ロシア造船業界はロシア海軍の将来航空母艦の先行開発設計(アドバンスドデザイン)を行なっている
- カテゴリ:ロシア新世代航空母艦

『MASHNEWS』より
2023年1月16日16時18分配信
【『統合造船業営団』は海軍の為の航空母艦の先行開発設計を行なっている】
『統合造船業営団』は将来航空母艦の先行開発設計を行なっており、ロシア海軍司令部へ自身の立場を知らせている。
『統合造船業営団』総取締役アレクセイ・ラフマノフの発言を営団広報サービスは伝えた。
『統合造船業営団』のトップは、将来の航空母艦をどのように見るのか、どのように建造するのか、そしてどのような技術的解決策の助力を得るのか、営団が自身の意見を持っている事を強調した。
「これは海軍の問題です。
航空母艦を建造するのか否か、どのような艦を建造するのか。
私が会社で働いている間、このような議論は実に長い間行なわれています。
それは既に8年に及んでおります。
私達は先行開発設計を行なっており、定期的に海軍へ我々の立場を知らせております。
私達には、敵が何を考え、どのように呼吸するのかを確実に知る義務がありますので」
彼は話した。
ラフマノフは更に、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」の海軍への引き渡しは2024年に行われる事を確認した。
彼によると、艦は計画ドック修理を完了し、水中部分全体が塗装され、艦底の継手が設置され、推進軸のスクリューが取り付けられた。
受注品には、同時に2000名以上が取り組んでいる。


[『MASHNEWS』参照]
ロシア連邦海軍の唯一の航空母艦であり、ロシア海軍及び北方艦隊の旗艦「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・クズネツォフ」は、2017年以来、艦船修理センター『ズヴェズドーチカ』(『統合造船業営団』へ加入)で修理と近代化が行なわれている。
2018年4月、ロシア連邦国防省は『統合造船業営団』と契約を結び、航空巡洋艦の中間修理と限定的近代化を実施している。
戦闘準備態勢を復旧させた後、「アドミラル・クズネツォフ」の勤務期間は10年間延長される。
以前、『統合造船業営団』の軍事造船担当副総取締役ウラジーミル・コロリョーフは『タス通信』のインタビューを受け、巡洋艦の近代化を伴う修理は2023年に完了し、同時にロシア海軍へ引き渡されると述べた。
彼によると、更新後、海軍は全く異なる戦闘能力を持つ艦を受け取り、それは更に少なくとも10~15年勤務を続ける。
ロシア海軍の為の将来航空母艦Перспективный Авианосецの予備設計開発作業は2007年に始まりました。
将来航空母艦の設計を担当するのは『ネヴァ川計画設計局』になりますが、その叩き台となる概念設計案は、ロシア海軍向けなどの艦船の形状を研究する『クルイロフ国立科学センター』により作成されます。
『クルイロフ国立科学センター』は、2015年に多目的重航空母艦プロジェクト23000E「シトルム」を作成しました。
これは満載排水量9万~10万トンの通常動力の大型空母です。
[ロシア海軍将来空母概念設計案・プロジェクト23000E「シトルム」]
『クルイロフ』は、2018年8月下旬に軽航空母艦「シトルム-KM」の概念設計案を公表しました。
これは満載排水量44000トンの比較的小型の空母です。
[クルイロフ国立科学センターの半双胴(カタマラン)形式軽多目的空母は水中抵抗が大幅に低減する]
2019年6月末には76000トンの中型原子力空母の概念設計案の存在を公表しました。
[クルイロフ国立科学センターは半双胴形式の中型原子力空母の概念設計案を提示した]
一方、実際にロシア海軍向けとして建造される空母を設計する『ネヴァ川計画設計局』は、2019年7月上旬に将来空母設計案プロジェクト11430E「ラマンチーン」を公表しました。
これは満載排水量8万~9万トンの原子力空母です。
[原子力空母プロジェクト11430Eラマンチーンはサンクトペテルブルク国際海軍サロン(IMDS-2019)で公開された]
将来航空母艦の具体的な内容は未だ定まっていませんが、排水量は65000トン~70000トン程度になるようです。
[ロシア海軍の将来航空母艦は7万トン級になる]
[ロシア海軍の将来航空母艦は65000-70000トンになる]
つまり、上記の「シトルム」や「ラマンチーン」よりは小さな艦になります。
(「シトルム-KM」よりは大きいですが)
現用の航空母艦で最も近いサイズの艦は、グレートブリテン海軍の新鋭空母「クイーン・エリザベス」級になります。

ロシア造船業界も、以前から重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」(約6万トン)よりも大きな航空母艦を建造できると表明しています。
[ロシア造船業界はアドミラル・クズネツォフよりも大型の新世代航空母艦を建造できる]
ただ、現在の所、将来航空母艦の建造開始の具体的な時期は未だ決まっていません。
[ロシア造船業界はロシア海軍の為の新たな航空母艦の建造を準備する]
[ロシア海軍の将来原子力航空母艦は『2024~2033年の国家軍備プログラム』へ含まれるかもしれない]
[ロシア海軍の将来原子力航空母艦の開発作業は進められている]
将来航空母艦の為の搭載機として、新たな艦上戦闘機の開発は既に始まっています。
[ミグは第5世代艦上戦闘機プラス艦上無人機を開発する]
この他、将来航空母艦の搭載機として、艦上早期警戒機と艦上無人機も新たに開発されます。
[ロシア海軍航空隊司令官は語る]
将来航空母艦の為の電磁カタパルトの開発作業は2014年春頃から始まっています。
[ロシアは将来空母用の電磁カタパルトの開発を始めている]
[ロシア海軍将来正規空母の為の電磁カタパルトの開発は進められている]
[ロシア海軍の新世代原子力航空母艦の為の電磁カタパルトが開発される]
[ロシア海軍の将来航空母艦の為の電磁カタパルトの地上試験場が建設される]
[ロシア海軍の将来航空母艦の為の電磁カタパルトの試験場の建設場所が決定される]
将来原子力航空母艦の設計には、ソ連時代に起工されたものの未完成に終わったプロジェクト11437重原子力航空巡洋艦「ウリヤノフスク」の設計が参考にされます。

[ロシア海軍の新世代原子力空母の開発には未完成の重原子力空母ウリヤノフスクの設計図が参考にされる]
ただしこれは、「ウリヤノフスク」のような艦を再び造るという事では無く、原子力機関の構造などを参考にするという事でしょう。
(将来航空母艦も「ウリヤノフスク」も原子力機関)
将来航空母艦を建造する造船所は、以前にインド海軍向けの航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」の改造(実質的に新造)を担当したセヴェロドヴィンスクの『セヴマシュ』が最有力候補となっております。

[ロシア海軍の為の将来原子力航空母艦はセヴェロドヴィンスク造船所(セヴマシュ)で建造される]
この他、将来航空母艦建造への協力企業(航空母艦の船体の一部を建造)として、現在は原子力砕氷船を建造している『バルト工場』と、現在、大型艦建造用の乾ドックを建設中の『北方造船所』が候補に挙がっています。
(両社ともサンクトペテルブルク市)
[ロシア海軍の新世代原子力航空母艦の開発と建造には15年掛かる]
『バルト工場』

『北方造船所』

[サンクトペテルブルクの北方造船所の新たな乾ドックは2024年春に完成する]
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