ロシア海軍バルト艦隊向けのカラクルト級小型ロケット艦ブーリャはバルト海での洋上試験中にパーンツィリ-Mで対艦ミサイルを撃墜した

『Mil.Press FLOT』(フロートコム)より
2023年7月6日9時37分配信
【小型ロケット艦「ブーリャ」は「パーンツィリ-M」からの射撃試験を行なった】

プロジェクト22800小型ロケット艦「ブーリャ」の乗組員は、複合体「パーンツィリ-M」から空中目標への射撃を実施した。
指定目標は数基のミサイルにより撃破されたとロシア連邦国防省は伝えた。
「小型ロケット艦ブーリャのミサイル-砲術戦闘部門の専門家は、業界の代表と共に試験中に高射ミサイル-機関砲複合体パーンツィリ-Mから空中目標への射撃を実施しました。
目標として、バルト艦隊の小型ロケット艦パッサートから発射された有翼ミサイルが使用されました」

軍当局の声明では、こう述べられた。
射撃は、艦の国家試験の枠組みで実施された。
小型ロケット艦「ブーリャ」はバルト艦隊へ加入し、バルチースク海軍基地のロケット艦・ロケット艇連合部隊で意図された任務を遂行する。
「ブーリャ」は、ロシア海軍の為に『ペラ』で建造された第4のプロジェクト22800小型ロケット艦である。
これは、新たな高射ミサイル-機関砲複合体「パーンツィリ-M」を標準装備する第2の「カラクルト」である。
艦は2016年12月に起工され、2018年10月に進水した。
航行試験は2022年10月中旬に始まった。
「カラクルト」型小型ロケット艦は中央海洋設計局『アルマーズ』により開発された。
2015年以降、3ヶ所の造船所で海軍の為に建造されている:『ペラ』、タタールスタンの『ゼレノドリスク造船工場』、ハバロフスク地方の『アムール造船工場』。
小型ロケット艦の全長-60メートル、幅-10メートル、吃水-4 メートル、排水量-800 トン。
最大速力-30 ノット、航続距離-2500海里、自立航行期間-15日。

「カラクルト」の兵装は、近代化された76.2mm砲AK-176MA、2基の高射砲AK-630M、打撃ミサイル複合体「カリブル-NK」である。
プロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦は、ロシア海軍の現用のプロジェクト12341「オヴォード」小型ロケット艦(ナヌチュカ級)及びプロジェクト12411「モルニヤ」ロケット艇(タランタル級)の代替となる新世代の小型ロケット艦です。
プロジェクト12341小型ロケット艦(「ミラーシュ」)

プロジェクト12411ロケット艇(R-239)

元々は「オヴォード」や「モルニヤ」の後継としてプロジェクト12300「スコルピオン」ロケット艇(満載排水量465トン)が建造される筈だったのですが、2001年6月5日に起工された1番艇は工事中止となりました。
[ロシア新型ミサイル艇プロジェクト12300「スコルピオン」]
その後、『アルマーズ』設計局は「スコルピオン」の拡大発展型(満載排水量800トン)を設計し、それに小改正を加えたのがプロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦として建造される事になりました。
プロジェクト12300「スコルピオン」ロケット艇(拡大発展型)


プロジェクト22800「カラクルト」小型ロケット艦


プロジェクト22800小型ロケット艦の4番艦「ブーリャ」は、2016年12月24日にサンクトペテルブルクの『ペラ』造船所で起工されました。
[ロシア海軍の為のプロジェクト22800小型ロケット艦ブーリャはサンクトペテルブルクで起工された]
2018年10月23日に進水しました。
[ロシア海軍の為のカラクルト級小型ロケット艦4番艦ブーリャは進水した]
「ブーリャ」は2021年末の就役が予定されていましたが、2021年中には洋上試験を開始するまでに至らず、翌年に延期されました。
[小型ロケット艦ブーリャとグラードは2021年にロシア海軍へ就役し、バルト艦隊へ配備される]

2022年10月17日、「ブーリャ」はバルト海で洋上試験の第1段階(工場航行試験)を開始しました。
[ロシア海軍のカラクルト級小型ロケット艦4番艦ブーリャはバルト海で洋上試験を開始した]
11月中旬には艦砲(76mm砲)の射撃試験などが行なわれました。
[ロシア海軍のカラクルト級小型ロケット艦4番艦ブーリャはバルト海で砲撃試験を実施した]
工場航行試験は12月上旬までに完了し、12月17日からは最終洋上試験となる国家試験が始まりました。
[ロシア海軍バルト艦隊向けのカラクルト級小型ロケット艦ブーリャはバルト海で最終洋上試験(国家試験)を開始した]
12月24日には76mm砲による対空射撃試験を行ないました。
[ロシア海軍バルト艦隊向けのカラクルト級小型ロケット艦ブーリャはバルト海で対空砲撃試験を実施した]
翌12月25日には高射ミサイル-機関砲複合体「パーンツィリ-M」から水上目標への射撃試験を行ないました。
[ロシア海軍バルト艦隊向けのカラクルト級小型ロケット艦ブーリャはバルト海で高射ミサイル-機関砲複合体パーンツィリ-Mによる対水上射撃試験を実施した]
2023年3月18日には高射ミサイル-機関砲複合体「パーンツィリ-M」から水上目標へミサイルを発射しました。
[ロシア海軍バルト艦隊向けのカラクルト級小型ロケット艦ブーリャはバルト海での洋上試験中に水上目標へ対空ミサイルを発射した]
7月6日には「パーンツィリ-M」から空中目標~小型ロケット艦が発射した対艦ミサイルへ対空ミサイルを発射し、これを撃墜しました。
国家試験が完了し、その後の最終検査が終われば、ロシア海軍への引き渡し準備が整います。
「ブーリャ」のロシア海軍への引き渡しは2022年12月末に予定されていましたが、洋上試験が12月末に完了しなかった為、翌2023年に延期されました。
[ロシア海軍のカラクルト級小型ロケット艦4番艦ブーリャは2022年12月にロシア海軍へ就役する]
プロジェクト22800小型ロケット艦は、リードヤードであるサンクトペテルブルクの『ペラ』造船工場で7隻(うち3隻は船体を下請けのフェオドシヤ造船所で建造)、ロシア内陸部ゼレノドリスクの『ゴーリキー記念造船工場』で5隻(最初の3隻は下請けのケルチ造船工場ザリフで建造)、極東の『アムール造船工場』で4隻の計16隻が起工されており、この内の3隻が就役しています。
[『ペラ』造船工場建造艦]
(工場番号254、255、256は下請けのフェオドシヤ造船工場『モーリェ』で船体を建造)
「ムィティシ」«Мытищи»(工場番号251)
2015年12月24日起工/2017年7月29日進水/2018年12月17日就役
バルト艦隊へ配備(567)
「ソヴィェツク」«Советск»(工場番号252)
2015年12月24日起工/201711月24日進水/2019年10月12日就役
バルト艦隊へ配備(577)
「オジンツォボ」«Одинцово»(工場番号253)
2016年7月29日起工/2018年5月5日進水/2020年11月21日就役
バルト艦隊へ配備(584)
「コゼリスク」«Козельск»(工場番号254)
2016年5月10日起工/2019年10月9日進水
「オホーツク」«Охотск»(工場番号255)
2017年3月17日起工/2019年10月29日進水
「ヴィフリ」«Вихрь»(工場番号256)
2017年12月19日起工/2019年11月13日進水
「ブーリャ」«Буря»(工場番号257)
2016年12月24日起工/2018年10月23日進水/2023年就役予定
バルト艦隊へ配備予定(578)
[『ゴーリキー記念造船工場』建造艦]
(工場番号801、802、803は下請けのケルチ造船工場『ザリフ』で建造)
「ツィクロン」«Циклон»(工場番号801)
2016年7月26日起工/2020年7月24日進水/2023年就役予定
黒海艦隊へ配備(633)
「アスコリド」«Аскольд»(工場番号802)
2016年11月18日起工/2021年9月21日進水/2023年就役予定
黒海艦隊へ配備予定
「アムール」«Амур»(工場番号803)
2017年7月30日起工/2022年進水予定/2024年就役予定
黒海艦隊へ配備予定
「トゥーチャ」«Туча»(工場番号804)
2019年2月26日起工/2023年6月30日進水/2023年就役予定
「タイフーン」«Тайфун»(工場番号805)
2019年9月11日起工/2022年進水予定/2024年以降就役予定
[『アムール造船工場』建造艦]
「ルジェフ」«Ржев»(工場番号201)
2019年7月1日起工/2023年前半進水予定/2023年就役予定
太平洋艦隊へ配備予定
「ウドムリャ」«Удомля»(工場番号202)
2019年7月1日起工/2023年前半進水予定/2023年就役予定
太平洋艦隊へ配備予定
「パヴロフスク」«Павловск»(工場番号203)
2020年7月29日起工/2024年就役予定
太平洋艦隊へ配備予定
「ウスリースク」«Уссурийск»(工場番号204)
2019年12月26日起工/2024年就役予定
太平洋艦隊へ配備予定
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