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ロシア海軍太平洋艦隊の最新鋭潜水艦ウファは2023年秋に極東へ回航される

『イズベスチヤ』より
2023年6月5日0時1分配信
【太平洋の為の静音:太平洋艦隊へ新たな無騒音潜水艦「ウファ」が増強される】

潜水艦は北方海上航路(北極海航路)を利用してバルト海から太平洋へ移動できる
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太平洋艦隊「ブラックホール」が増強される~専門家は、今年秋に太平洋艦隊へ加わるプロジェクト636.3ディーゼル潜水艦「ウファ」をこう呼んでいる。
潜水艦は昨年に海軍へ引き渡されたが、未だバルト海に在る。
現在、潜水艦の恒久駐留場所への移動が計画されている。
特に、北方海上航路(北極海航路)を横断する選択肢が検討されている。
プロジェクト636.3潜水艦は、その超低騒音のお陰により、この綽名が付けられた。
専門家によると、この地域の状況に鑑み、このクラスの艦は太平洋で必要とされている。

[全てを北方海上航路で]
『イズベスチヤ』
軍当局の情報筋が話したように、潜水艦「ウファ」太平洋艦隊への艦隊間移動は既に計画されている。
それは秋に予定されている。
北方海上航路を含め、幾つかのルートの選択肢が検討されている。
航海中、乗組員は艦、そして更に海上航空隊航空機と共に何度かの演習を行なう。

プロジェクト636.3潜水艦は、北方海上航路を含む北極での行動に適合していると認識されている。
この判断は、ロシア北東部におけるこのシリーズの潜水艦の行動を分析した後、昨年の晩秋に下された。
点検は、複合北極探検『ウムカ-2022』の枠組みで行なわれた。
試験には潜水艦「マガダン」が参加した。
それは北方海上航路を通過して太平洋へ入った。
この航海において、艦は北極緯度で戦闘演習任務を遂行した。


「北方艦隊には、強力な分岐支援システムが構築されました」
潜水艦艦長でロシア英雄フセヴォロド・フムイロフ『イズベスチヤ』へ話した。
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「唯一、このような移動の為には、複殻式船体の構造的な強化が必要です。
艦は、艦隊間移動を行なう計画へ十分に対応できます。
これには船員の技量、人員の訓練が必要です。
ですが、これらは全て計画されたものです。
そして、今日の支援システムにおいては、そこに如何なる特殊性も見当たりません」


[艦隊に必要]
太平洋
ディーゼルエレクトリック潜水艦は、オホーツク海原子力水中ロケット艦の戦闘行動海域を護る為を含め使用されている。
軍事専門家ワシーリー・カシン『イズベスチヤ』へ話した。
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「このような潜水艦は、我々のロケット艦にとって脅威となる可能性が有る潜在敵の原子力潜水艦の侵入を阻止する為、クリル諸島の間の海峡を監視する為に使用されています」
彼は説明した。

「これに加え、現在の状況下では、このような潜水艦はミサイル"カリブル"を使用でき、それに応じて、地域の様々な目標へのミサイル攻撃の為に必要なロシアの非核戦略抑止システムとして使用される事も有り得ます。
アジア太平洋地域は、主として中国とアメリカ合衆国といった大国間の対立の場となっている事からも、これは重要です。
従いまして、太平洋艦隊は目に見える更新と言う点において特別な立場に有ります。
それは一定の水準に維持する必要があります」


当初、636シリーズ艦は、ワルシャワ条約機構加盟国への輸出の為に開発された。
1990年代後半以降、中華人民共和国、アルジェリア、ベトナムの為の潜水艦が、同プロジェクト及びその改正型の下で建造された。
その後、ロシア海軍の為、この潜水艦の購入が決定された。
それは、近代化ヴァージョン636.3の下で作成された。
これらの潜水艦は、より優れた航行特性、低減された騒音レベル、自動制御システム、最新の航法複合体の存在により基礎ヴァージョンとは異なる。

プロジェクト636.3潜水艦は、世界で最も静かな潜水艦の1つと考えられており、そのため海軍では「ブラック・ホール」と呼ばれている。
これらの潜水艦は、水上及び水中の目標の破壊、哨戒あるいは偵察の実施といった広範囲の任務を遂行できる。

プロジェクト636.3潜水艦6隻から成る最初のシリーズは2014年~2016年に建造され、これらの艦は全て黒海での勤務の為に向かった。
2016年9月、太平洋艦隊の為の更なる6隻の潜水艦の契約へ署名された。
現在、シリーズの4隻が建造されている。
「ペトロパヴロフスク・カムチャツキー」は2019年に艦隊へ引き渡され、2020年には「ヴォルホフ」が引き渡され、2021年には潜水艦「マガダン」海軍へ加わった。
「ウファ」は昨年に海軍へ加入した。
プロジェクト636.3潜水艦の排水量は3900トン以上、全長74メートル、速力20ノット。
それは45日間に渡って海上へ滞在できる。
艦内へ533mm魚雷発射管6門を搭載し、魚雷及び機雷、そして更に有翼ミサイル「カリブル-PL」を使用できる。

[『イズベスチヤ』参照]
長期に渡り新たな艦を受け入れていなかった太平洋艦隊は、近年、大幅に更新されている。
2020年末、プロジェクト20385のトップ艦であり、ミサイル「カリブル」「オーニクス」を使用できるコルベット「グレミャーシチー」が就役した。
同時に、プロジェクト20380コルベット「ロシア連邦英雄アルダル・ツィジェンジャポフ」が加入した。
更に、大型対潜艦「マルシャル・シャーポシニコフ」の高度な近代化も完了した。
対艦ミサイル及び有翼ミサイルを搭載し、対空防衛の強化の後、旧対潜艦は専門を変更し、フリゲートへ再分類された。
これに加え、2020年には新たな基地掃海艦「ヤーコフ・バリャーエフ」太平洋艦隊へ加わった。



ロシア太平洋艦隊向けのプロジェクト06363潜水艦の4番艦(黒海艦隊向けを含めた06363潜水艦全体では通算10番艦)B-588「ウファ」は、サンクトペテルブルク『アドミラルティ造船所』で2019年11月1日に起工されました。
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[ロシア海軍太平洋艦隊の為のプロジェクト06363潜水艦マガダンとウファはサンクトペテルブルクで起工された]

2022年3月31日に進水しました。

[ロシア海軍太平洋艦隊の為の第4のプロジェクト06363潜水艦ウファはサンクトペテルブルクで進水した]

2022年6月25日に洋上試験の第1段階である工場航行試験を開始しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の第4のプロジェクト06363潜水艦ウファはバルト海で洋上試験を行なっている]
[ロシア海軍バルト艦隊は最新潜水艦ウファとクロンシュタットの洋上試験をサポートする]
[ロシア海軍の最新潜水艦ウファとクロンシュタットはバルト海で潜航試験を行なう]

工場航行試験は9月下旬に終了し、一旦『アドミラルティ造船所』へ戻りました。
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2022年10月初頭から最終洋上試験となる国家試験を開始し、10月5日には深度190メートルまでの潜航試験を行ないました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の第4のプロジェクト06363潜水艦ウファはバルト海で潜航試験を行なった]

国家試験は10月11日までに完了しました。
[ロシア海軍太平洋艦隊の為の第4のプロジェクト06363潜水艦ウファは洋上試験を完了した]

2022年11月16日、『アドミラルティ造船所』「ウファ」への聖アンドレイ旗初掲揚式典(正式なロシア海軍への就役式典)が開催され、太平洋艦隊へ編入されました。
[プロジェクト06363潜水艦ウファはロシア海軍へ就役し、太平洋艦隊へ編入された]
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就役後もバルト海で乗組員の慣熟訓練を行なっています。
[ロシア海軍太平洋艦隊の最新鋭潜水艦ウファはバルト海で乗組員の慣熟訓練を行なっている]
[ロシア海軍太平洋艦隊の最新鋭潜水艦ウファはバルト海で沈底訓練を行なった]
[ロシア海軍太平洋艦隊の最新鋭潜水艦ウファはバルト海で訓練を続けている]
[ロシア海軍太平洋艦隊の最新鋭潜水艦ウファはバルト海で潜航訓練を実施した]

この他に、バルト艦隊の艦の各種訓練の相手役も務めています。
[ロシア海軍バルト艦隊のコルベット「ボイキー」と小型対潜艦ウレンゴイはバルト海で太平洋艦隊の潜水艦ウファを相手に対潜戦闘演習を実施した]
[ロシア海軍太平洋艦隊の深海救難艇AS-30はバルト海で救助訓練を実施した]

「ウファ」は2023年秋に極東方面(常駐基地となるウラジオストクウリス湾)への移動を開始します。

ただ、その移動ルートが、1番艦・2番艦と同じインド洋経由か、3番艦のような北極海経由になるのかは未だ最終的には決まっていないようです。


ロシア太平洋艦隊向けのプロジェクト06363潜水艦は6隻が起工され、4隻が就役しています。

B-274「ペトロパヴロフスク・カムチャツキー」
Б-274 «Петропавловск-Камчатский»(工場番号01614)
2017年7月28日起工/2019年3月28日進水/2019年11月25日就役

B-603「ヴォルホフ」Б-603 «Волхов»(工場番号01615)
2017年7月28日起工/2019年12月26日進水/2020年10月24日就役

B-602「マガダン」Б-602 «Магадан»(工場番号01616)
2019年11月1日起工/2021年3月26日進水/2021年10月12日就役

B-588「ウファ」Б-588 «Уфа»(工場番号01617)
2019年11月1日起工/2022年3月31日進水/2022年11月16日就役

「モジャイスク」«Можайск»(工場番号01618)
2021年8月23日起工/2023年4月27日進水/2023年末就役予定

「ヤクーツク」«Якутск»(工場番号01619)
2021年8月23日起工/2024年進水予定/2024年就役予定
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