フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」とコルベット「メルクーリイ」は2023年にロシア海軍へ就役する
- カテゴリ:ロシアの造船業


『タス通信』より
2023年2月7日22時31分配信
【国防省はフリゲート「アドミラル・ゴロフコ」が2023年に北方艦隊へ加わると発表した】
モスクワ、2月7日/タス通信
試験の第3段階に在る最新のプロジェクト22350ロケットフリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は、今年に北方艦隊へ加入する。
火曜日に配布されたロシア海軍総司令官ニコライ・エフメノフ大将主催下の会議の結果についてのロシア国防省の声明では、こう述べられた。
以前、防衛産業企業体に近い情報筋は、プロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は2023年3月にロシア海軍への引き渡しが計画されていると『タス通信』へ伝えた。
「今年にフリゲート"アドミラル・ゴロフコ"は北方艦隊へ加入し、そしてコルベット"メルクーリイ"は黒海艦隊の水上艦構成への補充が計画されております」
声明では、こう述べられた。
軍当局が明らかにしたように、『北方造船所』指導部は、「アドミラル・ゴロフコ」がバルト海エリアで試験の第3段階を行なっていると総司令官へ報告した。
「フリゲートは砲兵器複合体、対空防衛複合体、これらの管制システム、電波技術装置と通信手段の動作を点検しました。
更に、バルト艦隊射爆場において、コルベット"メルクーリイ"が試験の最終段階に在ります」
彼は付け加えた。
現在、工場試運転チームは、乗組員と共に機動性及び速力試験を行ない、そして更には集合体、システム、ユニットと兵装の動作を点検している。
次にエフメノフは会議中に、「フリゲート」及び「コルベット」級の新たな艦の保守整備システムが効率的に機能する事の重要性を強調した。
これらの艦の為の修理-技術文書の開発は、第51中央設計-艦船修理技術研究所が担当している。
軍当局に近い情報筋は、昨年10月に『タス通信』へ、「メルクーリイ」の海軍への引き渡しの悲観的な時期は2023年初頭になると伝えた。
[艦について]
「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト22350の3番艦である。
フリゲートシリーズのトップ「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」と最初の生産艦「アドミラル・フロータ・カサトノフ」は、既に北方艦隊のロケット艦連合部隊の一員として勤務に就いている。
艦は有翼ミサイル「カリブル」或いは「オーニクス」、将来的には極超音速ミサイル「ツィルコン」を搭載する。
「メルクーリイ」は『北方造船所』(『統合造船業営団』へ加入)で建造された第5のプロジェクト20380艦である。
同プロジェクトの主要対艦兵装は、2基の4連装傾斜式コンテナ発射装置で構成され、弾薬として射撃距離260キロメートルの対艦ミサイルKh-35Uを8基持つミサイル複合体「ウラン」である。
1等多目的フリゲート・プロジェクト22350の3番艦「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト20385コルベット「グレミャーシチー」(2020年12月29日就役)と共にサンクトペテルブルクの『北方造船所』で2012年2月1日に起工されました。
起工から2年後の2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナとロシアの関係が悪化した為、ガスタービンエンジン(M90FR)の供給が途絶える事になりました。
元々、ソ連/ロシアの艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシア及びウクライナの企業が関わっており、エンジンの最終組立はウクライナで行なわれていました。
(主要部品はロシアの企業で製造し、それをウクライナへ送って最終組み立て)
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]
ウクライナでの最終組み立てが出来なくなった為、その為の設備をロシア国内に建設し、完全にロシア国内だけでガスタービンエンジンを生産できる体制を構築する必要が生じ、この体制作りに数年を要しました。
[ロシア海軍のプロジェクト22350フリゲート3番艦と4番艦のガスタービンエンジンはロシア国内で製造されている]
[ロシア海軍の新世代フリゲート・プロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)における輸入代替問題]
ようやくガスタービンエンジン完全国産の目途が立ち、「アドミラル・ゴロフコ」用のガスタービンが造船所へ供給されました。
これにより、建造が遅延していた「アドミラル・ゴロフコ」も進水する目途が立ちました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2020年7月1日までに進水する]
以前には2020年4月末~5月初頭の進水が予定されていましたが、新型コロナウイルス流行の影響の為、5月22日に延期されました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは進水した]
進水後は造船所の岸壁で艤装工事が進められました。

2021年夏以降に造船所の岸壁で係留試験を開始しました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは係留試験の準備を進めている]
「アドミラル・ゴロフコ」の洋上試験は2022年9月の開始が予定されていました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2022年9月に洋上試験を開始する]

しかし、「アドミラル・ゴロフコ」がサンクトペテルブルクの造船所の岸壁を離れ、海上へ出たのは11月26日になりました。
[アドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコの最初の洋上試験が始まる]
[ロシア海軍の最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」、洋上試験開始(2022年11月26日)]
「アドミラル・ゴロフコ」はフィンランド湾で洋上試験の最初の段階となる工場航行試験を開始し、バルト艦隊の艦船と航空隊が試験をサポートしました。
[ロシア海軍バルト艦隊は最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」の洋上試験をサポートする]
「アドミラル・ゴロフコ」は工場航行試験の第1段階を完了し、12月6日にサンクトペテルブルクの造船所の岸壁へ戻りました。
[ロシア海軍の最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」はフィンランド湾での洋上試験の第1段階を完了し、サンクトペテルブルクへ帰投した]
12月26日に再び出航し、工場航行試験の第2段階を開始しました。
[ロシア海軍の最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」はバルト海で洋上試験を継続する]
現在も洋上試験は続けられています。
「アドミラル・ゴロフコ」は2023年中にロシア海軍へ引き渡され、北方艦隊へ配備されます。
非公式筋ですが、3月中に引き渡されるという話も有ります。
[最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は2023年3月にロシア海軍へ就役する?]
サンクトペテルブルクの『北方造船所』で建造されるプロジェクト20380コルベットとしては5番艦となる「リェチーヴイ」(「熱心な」という意味の形容詞)は、2015年2月20日に起工されました。
[ロシア海軍の為の最新鋭コルベット"リェチーヴイ"と"ストローギー"はサンクトペテルブルクで起工された]
複合材料製の上部構造物はサンクトペテルブルクの『中部ネヴァ川造船工場』で製造され、2016年8月に完成し、『北方造船所』へ引き渡されました。
[ロシア海軍のプロジェクト20380コルベットの為の複合材料製上部構造物はサンクトペテルブルクで製造された]
2018年3月までにディーゼルエンジンが設置されました。
2020年3月12日に進水しました。

[ロシア海軍黒海艦隊の為の最新鋭コルベット"リェチーヴイ"はサンクトペテルブルクで進水した]

2021年10月5日に造船所の岸壁で係留試験が始まりました。
『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2021年10月5日9時35分配信
【コルベット「リェチーヴイ」の係留試験が始まった】
2021年10月中旬、「リェチーヴイ」はロシア海軍にとっては伝統的な名前である「メルクーリイ」(水星)(1928~1829年のロシア-トルコ戦争において、1829年2月9日に2隻のトルコ戦列艦と戦って勝利したブリッグ)へ改名される事になりました。

[ロシア海軍の新型コルベット"リェチーヴイ"と"メルクーリイ"は改名された]
2022年5月21日、「メルクーリイ」はサンクトペテルブルクを出航し、工場航行試験を開始しました。
[ロシア海軍の最新コルベット「メルクーリイ」洋上試験開始(2022年5月21日)]

5月26日にクロンシュタットへ帰港しました。
「メルクーリイ」は5月末に出航し、6月1日にクロンシュタットへ帰港しました。

7月31日の『ロシア海軍の日』にはサンクトペテルブルク(ネヴァ川)の観艦式(主要海軍パレード)へ参加しました。
[最新鋭コルベット「メルクーリイ」は7月31日の『ロシア海軍の日』にサンクトペテルブルク(ネヴァ川)の観艦式に参加する]
観艦式が終わった後、「メルクーリイ」の洋上試験(工場航行試験)は再開されました。
[プロジェクト20380コルベット「メルクーリイ」はロシア海軍への引き渡しを準備する]
[ロシア海軍の最新鋭コルベット「メルクーリイ」はバルト海で洋上試験を続けている]
2022年12月初頭には工場航行試験の最終段階を開始しました。
[ロシア海軍の最新鋭コルベット「水星」(メルクーリイ)はバルト海で工場航行試験の最終段階を開始した]
工場航行試験は12月中旬までに終了し、12月15日から最終洋上試験となる国家試験が始まりました。
[ロシア海軍の最新鋭コルベット「水星」(メルクーリイ)はバルト海で最終洋上試験(国家試験)を開始した]
12月25日には水上目標への砲撃試験を行ないました。
[ロシア海軍の最新鋭コルベット「水星」(メルクーリイ)はバルト海での洋上公試中に対水上砲撃を実施した]
2023年1月21日にも水上目標への砲撃試験を行ないました。
[ロシア海軍の最新鋭コルベット「水星」(メルクーリイ)はバルト海での洋上公試中に100mm単装砲を発射した]
国家試験が完了した後に造船所で艦の最終点検が行なわれ、ロシア海軍への引き渡し準備が整います。
「メルクーリイ」のロシア海軍への引き渡しは2023年初頭に予定されています。
[プロジェクト20380コルベット「メルクーリイ」のロシア海軍への引き渡しは2023年初頭になるかもしれない]
「メルクーリイ」は黒海艦隊への配備が予定されています。
『赤旗黒海艦隊情報リソース』より
【コルベット「メルクーリイ」】
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