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大洋多目的システム(原子力水中無人機)ポセイドンの製造が始まった

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『タス通信』より
2023年1月16日9時12分配信
【潜水艦「ベルゴロド」の為の超魚雷「ポセイドン」の最初の弾が製造された】
モスクワ、1月16日/タス通信

特殊用途原子力潜水艦「ベルゴロド」の為の原子力超魚雷「ポセイドン」の最初の弾が製造された。
『タス通信』軍当局に近い情報筋より伝えられた。

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「ポセイドンの最初の弾が製造され、近い内に潜水艦ベルゴロドはそれを受け取ります」
彼は話した。

対談者によると、核動力装置を含む「ポセイドン」の主​​要コンポーネントの個別の試験は成功裏に完了している。

『タス通信』は、この情報を公式に確認していない。

以前に『タス通信』は、潜水艦「ベルゴロド」の乗組員は、魚雷「ポセイドン」モックアップの一連の投射試験が完了したと報じた。

原子力水中無人機「ポセイドン」の最初の搭載艦であるプロジェクト09852潜水艦「ベルゴロド」は、2019年4月23日に生産合同『セヴマシュ』(『統合造船業営団』へ加入)で進水した。
2022年7月8日に海軍への引き渡しが行なわれた。



[大洋多目的システム「ポセイドン」]

2018年3月1日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン氏は教書演説を行ない、この中で、ロシアが開発中の各種新兵器に言及しました。
『タス通信』より
2018年3月1日18時25分配信
【プーチンが話したロシアの超兵器はどのようなものか】

この演説の中でプーチン大統領は、ロシア海軍「無人水中装置」について話しました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2018年3月1日13時36分配信
【プーチンは水中システムの為の新たな原子力推進について話した】

プーチン大統領教書演説の後、ロシア海軍総司令官ウラジーミル・コロリョーフ大将「無人水中装置」について記者団へ説明しました。
[ロシア海軍の為の大洋多目的システム(原子力推進水中無人機)の開発は進められている]

コロリョーフ提督は、この原子力推進「無人水中装置」「大洋多目的システム」と呼んでおり、原子力潜水艦に搭載され、敵の領域付近で使用されると述べています。

この「大洋多目的システム」は、以前から開発が噂されている大洋多目的システム「スタトゥース6」の事でしょう。

これは、2015年11月10日のプーチン大統領ロシア連邦軍首脳の会議について報じたニュース映像の中で「偶然」映った図面に描かれていたのが発端でした。
(動画の1:45から大洋多目的システム「スタトゥース6」の説明図が映っている)
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この「原子力無人水中装置」(ポセイドン)の全長は24メートル程度と推測されており、これは日本海軍甲標的と大体同じくらいのサイズになります。
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大洋多目的システムは、敵の海軍基地や、航空母艦グループなどを撃破する為の兵器であり、その開発は1980年代末に始まりました。
[ロシア海軍の原子力水中無人機ポセイドン]


その後、ロシア国防省は、この「原子力無人水中装置」などの公式に名前が付いていない新兵器の愛称を公募しました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より
2018年3月23日4時27分配信
【ロシアは新たな国産兵器の為の名前を公表した】

その結果、原子力無人水中装置「ポセイドン」と命名されました。

その他の候補には「アヴローラ」、「プリボイ」などが有りました。


大洋多目的システム(原子力無人水中装置)「ポセイドン」『2018-2027年の国家軍備プログラム』において開発が進められています。
「ポセイドン」の搭載艦は、セヴェロドヴィンスク造船所『セヴマシュ』で建造される原子力潜水艦になります。
[大洋多目的システム(原子力推進水中無人機)ポセイドンは『2018-2027年の国家軍備プログラム』において開発され、ロシア海軍へ採用される]

「ポセイドン」は2メガトンの核弾頭を搭載できるようです。
[ロシア海軍の大洋多目的システム(原子力推進水中無人機)ポセイドンは2メガトンの核弾頭を搭載する]

大洋多目的システム「ポセイドン」の動力には、液体金属(鉛ビスマス合金)冷却原子炉が使用される可能性も有ります。
[ロスアトムはロシア軍(海軍)の為の新たな液体金属冷却原子炉を開発する]



「ポセイドン」の動力となる原子力機関の海上での試験は2018年後半に始まりました。
[ロシア海軍の大洋多目的システム(原子力推進水中無人機)ポセイドンの試験は進められている]
[ロシア海軍の大洋多目的システム(原子力推進水中無人機)ポセイドンの水中試験は始まっている]

試験潜水艦「サロフ」(2008年8月7日就役)と救助曳船「ズヴェズドーチカ」(2010年7月24日就役)も試験に従事しているようです。
[ロシア海軍の試験潜水艦サロフは水中ロボットの試験に従事する]

試験潜水艦「サロフ」
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救助曳船「ズヴェズドーチカ」
(曳航しているのは「ポセイドン」の試験台)
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「ポセイドン」の水中速力は時速200キロメートル(約110ノット)以上になり、ソヴィエト連邦時代に開発された超高速ロケット魚雷「シクヴァル」と同様のスーパーキャビテーション技術が使われるようです。
[ロシア海軍のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンの水中速力は110ノット以上となる]

ロシア海軍は、「ポセイドン」北方艦隊太平洋艦隊へ配備します。
[ロシア海軍は合計32基のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンを太平洋艦隊と北方艦隊へ配備する]

2019年2月2日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン氏は、「ポセイドン」の試験の最も重要な段階が完了したと述べました。
それ以上具体的な事には言及していませんが、おそらくは、動力となる原子力推進装置に関する試験でしょう。
[ロシア海軍の為のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンの試験の重要な段階が完了した]

「ポセイドン」は完全自立制御システムを有する一種の水中ロボットであり、敵の対潜防御線や機雷源なども回避できるとの事です。
[ロシア海軍の為のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンは自立して敵の防護システムを回避できる]


「ポセイドン」の動力となる原子力推進装置の水中試験において、その所定性能~事実上無制限の航続距離と時速200キロメートル(110ノット)以上の最大速力は確認されました。
[ロシア海軍の為のスーパーキャビテーション原子力水中無人機ポセイドンの原子力推進装置の所定性能が確認された]

「ポセイドン」システムを搭載可能なプロジェクト09852特殊用途原子力潜水艦「ベルゴロド」セヴェロドヴィンスク『セヴマシュ』で2012年12月20日に再起工され、2019年4月23日に進水し、2022年7月8日に就役しました。
[プロジェクト09852特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドはロシア海軍へ就役した]

「ベルゴロド」は未だ「ポセイドン」の実弾の発射試験は行なっていませんが、2022年末までに「ポセイドン」のモックアップの射出試験は完了しました。
[ロシア海軍の最新特殊用途原子力潜水艦ベルゴロドは原子力水中無人機ポセイドンのモックアップの投射試験を完了した]

「ポセイドン」の実弾の第1号の製造は完了し、「ベルゴロド」へ搭載されます。


「ベルゴロド」に次いで「ポセイドン」システムを搭載可能なプロジェクト09851特殊用途原子力潜水艦「ハバロフスク」(2014年7月27日起工)が『セヴマシュ』で建造されていますが、工事は後回しにされているらしく(『セヴマシュ』戦略原子力潜水艦多目的原子力潜水艦も建造している)、進水も予定より大幅に遅れています。
[ロシア海軍の原子力水中無人機ポセイドン搭載特殊用途原子力潜水艦ハバロフスクは2021年秋に進水する]
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