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ロシア海軍のプロジェクト20386コルベット(ジェルズキー型)の建造は終了する

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『タス通信』より
2023年7月7日9時6分配信
【情報筋はロシア海軍の為のプロジェクト20386ステルス-コルベットプログラムの終了について述べた】
モスクワ、7月7日/タス通信

現行ヴァージョンのプロジェクト20386ロケットステルスコルベットの建造プログラムは終了し、ロシア連邦海軍の為にこのような艦を更に起工する事は計画されていない。
『タス通信』は防衛産業企業体の情報筋より伝えられた。

「現行の形状でのプロジェクト20386コルベットの更なる起工は計画されておりません。
その建造プログラムは終了します。
『北方造船所』と『アムール造船工場』は、プロジェクト20380及び20385艦シリーズの建造を続けます」

対談者は話した。

彼によると、コルベットのトップ「ジェルズキー」は、今後数年間はプロジェクト20386の唯一の代表であり続ける。
「今のバージョンでの就役は予定されておりません。
この艦は再設計プロジェクトに沿って完成し、根本的に新しく、よりバランスの取れた外観でロシア海軍の戦闘編成へ加わります」

対談者は付け加えた。

彼は、プロジェクトの新奇性係数があまりにも高く、プロジェクト20386の推定コストにより、他のプロジェクトのコルベットと同様のシリーズ建造は出来ないと説明した。

『タス通信』は、この情報を公式に確認していない。

[クルイロフ国立研究センターの勧告]
以前、『クルイロフ国立研究センター』の科学部長ワレリー・ポロヴィンキンは、クロンシュタットで開催された国際海軍サロン(IMDS-2023)の会場で『タス通信』へ、『クルイロフ国立研究センター』コルベット20380、20385、20386へ提示した全ての勧告は実行されたと言った。
「最終的に、この艦を再設計する決定が下されました。
ですが、それを止める事は出来ません。
これは、独特なアイデアの素晴らしい艦です」
ポロビンキン
は強調した。

「ジェルズキー」と命名されたコルベットのトップの起工式典は、『北方造船所』(『統合造船業営団』へ加入)で2016年10月28日に開催された。
2019年4月23日、国家元首の臨席下で、既に「メルクーリイ」となっていたこのコルベットの船体ブロックの接合が工場で行なわれた。
2021年10月、艦は再び「ジェルズキー」と命名され、既に作業が進んでいたプロジェクト20380コルベットシリーズの「リェチーヴイ」「メルクーリイ」の名が与えられた。
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プロジェクト20380/20386近海ゾーン多目的コルベット(警備艦)の建造には、「ステルス」技術が使用されている。
コルベットの物理的フィールドを軽減する最新の成果が使用されている。
特に、電波吸収特性を持つ遅燃性ガラス繊維強化プラスチックを上部構造物の材料として使用し、そして更に船体及び上部構造物のレイアウトの建造方式により、電波位置測定(レーダー)の視認性の大幅な低減に成功した。



[プロジェクト20386コルベット]
[ロシア海軍の将来コルベット・プロジェクト20386]
[ロシア海軍の新世代コルベット"メルクーリイ"]

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プロジェクト20380/20385コルベットの更なる改良発展型であるプロジェクト20386の1番艦「ジェルズキー」Дерзкий(建造番号1009)は、2016年10月28日にサンクトペテルブルク『北方造船所』(セーヴェルナヤ・ヴェルフィ)で起工されました。
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[ロシア海軍の新世代コルベット"ジェルズキ―"は起工された]


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プロジェクト20386の満載排水量は3400トンになり、以前のプロジェクト20380/20385よりも1000トン以上増加しています。

航続距離も20380/20385より延びて5000海里となり、速力も30ノットに増加、乗員は80名に減少しています。
基本的な兵装は20380と同じ(100mm単装砲高射ミサイル「リドゥート」、対艦ミサイル「ウラン」、30mm機関砲対潜/対魚雷複合体「パケート」)であり、20385のような有翼ミサイル「カリブル」/「オーニクス」発射機は装備していません(モジュール兵装方式なので「リドゥート」発射機を降ろせば、代わりに装備できる)。

機関はガスタービン電気推進システムが採用されます。
[ロシア海軍の新世代コルベット・プロジェクト20386はガスタービン電気推進システムを装備する]

「ジェルズキー」の名で起工されたプロジェクト20386コルベット1番艦ですが、ロシア海軍にとっては伝統的な名前である「メルクーリイ」(1928~1829年のロシア-トルコ戦争において、1829年2月9日に2隻のトルコ戦列艦と戦って勝利したブリッグ)へ改名される事になりました。
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[ロシア海軍のプロジェクト20386コルベット1番艦ジェルズキーはメルクーリイに改名される]

2019年4月23日、「ジェルズキー」改め「メルクーリイ」の船体は接合されました。


2020年3月末、「メルクーリイ」の船体は造船台から進水しました。
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ただし、これは正規の進水では無く、他の艦を建造する為に造船台を空ける為のようです。
[ロシア海軍の新世代コルベット"メルクーリイ"の船体は進水した]

「メルクーリイ」の為のガスタービンエンジンM90FRは完成し、試験も完了しています。
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[ロシア海軍の新世代コルベット"メルクーリイ"のガスタービンエンジンは完成し、引き渡しを準備している]

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2021年7月20日、サンクトペテルブルク『中部ネヴァ川造船工場』で製造されたガラス繊維強化プラスチック製の「メルクーリイ」上部構造物が『北方造船所』へ到着しました。
[ロシア海軍の新世代コルベット"メルクーリイ"の上部構造物は北方造船所へ到着した]

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その後は上部構造物内部へ各種機器が設置され、船体と接合される筈でしたが、後述のように20386が再設計される事になったので、接合される事は有りませんでした。

2021年10月中旬、同じく『北方造船所』で建造中のプロジェクト20380「リェチーヴイ」「メルクーリイ」と改名され、20386の方の「メルクーリイ」は旧名の「ジェルズキー」に戻されました。
[ロシア海軍の新型コルベット"リェチーヴイ"と"メルクーリイ"は改名された]

建造工事が中断している「ジェルズキー」ですが、プロジェクト20386自体が再設計される事になったので、就役も無期限に延期される事になりました。
[ロシア海軍のプロジェクト20386コルベット(ジェルズキー型)は再設計される]

上:プロジェクト20380コルベット「ストローギー」(2015年2月20日起工)
下:プロジェクト20386コルベット「ジェルズキー」
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一方、プロジェクト20386のエンジン用の減速機サンクトペテルブルク『ズヴェズダー』で製造され、既に試験に成功しています。
[プロジェクト20386コルベット「ジェルズキー」の減速機はサンクトペテルブルクで製造された]

「ジェルズキー」は再設計後に建造が再開され、就役しますが、現時点では2番艦以降の具体的な建造予定は無いようです。
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