バルト工場はヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクの最終艤装を望まない
- カテゴリ:ロシアのミストラル級導入見直し問題


『イタル-タス通信サンクト-ペテルブルク支局』より
2013年7月4日12時41分33秒配信
【ヘリコプター空母「ミストラル」型はフランスで組み立てた後、完成と兵器装備の為に戻って来るかもしれない】
イタルタス
最初の「ミストラル」型ヘリコプター揚陸ドック艦「ウラジオストク」はフランスで船体全てを組み立てた後、 完成と兵器装備の為、後部を建造した「バルト工場」ではなく、他の企業へ戻って来るかもしれない。
「私共には、広範囲に渡る生産プログラムが有ります。
複数のプロジェクトのトップ(1番船)、特に原子力推進に関するものが。
そして、この時期に最初のヘリコプター揚陸ドック艦が(艤装の為に)戻って来るのならば、我々は、船台での艤装において、非常に大きな負担を強いられることになります。
それ故に、私共は、当社の手による建造完了を希望いたしません」
サンクトペテルブルクで開催中の国際海軍サロン(IMDS)会場において、「バルト工場」総取締役アレクサンドル・ヴォズネセンスキーは記者団に話した。
以前の計画では、「バルト工場」はフランスからの最初のヘリコプター揚陸ドック艦を完成させる事とされていた。
最初のヘリコプター揚陸ドック艦の艤装が可能な場所の1つとして、ヴォズネセンスキーは「アドミラルティ造船所」の名を挙げた。
「我々は、当社以外のところが(ヘリコプター揚陸ドック艦を)完成させる事を望んでおります。
今現在の負担により、私たちは、それを受ける事は出来ませんので」
「バルト工場」総取締役は話した。
「私共は、現在、3隻のプロジェクトのトップ船を手掛けており、この内の2隻は原子力船です。
本日の会議において、私共は、最初のヘリコプター揚陸ドック艦の完成を当社に委ねないように求めます」
彼は話した。
[ヘリ空母ミストラル型]
[ヘリ空母ミストラル型(旧ブログ)]
[ロシア海軍向けミストラル型の詳細が公表された]
ロシア海軍向け「ミストラル」級1番艦「ウラジオストク」は、2012年2月1日にフランスのサン-ナゼール造船所で起工されました。
[ロシア海軍向けヘリ空母「ミストラル」型1番艦は起工される]
船体後部は、ロシア国内のサンクト-ペテルブルク市の「バルト工場」で2012年10月1日に起工されました。
[バルト工場はヘリ空母ウラジオストクの船体を起工した]
バルト工場で建造された「ウラジオストク」後部は、2013年6月26日に進水しました。
[ロシアで建造されたミストラル級ヘリコプター揚陸ドック艦ウラジオストクの船体後部は進水した]


「ウラジオストク」後部は、7月6日にフランスのサンナゼールへの移送が開始されました。
『ロシア通信社ノーボスチ』より
2013年7月6日20時20分配信
【1隻目の「ミストラル」後部はフランスへ送られる】

サンナゼールで進水した後、「ウラジオストク」はロシア製の兵器や各種機器を装備する為、再びロシアの造船所-バルト工場-へ戻される事になっていましたが、そのバルト工場のトップは、「ウラジオストク」の最終艤装を望んでいないと表明しました。
要するに「ウチは他にも大きな仕事を抱えているんだから、ヘリコプター揚陸ドック艦の最終艤装まで手掛ける余裕なんか無いよ」と言っているわけです。
バルト工場では、水上原子力発電所とディーゼルエレクトリック推進砕氷船が建造されており、近い内には新型原子力砕氷船の建造も開始されます。
[バルト工場は水上原子力発電所の建造を再開する]
[新型原子力砕氷船がバルチースキー・ザヴォードで建造される]
「バルト工場」は、ソヴィエト連邦時代から原子力水上艦船や砕氷船の建造では豊富な実績を有しております。
そちらの仕事に専念したいから、ヘリコプター揚陸ドック艦の最終艤装は同じサンクトペテルブルクの「アドミラルティ造船所」(「バルト工場」の隣に在る)辺りに任せろという事です。
ただ、今回、「バルト工場」のトップから名指しされた「アドミラルティ造船所」も、ロシア海軍や外国向けの通常動力潜水艦やロシア海軍向けの特務船、民間のタンカーなどを建造しているので、決して暇というわけではありませんが・・・
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