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ロシア海軍の最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着した


『タス通信』より
2023年3月31日19時25分配信
【最新フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は国家試験の為にセヴェロモルスクへ到着した】
モスクワ、3月27日/タス通信

最新のプロジェクト22350フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は、工場航行試験及び国家試験を実施し、そして更にバレンツ海の艦隊戦闘訓練射爆場で試験射撃を行なう為に北方艦隊主要基地へ到着した。
金曜日にロシア連邦国防省は発表した。
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「本日(3月31日)、北方艦隊主要基地へフリゲート アドミラル・ゴロフコが到着しました。
艦は、バレンツ海の艦隊戦闘訓練射爆場で、試験射撃実施を伴う兵器の点検を含めた工場試験及び国家試験のプログラムを継続します」

当局は話した。

以前、防衛産業企業体に近い情報筋は『タス通信』へ、最新のプロジェクト22350ロケットフリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は、2023年3月にロシア連邦海軍への引き渡しを計画してると伝えた。

フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト22350の3番艦である。
フリゲートシリーズのトップ「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」と最初の生産艦「アドミラル・フロータ・カサトノフ」は、既に北方艦隊ロケット艦連合部隊の一員として勤務に就いている。
艦は有翼ミサイル「カリブル」或いは「オーニクス」、将来的には極超音速ミサイル「ツィルコン」を搭載する。



1等多目的フリゲート・プロジェクト22350の3番艦「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト20385コルベット「グレミャーシチー」(2020年12月29日就役)と共にサンクトペテルブルク『北方造船所』で2012年2月1日に起工されました。



本艦は「アドミラル・ゴロフコ」の名を持つ艦としては「2代目」になります。
初代「アドミラル・ゴロフコ」は、プロジェクト58ロケット巡洋艦として1961年4月20日に同じ『北方造船所』(当時は『A.A.ジダーノフ記念造船工場』)で起工され、1962年7月18日に進水、1964年12月30日に就役しました。
[ロケット巡洋艦「アドミラル・ゴロフコ」]
[キンダ級巡洋艦アドミラル・ゴロフコの晩年]
当初は北方艦隊へ配属されましたが、1968年3月に黒海艦隊へ転属し、1982年6月から1989年3月までセヴァストーポリでオーバーホールが行なわれました。
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ソ連邦解体後も現役に留まり、1990年代には黒海艦隊旗艦を務め、2002年11月に除籍されました。
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起工から2年後の2014年2月末からのウクライナ危機、3月のロシア連邦によるクリミア半島編入により、ウクライナロシアの関係が悪化した為、ガスタービンエンジン(M90FR)の供給が途絶える事になりました。

元々、ソ連/ロシア艦船用ガスタービンエンジンの製造には、ロシア及びウクライナの企業が関わっており、エンジンの最終組立はウクライナで行なわれていました。
(主要部品はロシアの企業で製造し、それをウクライナへ送って最終組み立て)
[ロシア新世代艦のガスタービンとディーゼル]

ウクライナでの最終組み立てが出来なくなった為、その為の設備をロシア国内に建設し、完全にロシア国内だけでガスタービンエンジンを生産できる体制を構築する必要が生じ、この体制作りに数年を要しました。
[ロシア海軍のプロジェクト22350フリゲート3番艦と4番艦のガスタービンエンジンはロシア国内で製造されている]
[ロシア海軍の新世代フリゲート・プロジェクト22350(アドミラル・ゴルシコフ型)における輸入代替問題]

ようやくガスタービンエンジン完全国産の目途が立ち、「アドミラル・ゴロフコ」用のガスタービン造船所へ供給されました。
これにより、建造が遅延していた「アドミラル・ゴロフコ」も進水する目途が立ちました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2020年7月1日までに進水する]

以前には2020年4月末~5月初頭の進水が予定されていましたが、新型コロナウイルス流行の影響の為、5月22日に延期されました。

[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは進水した]

進水後は造船所の岸壁で艤装工事が進められました。
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2021年夏以降に造船所の岸壁で係留試験を開始しました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは係留試験の準備を進めている]

「アドミラル・ゴロフコ」の洋上試験は2022年9月の開始が予定されていました。
[ロシア海軍のアドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコは2022年9月に洋上試験を開始する]
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しかし、「アドミラル・ゴロフコ」サンクトペテルブルク造船所の岸壁を離れ、海上へ出たのは11月26日になりました。

[アドミラル・ゴルシコフ型フリゲート3番艦アドミラル・ゴロフコの最初の洋上試験が始まる]
[ロシア海軍の最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」、洋上試験開始(2022年11月26日)]

「アドミラル・ゴロフコ」フィンランド湾で洋上試験の最初の段階となる工場航行試験を開始し、バルト艦隊の艦船と航空隊が試験をサポートしました。
[ロシア海軍バルト艦隊は最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」の洋上試験をサポートする]

「アドミラル・ゴロフコ」工場航行試験の第1段階を完了し、12月6日にサンクトペテルブルク造船所の岸壁へ戻りました。
[ロシア海軍の最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」はフィンランド湾での洋上試験の第1段階を完了し、サンクトペテルブルクへ帰投した]

12月26日に再び出航し、工場航行試験の第2段階を開始しました。
[ロシア海軍の最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」はバルト海で洋上試験を継続する]

フィンランド湾での洋上試験の後、2023年3月下旬にサンクトペテルブルクから出航し、3月24日に大ベルト海峡を通過しました。
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その後、北海、ノルウェー海、バレンツ海を通過し、3月31日にはコラ湾へ入りました。
[ロシア海軍の最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」はコラ湾へ入った]
同日に北方艦隊基地セヴェロモルスクへ到着しました。

今後、「アドミラル・ゴロフコ」バレンツ海で洋上試験を続けます。

「アドミラル・ゴロフコ」ロシア海軍への引き渡しは、現在の所、2023年6月末までに予定されています。
[最新鋭フリゲート「アドミラル・ゴロフコ」は2023年6月末までにロシア海軍へ就役する]

就役後は北方艦隊へ配備されます。


1等多目的フリゲート・プロジェクト22350は、サンクトペテルブルク『北方造船所』で8隻が起工されており、この内2隻がロシア海軍へ引き渡され、もう1隻は洋上試験中です。

「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・ゴルシコフ」
«Адмирал флота Советского Союза Горшков»(工場番号921)
2006年2月1日起工/2010年10月29日進水/2018年7月28日就役
北方艦隊へ配備(舷側番号454)

「アドミラル・フロータ・カサトノフ」«Адмирал флота Касатонов»(工場番号922)
2009年11月26日起工/2014年12月12日進水/2020年7月21日就役
北方艦隊へ配備(舷側番号461)

「アドミラル・ゴロフコ」«Адмирал Головко»(工場番号923)
2012年2月1日起工/2020年5月22日進水/2023年就役予定
北方艦隊へ配備予定

「アドミラル・フロータ・ソヴィエツカヴァ・ソユーザ・イサコフ」
«Адмирал флота Советского Союза Исаков»(工場番号924)
2013年11月14日起工/2023年以降就役予定

「アドミラル・アメリコ」«Адмирал Амелько»(工場番号925)
2019年4月23日起工/2024年就役予定

「アドミラル・チチャーゴフ」«Адмирал Чичагов»(工場番号926)
2019年4月23日起工/2025年就役予定

「アドミラル・ユマシェフ」«Адмирал Юмашев»(工場番号927)
2020年7月20日起工/2025年就役予定

「アドミラル・スピリドノフ」«Адмирал Спиридонов»(工場番号928)
2020年7月20日起工/2026年就役予定


5番艦(「アドミラル・アメリコ」)以降は巡航ミサイルの搭載数を増加した改正型となります。
[ロシア海軍のプロジェクト22350フリゲートの後期建造艦(5番艦以降)は32基の巡航ミサイル(対艦ミサイル)を搭載する]
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