ロシア海軍はタルトゥースを去る?

『Lenta.Ru』より
2013年6月26日9時14分配信
【ロシア軍はシリアを去る】
ロシアは、シリアのタルトゥース市の物資・技術供給所から全ての軍人を撤収させた。

『ヴェドモスチ』紙は(ロシア)国防省の情報提供者の談話を引用して報じた。
同紙は、同国から軍人を撤収させる決定は、彼等が危険に晒される恐れがあるが故に採択されたと報じた。
更に(ロシア)国防省は、ロシア軍人が関与する如何なる出来事も不利な政治的影響をもたらす可能性が有る事を懸念する。
この為、現在、タルトゥースにはロシア軍人のみならず、民間人の軍属も居ない。
以前、ロシア連邦外相代理ミハイル・ボグダノフは、タルトゥース拠点は戦略的価値を有していないとアラブのメディアへ表明した。
同紙によると、これは、ロシア海軍地中海連合作戦部隊の艦船がキプロスのリマソール港で物資を補充出来る事に関連している。

更に、キプロス外相は、ロシア空軍がパフォス空港を使用する可能性を排除していない。

ロシア国防省の情報提供者が同紙へ伝えた所によれば、それは、軍用輸送機による地中海戦隊の艦船乗員の交代、或いは修理の為の小さな部品を提供できる。
この場合、キプロスへの本格的な軍事基地の作成は計画されていない。
タルトゥース物資・技術供給所はソヴィエト連邦時代に展開した。
ユーゴスラビア及びアルジェリアの港と並び、それは、アメリカ海軍への対抗を含む任務を担ったソヴィエト連邦海軍第5作戦戦隊の修理、乗組員の休養、物資の補充の為に使用された。
現在、地中海では、黒海艦隊司令官の指揮下に在る16隻のロシア艦船から成る連合作戦部隊が勤務を行なっている。
彼らの任務には、テロリスト及び海賊への対処が含まれる。
ロシア海軍がシリアのタルトゥースに在る物資・技術供給所を放棄するというメディア報道は、今回が初めてではありません。
2012年8月下旬、ロシア海軍がタルトゥースから引き揚げると報じられましたが、結局は誤報でした。
[ロシア海軍はシリアのタルトゥースを放棄しない]
2013年3月にも、ロシア海軍がタルトゥースを放棄すると報じられ、ロシア連邦国防省広報部が直々に否定声明を出しました。
[ロシア海軍はタルトゥースを放棄する意図はない]
今回のケースでは、今のところはロシア連邦国防省からの否定声明は出されていません。
タルトゥースには、黒海艦隊の工作船1隻が交代で駐留しており、今年5月からはPM-138が駐留しています。

[工作船PM-138は地中海へ行く]
[ロシア海軍の工作船PM-138はボスポラス海峡を通過した]
今回の記事では、工作船PM-138の動向については一切触れられていません。
仮に、キプロスのリマソール港をタルトゥースに代わる物資供給地点として使用するつもりならば、PM-138もリマソールへ移動する必要が有ります。

記事中に登場するロシア海軍地中海連合作戦部隊は今年6月1日に編成され、同日から任務の遂行を始めました。
[ロシア海軍地中海作戦部隊は6月1日から任務を遂行している]
[ロシア海軍地中海作戦部隊は約10隻の艦で構成される]
[ロシア海軍の地中海における存在は「武力による脅し」では無い]
現在、地中海には、太平洋艦隊、北方艦隊、バルト艦隊から派遣された以下の艦船が展開し、ロシア海軍地中海連合作戦部隊を形成しています。
旗艦は太平洋艦隊の大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」です。
[太平洋艦隊艦船支隊]
大型対潜艦「アドミラル・パンテレーエフ」
大型揚陸艦「ペレスウェート」
大型揚陸艦「アドミラル・ネヴェリスコイ」
救助曳船「フォーチィ・クリロフ」
中型海洋給油船「ペチェンガ」
[バルト艦隊艦船支隊]
警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」
大型揚陸艦「カリーニングラード」
大型揚陸艦「アレクサンドル・シャバリン」
救助曳船「SB-921」
中型海洋給油船「レナ」
[北方艦隊艦船支隊]
大型対潜艦「ヴィツェ-アドミラル・クラーコフ」
大型海洋給油船「セルゲイ・オシポフ」
この他、黒海艦隊の大型揚陸艦なども地中海東部に居るようです。
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