クリル群島(千島列島)のパラムシル島(幌筵島)のロシア海軍太平洋艦隊の超音速地対艦ミサイル「バスチオン」部隊は模擬発射訓練を実施した
- カテゴリ:ロシア海軍沿岸部隊(海軍歩兵)

『タス通信』より
2023年5月4日13時25分配信
【パラムシル島の太平洋艦隊の沿岸ミサイル複合体「バスチオン」の要員は「敵」艦の破壊へ取り組んだ】
タス通信、5月4日
太平洋艦隊の沿岸ミサイル複合体「バスチオン」の要員は、クリル群島のパラムシル島での訓練の枠組みにおいて仮想敵揚陸艦を破壊した。
木曜日に艦隊広報サービスは発表した。
「訓練は、太平洋艦隊の戦闘訓練計画に沿って実施されました。
活動計画の下で仮想敵艦は、クリル諸島の1つへの海上揚陸部隊の上陸を目的とし、ロシア連邦領海へ接近しました。
沿岸ミサイル複合体バスチオンの要員は、即時に海上目標を探知し、水上状況の監視へ着手しました」
広報サービスは伝えた。
仮想敵揚陸艦側の侵攻の意図を確信した沿岸ミサイル複合体「バスチオン」の要員は、ミサイル射撃実施の完全な行動手順へ取り組み、水上目標を仮想破壊した。
訓練中の「敵」艦は、電子方式でシミュレートされた。
実際のミサイル発射は行なわれなかった事を広報サービスは明らかにした。
沿岸ミサイル複合体「バスチオン」は、超音速対艦ミサイル「オーニクス」(ヤーホント)の地上発射ヴァージョンです。
ロシア海軍では、2009年から黒海艦隊の第11独立沿岸ロケット-砲旅団への配備が始まり、現在は北方艦隊、太平洋艦隊、バルト艦隊にも配備されています。
[北方艦隊]
第536独立沿岸ロケット-砲旅団(スネシュノゴルスク、コテリヌイ島)
[太平洋艦隊]
第72独立沿岸ロケット旅団(沿海地方スモリャノヴォ)
第520独立沿岸ロケット-砲旅団(ペトロパヴロフスク・カムチャツキー、イトゥルプ島、マトゥア島、パラムシル島)
[黒海艦隊]
第15独立沿岸ロケット旅団(セヴァストーポリ)
第11独立沿岸ロケット-砲旅団(クラスノダール地方ウタシュ)
[バルト艦隊]
第25独立沿岸ロケット旅団(カリーニングラード州ドンスコエ)
第55独立沿岸ロケット大隊(クロンシュタット)
黒海艦隊の「バスチオン」部隊はシリアにも派遣されており、2016年11月15日にはシリア領内のテロリスト施設を攻撃しました。
[ロシア海軍黒海艦隊の最新警備艦アドミラル・グリゴロヴィチはシリア領内のテロ組織へ巡航ミサイルを発射した]
2022年2月下旬に始まったロシア連邦軍の『ウクライナ特殊軍事作戦』でも、何度か「バスチオン」がウクライナの地上目標へ使用されています。
[ロシア海軍黒海艦隊は『ウクライナ特殊軍事作戦』において超音速沿岸ミサイル「バスチオン」をオデッサ州へ発射した]
[ロシア海軍黒海艦隊は『ウクライナ特殊軍事作戦』においてムイコラーイウへ超音速ミサイル「オーニクス」を発射した]
太平洋艦隊への「バスチオン」配備は2016年から始まり、同年3月初頭、沿海地方のスモリャニノヴォに駐留する第72沿岸ロケット旅団へ配備されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊へ超音速地対艦ミサイル"バスチオン"が配備された]
[ロシア海軍太平洋艦隊沿岸部隊は超音速地対艦ミサイル"バスチオン"を初めて発射した]
2016年11月下旬には、クリル諸島南部のイトゥルプ島(択捉島)へ「バスチオン」が配備されました。
配備された部隊は、第520独立沿岸ロケット-砲旅団所属の第574独立沿岸ロケット砲大隊です。
[ロシア海軍太平洋艦隊は南クリル(千島)に新型地対艦ミサイルを配備した]
2017年2月、ロシア太平洋艦隊の原潜基地と、更には第520独立沿岸ロケット-砲旅団司令部が在るカムチャツカ半島にも「バスチオン」の配備が始まりました。
[ロシア海軍太平洋艦隊はカムチャツカ半島へ超音速対艦ミサイル"バスチオン"を配備した]
2019年3月、新たな「バスチオン」がカムチャツカ半島へ到着しました。
[カムチャツカ半島へロシア海軍太平洋艦隊沿岸部隊の新たな超音速対艦ミサイル"バスチオン"が到着した]
[ロシア海軍太平洋艦隊は2019年初頭にカムチャツカ半島へ新型地対艦ミサイルを配備した]
2021年12月初頭、クリル諸島のマトゥア島にも「バスチオン」が配備されました。
[ロシア海軍太平洋艦隊はクリル諸島(千島列島)マトゥア島(松輪島)へ超音速地対艦ミサイル"バスチオン"を配備した]
マトゥア島の「バスチオン」は、2022年9月初頭に実施されたロシア連邦軍東方軍管区の戦略指揮参謀演習『ヴォストーク-2022』の最中の9月6日に初めて超音速対艦ミサイルを発射しました。
[クリル諸島(千島列島)のマトゥア島(松輪島)に駐留するロシア海軍太平洋艦隊の地対艦ミサイル「バスチオン」部隊は戦略演習『ヴォストーク-2022』で超音速対艦ミサイルを発射した]
2022年12月初頭にはクリル諸島北部のパラムシル島(幌筵島)へ「バスチオン」が配備されました。
[クリル群島(千島列島)のパラムシル島(幌筵島)へロシア海軍太平洋艦隊の超音速地対艦ミサイル「バスチオン」が配備された]
「バスチオン」部隊の機材一式及び要員は、太平洋艦隊の大型揚陸艦でパラムシル島へ運ばれました。
つまり、10月~11月くらいに太平洋艦隊の大型揚陸艦が宗谷海峡を通過している筈ですが、日本国防衛省統合幕僚監部の報道発表資料には該当するものが有りません。
これでロシア太平洋艦隊沿岸部隊の「バスチオン」配備地は、スモリャニノヴォ、イトゥルプ島、マトゥア島、パラムシル島、ペトロパヴロフスク・カムチャツキーの計5ヶ所になりました。

「バスチオン」(超音速対艦ミサイル「オーニクス」)の射程は300km以上であり、この配置でクリル群島は殆ど全て「バスチオン」の射程内に入りました。

なお、日本では、2023年3月下旬の日本国総理大臣のウクライナ訪問後にロシア軍が新たにパラムシル島へ「バスチオン」を配備したなどと報じられていますが、完全なデマです。
『ズヴェズダーテレビ』より
2023年3月22日時14分配信
【ショイグ:パラムシルの「バスチオン」大隊によりクリル周辺の継続監視ゾーンが作られた】
セルゲイ・ショイグ国防相は「『昨年12月』にパラムシルへ配備されたバスチオンは、クリル諸島の水上状況の継続監視ゾーンを形成した」としか発言しておらず、2023年3月下旬に新たに配備したという話では有りません。
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