスカーII級ミサイル原潜は「オーニクス」と「カリブル」を装備する]
[ロシア海軍の戦略非核戦力は多用途原潜と原子力巡洋艦から成る]
・プロジェクト945/945A(シエラI/II級)
[ロシア海軍はシエラ級原潜を復帰させる]
[近代化改装後のシエラ級原潜は第4世代原潜に匹敵する]
今回の記事によれば、1980年代末から1990年代初頭に就役した現用のプロジェクト671RTMK4隻も近代化が検討されたようですが、効果が薄いと判断されて見送られました。
記事中では、「シチューカ」は静粛性で劣る事が強調されていますが、これは、就役当時ならばともかく、より新しい原子力潜水艦が登場している今となっては見劣りするという事です。
記事の末尾で登場する1996年のブリテン海軍のエピソードは、かの『ソ連/ロシア原潜建造史』でも触れられています。
【ソ連/ロシア原潜建造史】
【ヴィクターVictor型】
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