重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキーは15歳になった
- カテゴリ:重原子力ロケット巡洋艦キーロフ型

『アルムス-タス』より
2013年4月29日10時33分配信
【原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」は15歳を祝う】
ムルマンスク、4月29日(アルムス-タス)
4月28日、北方艦隊は重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」乗組員を祝った。
ロシア海軍の組織の1つの旗艦は15歳になった。
これまでに同艦は多くの遠距離航海を行なっただけに留まらず、卓越した水上艦将兵を育成する為の特別学校となっている。
同艦は1度のみならず、様々な戦闘訓練の種類ごとにロシア海軍総司令官から最優秀賞を授与されている。
ムルマンスク知事マリーナ・コヴトゥンは乗組員の記念日を祝った。
「ピョートル・ヴェリキーは、世界で最も手ごわい戦闘艦の1隻です」
彼女は指摘した。
「強力で信頼性が高く、驚くほど美しい巡洋艦は、北方艦隊旗艦の称号に相応しいでしょう」

知事は、今年、同地域が2つの記念日を迎える事を想い起した。
「5月には、我が地域の創設75周年を迎えます。
6月、赤旗北方艦隊は80周年を迎えます」
コヴトゥンは強調した。
プロの義務及び祖国への無視無欲の奉仕の模範的な活動に対し、地域のトップは、栄誉勲章であるムルマンスク地域知事賞「北極圏での献身的な勤務」を士官及び准士官へ授与した。

重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」(プロジェクト11442、整理名「オリョール」)はロシア海軍の誇りである。
それは、重要な海上目標を撃破し、海洋配置有翼ミサイルを使用した沿岸目標への攻撃、部隊の艦船の対空防衛及び対ミサイル防衛の保障の為に設計されている。
同艦は、プロジェクト1144の最新改良版(新たな対空防衛システムと複数の電波電子兵装)である。
その構成は、艦尾から艦首まで延長された艦の甲板、2つに集中された上部構造物、2本のマストから成る。
艦は、レーダーからの可視性を低減する処置が採用されている。
構造上の防護が部分的に施されており、対艦及び高射誘導ミサイルの弾薬庫は防護されている。
大量破壊兵器からの防護が提供されている。
主動力装置として2軸の核動力が採用され、合計出力600キロワットの2基の加圧水型原子炉、各々の出力70000馬力の2基の主タービン装置で構成されている。
主タービン装置の蒸気発生バックアップ用として、化石燃料を使用する2基の自動蒸気ボイラーが有る。
巡洋艦の兵装は、対艦ミサイル複合体「グラニート」のミサイル20基から成る。
対空防衛用として、2基のマルチチャンネル広域防衛用高射ミサイル集合複合体「フォルト」及び「フォルト-M」、1基の自己防衛高射ミサイル複合体「キンジャール」、6基の高射砲ミサイル複合体「コーチク」戦闘モジュールが有る。
艦の火力は130mm砲装置AK-130により補完される。
艦は、電波位置特定ステーションMR-600及びMR-750で構成される電波位置特定複合体MR-800、水中音響複合体MG-355一式(曳航アンテナ)を装備する。
航空兵装は3機のKa-27ヘリコプターで構成されている。
同艦はレニングラードのバルト造船工場で1986年4月25日に起工された。
1989年4月25日に進水した。
1996年11月、同艦は最初の海洋航海を実施し、バルト海から北方艦隊主要基地セヴェロモルスク市へ移動した。
1998年4月28日、艦はロシア海軍の編制へ加入し、アンドレイ旗が初掲揚された。
巡洋艦の総排水量は24500トンであり、全長は251.2メートル、幅28.5メートル、吃水10.3メートル、速力31ノット、自立行動期間60日、巡洋艦の乗組員は約700名である。
専門家は、この艦の建造の為のソヴィエト社会主義共和国連邦及びロシアの総費用は12億ドル以上と推定している。
プロジェクト1144重原子力ロケット巡洋艦(キーロフ型)4番艦「ユーリー・アンドロポフ」は、レニングラードのバルト工場で1986年4月に起工され、1989年4月に進水しました。
ソヴィエト連邦解体後の1992年5月27日、「ピョートル・ヴェリキー」と改名されました。
ロシア海軍へ引き渡されたのは、起工から約12年後の1998年3月であり、同年4月28日に北方艦隊へ編入されました。
当初は太平洋艦隊へ配備される予定でしたが、この当時のロシア海軍には「ピョートル・ヴェリキー」を極東まで回航する財政的余裕が無い為、北方艦隊へ編入されました。
[キーロフ級4番艦ピョートル・ヴェリキー]
[就役前の原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」(1995~1997年)]
[原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」就役10周年]

今回の記事中でも触れられていますが、「ピョートル・ヴェリキー」を始めとするキーロフ型はステルス艦であり、装甲防御が施されています。
[ステルス軍艦・キーロフ級]
[装甲巡洋艦・キーロフ級]
就役直後は資金不足で外洋への航海を実施する事が出来ず、2004年3月下旬には、本艦を巡る「核爆発騒動」が起こりました。
[ピョートル・ヴェリキー「核爆発」騒動]
2004年10月、重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」と共に北東大西洋へ進出しました。
[大西洋上のクズネツォフ・その2(機動部隊)]
[大西洋上のクズネツォフ・その3(機動部隊)]
2005年にも大西洋で行動しました。
[原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」その1]
[原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」その2]
「ピョートル・ヴェリキー」は、2008年9月から2009年3月までカリブ海、南アフリカ、インドへの長期遠距離航海を実施しました。
[ロシア艦隊の大西洋・カリブ海遠征]
この時、インド沿岸での演習を終えてアデン湾へ航行している途中の「ピョートル・ヴェリキー」は、2009年2月12日、ソコトラ島沖でソマリア海賊を発見、拘留しました。
[ロシア海軍原子力巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、3隻の海賊船を拘留]
2010年3月30日、極東の戦略演習「ヴォストーク-2010」に参加する為に出航し、遥々極東の沿海地方までやって来ました。

2010年5月16日午後11時頃、「ピョートル・ヴェリキー」は、ツシマ海峡を北上し、日本海へ入りました。
『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より。
【ロシア海軍艦艇の動向(2010年5月17日発表)】
「ピョートル・ヴェリキー」は、2010年7月初頭から実地戦略演習「ヴォストーク-2010」に参加しました。

『ロシア通信社ノーボスチ』より。
【実地戦略演習「ヴォストーク-2010」纏め】
『日本国防衛省・統合幕僚監部公式サイト』より。
【ロシア海軍艦艇の動向(2010年7月26日発表)】
2010年7月24日正午頃、「ピョートル・ヴェリキー」は、ツシマ海峡を南下、沿海地方を去りました。
2012年5月初頭から6月下旬まで浮きドックへ入渠しました。
[重原子力ロケット巡洋艦ピョートル・ヴェリキー、浮きドックから出渠(2012年6月23日)]
2012年9月には北極圏への遠距離航海を実施しました。
[ロシア北方艦隊北極圏演習(2012年9月)]
この時、北極圏で弾道ミサイル迎撃訓練を実施しました。
[原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはロシアの対弾道ミサイル防衛の一翼を担う]
「ピョートル・ヴェリキー」は、現在のロシア海軍において弾道ミサイル迎撃能力を持つ唯一の水上戦闘艦です。
2013年1月10日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンより「ナヒーモフ勲章」を授与されました。
[プーチン大統領は北方艦隊基地を訪問する]
2013年4月、バレンツ海で各種の演習を実施しました。
[原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはバレンツ海で演習を行なう]
[北方艦隊の戦闘艦はバレンツ海で展示演習を実施した]
[原子力巡洋艦ピョートル・ヴェリキーはバレンツ海で対潜演習を実施した]
今回の記事前半に登場するムルマンスク地域知事マリーナ・ワシーリエヴナ・コヴトゥンは、1962年3月10日にムルマンスクで生まれました。

大学卒業後はムルマンスク地域のコムソモール(共産党青年団)に勤めました。
ソ連邦解体後はムルマンスク地域管理部に移り、2012年4月13日、ムルマンスク地域知事に就任しました。
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