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2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜ロシャリクの修理と近代化改装は2024年末に完了し、2025年に洋上試験を実施する

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『タス通信』より
2023年1月9日9時5分配信
【特殊用途原子力潜水艦「ロシャリク」の修理と復元は2024年に完了する】
モスクワ、1月9日/タス通信

特殊用途原子力潜水艦AS-31の修理と復元は2024年の完了が計画されている。
『タス通信』防衛産業企業体に近い情報筋より伝えられた。

「現在、新たな原子炉の炉心が潜水艦へ積載されており、火災により損傷或いは破壊されたものと交換する最新の水中音響、航法、特殊機器の据え付けと調整が進んでおります。
作業は2024年末完了予定であり、その後、次の年に装置の試験を行ないます」

彼は話した。

彼によると、原子力潜水艦チタン製船体は火災時に損傷を受けておらず、これにより以前の限界潜航深度が装置に保障される。
「しかしながら、リスクの可能性を避ける為、潜航深度は減らされるかもしれませんが、それは僅かなものです」
対談者は指摘した。

『タス通信』は、この情報を公式に確認していない。

潜水艦は、セヴェロドヴィンスク工場『セヴマシュ』(『統合造船業営団』へ加入)で修理が進められている。
原子力潜水艦AS-31の火災は2019年7月1日に発生した。
原子炉は火災による損傷は無かった。
2019年11月、潜水艦艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』へ運ばれ、そこで原子炉の炉心を降ろす操作が行なわれた。

潜水艦AS-31は船体の特殊な形状~互いに接続された複数のチタンの球~故、非公式に「ロシャリク」と呼ばれている。



2019年7月1日、ロシア海軍「科学研究深海装置」は、ロシア領海内での海底調査中に火災が発生し、乗組員14名が死亡しました。
[ロシア海軍の深海調査原潜で火災が発生し、乗員14名が死亡した]

ロシア国防省は、事故を起こした「科学研究深海装置」の名前などは一切公表していませんが、プロジェクト10831「ロシャリク」原子力深海ステーションのようです。
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原子力深海ステーションAS-12は、1988年頃にセヴェロドヴィンスク造船所『セヴマシュ』で起工され、2003年8月頃に進水、2010年頃に就役しました。
船体はチタン製です。
同級に関しては詳細は未だ不明です。
艦名については「AS-31」という説も有り、今回の『タス通信』の記事でもAS-31と記されています。

明確な要目も不明ですが、水中排水量は2100トン、全長は60メートル、幅は7メートル、水中速力は30ノット、潜航深度は少なくとも1000m以上(未確認情報によれば最大6000m)、乗員は25名と推定されています。
ロシア海軍第4世代通常動力潜水艦プロジェクト677「ラーダ」とほぼ同サイズの小型原潜のようです。

「ロシャリク」級特務原潜AS-12(AS-31?)
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ロシャリク級は、以前には戦略原子力潜水艦プロジェクト667BDR(デルタIII級)K-129を改造した特殊用途原子力潜水艦プロジェクト09786(デルタ・ストレッチ)BS-136「オレンブルク」を母艦としており、同艦に搭載されて海洋で行動していました。
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2012年9月には北極圏へ行き、ロモノソフ海嶺メンデレーエフ海嶺の海底を調査しています。
『イズべスチヤ』より
2012年10月29日配信
【軍用原子力バチスカーフ「ロシャリク」は北極圏を探った】

北極圏で行動する母艦BS-136「オレンブルク」(2012年9月27日)
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ロシャリクは、2015年にも2回の遠距離航海を行なっています。
[ロシア海軍の特務原潜ロシャリクは2015年に2度の遠征を行なっていた]

2016年12月末にプロジェクト09787特殊用途原子力潜水艦「ポドモスコヴィエ」が再就役してからは、同艦を母艦としているようです。
[改造を終えた特務原潜ポドモスコヴィエ(モスクワ州)はロシア海軍へ引き渡された]


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事故後、ロシャリク搭載母艦(プロジェクト09787特殊用途原子力潜水艦BS-64「ポドモスコヴィエ」)北方艦隊基地セヴェロモルスクへ入港しました。
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この事故の詳細や事故を起こした艦の名前は相変わらず公表されていませんが、ロシア国防省は、事故で死亡した乗員14名の名前は公表しています。
[2019年7月1日のロシア海軍の深海調査原潜の火災事故で死亡した乗組員14名の氏名が公表された]
死亡したのは艦長を始めとして佐官クラスの年長者が殆どですが、おそらくは、火災事故発生の際、若い乗組員(つまり、将来のロシャリク運用の中核となる人々)を助ける為、自分達が犠牲になったのでしょう。
(ロシャリクの標準乗員は25名なので、おそらく11名程度が生存している)
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火災事故で損傷したロシャリクは、2019年11月初頭にセヴェロドヴィンスク艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』へ回航されました。
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[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜の修理は9月に始まる]
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜AS-31は修理の為にセヴェロドヴィンスクへ運ばれた]
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜AS-31(ロシャリク)の修理作業が始まった]
機関部分以外の損傷は激しく、船体の一部を含め、殆どの機器は交換される事になるようです。

まず初めに、原子炉炉心を降ろす予定でしたが、作業は2021年に延期されました。
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜AS-31(ロシャリク)の修理作業は2021年に延期された]
延期の理由は、ロシャリクよりも古い原子力深海ステーションAS-15(1991年12月30日就役)のオーバーホールを先に行なう事になった為です。

ロシャリク原子炉炉心は、2021年3月末までに降ろされました。
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜AS-31(ロシャリク)は原子炉の炉心を降ろした]

ロシャリクは、修理と共に近代化改装も実行される事になりました。
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜ロシャリクは近代化改装される]

ロシャリクの修理と近代化改装工事は2024年末に完了し、2025年には洋上試験を行なって艦隊へ復帰します。
[2019年7月1日の火災事故で損傷したロシア海軍の深海調査原潜ロシャリクは2025年までに復帰する]
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