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ロシア海軍の打撃巡航ミサイル「カリブル」の射程延長型は2023年から生産を開始する?

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『Hi-Tech』より
2023年2月1日11時20分配信
【ロシアの「トマホーク」:ロシアは何の為にミサイル「カリブル」の超長距離ヴァージョンを作成するのか】

2023年にロシアは、距離3500キロメートルで目標を攻撃でき、パッシブ誘導システムを装備する有翼ミサイルの最新バージョンを公開するかもしれない。
最も興味深いのは、この為に開発者は工学上のアイデアの偉業を実行する必要すら無い事である:生産の為の殆ど全ての準備は整っている。


[誰も見た事の無い長距離有翼ミサイル]
アメリカ合衆国
中・短距離ミサイル全廃条約(中距離核戦力全廃条約)から脱退した後、長距離有翼ミサイル作成の見通しは時間の問題であることが判明した。
しかし、アメリカ人が条約を非難する頃には、ロシア軍は既に第3次世界大戦の潜在的パートナーの注目に値する何かを持っていた。
2000~3000キロメートルの距離で目標を攻撃できる海上ミサイル「カリブル」に加え、長年に渡り中・短距離ミサイル全廃条約で課せられた制限下の長距離地上ミサイルが設計局のベールの下に在った。

複合体「レリエフ」は、ヨーロッパ対ミサイル防衛システムの大陸部分全体を適切な時期に無効化する為、ちょうど作成された。
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これを解決する為、彼らは1980年代末に作成された最も長距離のミサイルを使用した。
KS-122ミサイルは、200キロトンの核弾頭を持ち、3000キロメートルまでの距離の目標の破壊を保証した。
これは、1945年に日本へ投下された爆弾の威力の10倍である。

発射プラットフォームを備えたKS-122複合体「グラナート」は、アメリカ「トマホーク」ミサイルに直接対応したものと考えられているが、その特性に関して、ソヴィエトの複合体はアメリカのものよりも著しく優れていた。
しかし、複合体が日の目を見る事は無かった~「レリエフ」は量産される事無く、試験の為のモデルは金属片に切断された。

[超「カリブル」は2023年に登場する:その作成を決める必要がある]
ロシア
有翼ミサイルのデモンストレーションの後、遠方から攻撃する能力の独占は、もう存在しない事が外国のパートナーへついに明らかにされた。

アメリカ合衆国が全てのアクションを演じた中・短距離ミサイル全廃条約の非難の後、ロシアの武器屋の手はついに解き放たれ、新たな兵器の作業が沸騰し始めた。

具体的な解決策について未だ話す必要は無いが、未確認データによると、有翼ミサイル開発者は2023年に先進ミサイル複合体を提示するかもしれない。
従来の「カリブル」とは2つの特徴で区別される。
先ず第一に、これらのミサイルの新たなヴァージョンには、射撃時の追加照射目標を排除する高度なパッシブ誘導システムが装備される。

このような誘導システムは、「カリブル-NK」及び「カリブル-PL」複合体で最初に登場するかもしれない。

第二に、このミサイルは、大容量燃料タンクと組み合わせた、より経済的で高推力のエンジンを得る。
このような改良の結果、このミサイルの最大発射距離は、ほぼ1000キロメートル増加し、「トマホーク」ミサイルの最新ヴァージョンよりも1000キロメートル長い3500キロメートルとなる。

ヨーロッパアメリカ「トマホーク」に対応するミラーを開発する為に、多くの時間とリソースは必要無い。
アーカイブから複合体「レリエフ」の図面を取得し、誰に量産を委託するのかを考えるだけで充分だ。
技術面において、「カリブル」を車輪付き車両へ移すのは何ら難しい事では無い。
ベラルーシMZKTトラック或いはロシア「カマズ」は、超長距離ミサイルのベースになる事が出来る。
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全てのミサイル技術の見本と同様、複合体の新たなヴァージョン「カリブル-MN」(近代化された地上型)は、軍用輸送機によって戦闘当直場所へ移送する能力を得る。
これは、そのような兵器は、ロシア軍が存在するあらゆる地域へ僅か1日で移動できる事を意味する。

複数の要因が新たな兵器を支持している。
まず第一に、複合体「トーポリ-M」は徐々に戦闘任務から外されており、それらは時間を掛けて廃棄されている。

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ロシアの核抑止力は、より機動性を増している~兵器の大部分は既に空中搭載機と移動式発射装置へ移されている為、核弾頭を備えた有翼ミサイルで武装した車輪付き車両の増加は、このような政策を長期に渡り継続させる。

第二に、核兵器の再装備に必要な資金は遥かに少なくなる。
移動式複合体「トーポリ-M」が廃止された後、そのポジションはミサイル複合体「ヤルス」に引き継がれる。
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後者の特性により発射機の数を大幅に減らす事が出来、その分の解放された資金はステルス兵器の作成へ向ける事が可能となる。

ロシアの艦と潜水艦へ搭載されている「カリブル」の現在の弾薬在庫は秘密である。
戦闘ユニットの構成とその数は不明である。
しかし専門家は、近代化された複合体の生産の決定が下された後、全ての搭載艦のミサイルの数は数千基に増加でき、生産費用は少なくとも半分になる筈だと考えている。
この見積もりに専門家は、対テロ作戦用の従来型の高性能爆薬の「カリブル」と、核弾頭を備えた特別ヴァージョンの有翼ミサイルの両方を含めている。



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エカテリンブルク市『L.V.リュリエフ記念試験設計局ノヴァトール』により設計された有翼ミサイル「カリブル」(対地/対艦/対潜用)は、輸出用有翼ミサイル「クラブ」シリーズのロシア海軍向けヴァージョンです。
[対艦(対地)巡航ミサイル「クラブ」]
[巡航ミサイル「カリブル」対地攻撃型は2500kmの最大射程を有する]

最大射程距離は、対地攻撃型3M-14で2500km、対艦攻撃型3M-54で375kmになります。
飛翔速度は亜音速ですが、対艦攻撃型3M-54のみは目標の手前20km位で弾頭が分離して超音速に加速します。

元々は、ソ連海軍時代に配備された原子力潜水艦搭載用対地有翼ミサイル「グラナート」(SS-N-21)(1984年軍備採用、1990年代前半に退役)をベースに開発されました。
(まず初めに「グラナート」を輸出用に改正した「クラブ」が開発され、その後、ロシア海軍向けに改正した「カリブル」が開発された)
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現在、ロシア海軍では、以下の艦に装備されています。

プロジェクト22350フリゲート
プロジェクト11356フリゲート
プロジェクト11661Kロケット艦「ダゲスタン」
プロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦
プロジェクト21631「ブヤン-M」小型ロケット艦
プロジェクト885「ヤーセン」原子力水中巡洋艦
プロジェクト677「ラーダ」潜水艦
プロジェクト06363潜水艦



「カリブル」は、2015年10月初頭~2017年11月初頭まで、シリア領内テロ組織ISIL(イラク・レバントのイスラム国)『アル=ヌスラ戦線』に対し、何度か実戦で使用されています。
[ロシア海軍はシリアのテロ組織へ100発の巡航ミサイル"カリブル"を発射した]


「カリブル」は、2016年前半(1月~6月)には計47基がロシア海軍へ納入されています。
[ロシア海軍は2016年前半に47基の巡航ミサイル"カリブル"を受領した]

2016年7月~9月の3ヶ月間には、「カリブル」超音速対艦ミサイル「オーニクス」を合わせて100基以上がロシア海軍へ納入されました。
[ロシア海軍は2016年7月-9月に100基以上の巡航ミサイル"カリブル"及び超音速対艦ミサイル"オーニクス"を受領した]

2017年4月~6月の3ヶ月間には計60基の「カリブル」が引き渡されました。
[ロシア海軍は2017年4月~6月に60基の巡航ミサイル"カリブル"を受領した]

2018年1月~3月の3ヶ月間には、計46基の「カリブル」ロシア海軍へ引き渡されました。
[ロシア海軍は2018年1月~3月に46基の巡航ミサイル"カリブル"を受領した]

2018年4月~6月の3ヶ月間には、計49基の「カリブル」が引き渡されました。
[ロシア海軍は2018年4月~6月に49基の巡航ミサイル"カリブル"を受領した]

2019年1月~3月の3ヶ月間には、計48基の「カリブル」が引き渡されました。
[2019年1月~3月にロシア海軍は48基の巡航ミサイル"カリブル"を受領した]

2018年以降は3ヶ月間に約50基(1ヶ月間で16基程度)のペースで生産されているようです。

「カリブル」シリアでの実戦使用の経験を基に、更なる改良が行なわれました。
具体的には、ミサイルの起動時間が短縮されました。
[ロシア海軍の打撃巡航ミサイル"カリブル"はシリアでの実戦使用経験を基に改良された]


2022年2月下旬から始まったロシア連邦軍による『ウクライナ特殊軍事作戦』においても「カリブル」は度々ウクライナへ発射されています。
[『独立軍事評論』編集長はロシア海軍の巡航ミサイル「カリブル」について語った]


「カリブル」の射程延長型の開発は以前から進められていましたが、早ければ2023年中には生産を開始するようです。
[ロシア海軍の為の新型対地巡航ミサイル"カリブル-M"の開発は始まっている]
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